地震による死者ゼロ社会の実現に向けて

書きかけです.

はじめに

毎年のように世界各地で大地震が発生し,多くの尊い命が失われている.そのたびに,報道は「死者多数の大惨事」だと騒ぎ立てる.死者が一人であろうと多数であろうと,個人レベルでみれば,たとえ一人の命でも,それが失われたことによって,残された者の人生が大きく変わってしまうこともある.このように考えると,いつかビートたけしが言っていたように,死者数万人というのは,実は「数万の個人が亡くなった」と受け取るべきだろう.

地震被害想定と耐震化率

中央防災会議の首都直下型地震の被害想定(PDF)によると,最悪シナリオの場合,死者数は約1万3千人.その半数以上を火災が占めると予測されている.その他の被害として,経済被害,帰宅困難者,避難者数等の予測もなされているが,防災上まず第一に考えるべきは,なんとしても死者数を減らすということである.これが発表された(○○年○月)直後は,テレビやニュースなどで大きく報じられた.ここまでは,中央防災会議の仕事である.その後,「国の中央防災会議において平成17年3月に定められた「地震防災戦略」では、東海・東南海・南海地震の被害想定の 死者数や経済被害について平成27年までに半減させるという減災目標が定められ、この目標を達成するために必要となる住宅の耐震化率を当時の約75%から10年間で9割とする目標が設定され」た日本建築防災協会HP.この目標設定は「地震による死者ゼロ社会を実現」するための通過点であるが,あと3年間で達成可能なのだろうか.また,残り1割の耐震化はどうするか.残り1割ほどは,何らかの理由で耐震化できないから残る.これをどうするかも課題である.

耐震化だけでなく,防火も必要である.また,東北太平洋沖地震による液状化被害を受けて,基礎や地盤の耐震化の問題も出てきた.さらに,次に述べるように,「地震による死者ゼロ社会を実現」するためには,建物の耐震化だけでなく,地震直後に消防車等の緊急用車両の通行を妨害しないことも重要である.

住宅密集地での建物の耐震化を最優先に

地震による死者の大多数は,津波を除けば,建物の倒壊によるものである.しかも,自宅の下敷きになることが極めて多い.近年発生した1995年兵庫県南部地震,1999年トルコ・コジャエリ(イズミット)地震2003年イラン・バム地震2009年イタリア・ラクイラ地震などでは,そのような被害が顕著であった.外国で発生する地震の場合,直接の死亡原因は,石やレンガでできた屋根や壁の落下,倒壊による圧死である.

日本の場合,建物の倒壊による圧死も予測されるが,むしろ建物の倒壊による道路閉塞によって,その後同時多発する火災の消火活動が遅れることが被害を拡大するものと思われる.また,道路閉塞は,倒壊した建物だけでなく,駐停車中の自動車や,避難しようとしてたくさんの人が自動車を使うことによる交通渋滞によっても引き起こされる.これは,関東大震災,兵庫県南部地震の教訓である(外岡英俊著「地震と社会」みすず書房).問題はここから先である.

地震による死者ゼロ社会を実現するために

地震による死者ゼロ社会を実現するためには,まず何をしなければいけないのか.まず最優先で実行すべきことは,言うは易し,行うは難しであるが,単に建物が地震で倒れないようにすること(=建物の耐震化)である.すなわち,中央防災会議の「地震防災戦略」で定められた耐震化率9割という目標は,この方向に沿っている.建物の倒壊を抑えれば火災が防げるというシナリオである.このシナリオ通りに事を進めるには,万が一,同時多発的に火災が発生してもすぐに消し止めることができる,ということが必要である.個別の建物耐震化と同時に,もう少し広い範囲で延焼範囲をにらんだ戦略的な耐震化も必要だろう.

これまで人類が築き上げてきた文明というものは,多くの人間の小さな意志の力によって,現在見られるような姿になったことを思えば,「地震による死者をゼロにする」という明確な意思を持って,行動を起こせば必ず文明はその方向に向かうといえる.ではその行動とはなにか.まず,抽象論であるが,防災に携わる研究者,実務者は,「地震による死者をゼロにする」ことについて,太陽のように熱い情熱が必要.熱は周りに拡散する.学生や一般市民は,熱さを感じつつ批判する精神も必要.なぜなら,社会インフラ整備は税金で賄われるから.

次に,具体論であるが,私のアイデアは乏しい.もっと斬新なアイデアが必要かもしれない.

現行の耐震改修等助成制度の問題点・疑問点

日本建築防災協会HP

市町村ごとに制度,助成額が異なる(地震動は市町村には無関係なのに,,,)

市町村単位とすることによりきめ細かなサービスを提供できるのか?実際に提供しているのか?

どこまでが自己責任か?建物が倒壊して道路を閉塞し,緊急用車両が通れなくなり被害が拡大したとき,その建物の所有者に責任はあるか?大地震直後のどさくさで,しかも建物が焼失したりすれば責任追及のしようがない.

「地震による死者ゼロ社会を実現」するためには,まずは窓口を一つにしてそこから地方自治体に振り向けた方がよい.

結局のところ人は論理では動かない.国が「地震による死者ゼロ社会を実現する」という決意を示し,日本は今後10年間で「地震による死者ゼロ社会を実現する」と内外に向けて宣言する.そうすれば同じ問題を共有する国同士が知恵を出し合うことができる.

日本建築防災協会耐震マークの認知度が低すぎる.

全国のホテルに義務付ける必要がある.

日本建築防災協会HP,「耐震マーク表示制度」より抜粋

  「地震国の我が国では、過去の大正12年9月1日の関東大震災を始め、近年では平成7年1月17日の阪神・淡路大震災や 平成16年10月23日の新潟県中越地震など、大地震による人命や財産の被害が多く発生しています。最近では、宮城県沖地震、東海・東南海・南海地震等大 地震発生の逼迫性が指摘されるとともに、首都圏直下型地震等の発生も危惧されています。

  阪神・淡路大震災後の平成7年12月に建築物の耐震改修の促進に関する法律(「耐震改修促進法」)が制定され、同年 4月には、耐震診断・耐震改修を推進するための情報交流・支援を行う組織として既存建築物耐震診断・改修等推進全国ネットワーク委員会(「全国耐震ネット ワーク委員会」参加団体:都道府県・建築関係団体)が創設されました。