Platyhelminthes (扁形動物)
自由生活性のプラナリアやヒラムシ,寄生性の吸虫などが含まれる扁平な体をした動物です.私は露木葵唯さん,白木祥貴さんらと以下の扁形動物について研究を行いました.
自由生活性のプラナリアやヒラムシ,寄生性の吸虫などが含まれる扁平な体をした動物です.私は露木葵唯さん,白木祥貴さんらと以下の扁形動物について研究を行いました.
A novel transmission pathway: first report of a larval trematode in a tanaidacean crustacean.
【論文PDF】
吸虫類の二生類(Digenea)は,一般に第1中間宿主,第2中間宿主,終宿主という3種類の宿主を利用する生活環をもった寄生性扁形動物です.このうち第1中間宿主は多くの場合が巻貝類ですが,第2宿主の多様性は非常に高く,刺胞動物から脊椎動物までに至ります.そのため,第2中間宿主はなかなか狙って明らかにしにくい存在です.
沖縄の漫湖干潟においてハナダカアプセウデス(Longiflagrum nasutus)というタナイスを調査していたところ,タナイスの体内に球状の物体を見つけました(下図).寄生性センチュウかなと思って研究を開始したところ,どうも違う.なんと世界初のタナイス寄生性の吸虫だった,という研究です.限定的な形態観察と複数遺伝子のDNA配列の決定を行った結果,主として終宿主に鳥類を用いるMicrophallidaeという科に含まれる種の被嚢幼虫(encysted metacercaria)であろうことを明らかにしました.
論文公表後,北米でもタナイス寄生メタセルカリアを採ったことがあるとの連絡を研究者から受けました.今回の報告を皮切りに,今後色々なタナイスから吸虫類が見つかってくるかもしれません.(2015年頃記)
First record of Scutariella japonica (Platyhelminthes: Rhabdocoela) from Hokkaido, Japan, and notes on its host shrimp Neocaridina sp. aff. davidi (Decapoda: Caridea: Atyidae).
【論文PDF】
ヌマエビ科の外部寄生生扁形動物であるエビヤドリツノムシScutariella japonicaの北海道初報告論文です.本種初となる分子データ(COI, 18S rRNA, 28S rRNA)も決定しました.
2021年,COVID-19の感染拡大から担当実習内容の変更が必要となった私は,(この時代にではありますが)アメリカザリガニの解剖をやってみるかと,札幌でアメリカザリガニの定着が確認されている安春川にザリガニ採りにいきました.結果は脱皮殻2個のみを得るという採集能力の低さ.ただ代わりにエビが採れることがわかりました.小さすぎるので実習に使うのは断念しましたが,いくつか持ち帰った個体を観察していると,にょーんにょーんと伸び縮みする生き物をエビの体表に発見.色々調べた結果,北海道から報告のないエビヤドリツノムシだと明らかになったため報告しました.宿主について「エビ」以上の同定ができなかった私は,駒井智幸さんに同定を依頼,分類がとても混乱しているシナヌマエビの仲間Neocaridina sp. aff. davidiだというところまで形態・DNA情報をもとに明らかにしていただきました.ちなみに宿主のエビも外来種です.安春川は下水処理場の高度処理水を水源とする冬季でも水温が10度以上ある温かい川です.このことが人の営みに関係して安春川に侵入したエビとエビヤドリツノムシの生き残りを可能にしたのだろうと考えられます(20220130記)
Digenean metacercariae parasitic in a staurozoan cnidarian.
【論文へのリンク】
固着性のクラゲ「十文字クラゲ類」に寄生する吸虫を世界ではじめて発見・報告した論文です.初の十文字クラゲ寄生性生物の報告でもあります.
忍路湾で採集したアサガオクラゲ(Haliclystus tenuis)の生体を観察していたところ,中膠内に小さなつぶつぶがあることに偶然気づきました.なんだろなー,まぁいいかなー,でも気になるなー,ということで取り出して観察してみたところ,吸虫の被嚢幼虫(encysted metacercaria)だろうことがわかりました.文献調査をしたところ十文字クラゲ類を利用する吸虫の報告が見つからなかったため報告しました.複数の遺伝子のDNA配列情報を決定し系統解析を行ったところ,主として終宿主に魚類を用いるOpecoelidaeという科に属する種だと判断されました.
本論文の執筆においては,私の諸々の都合から共著での公表とすることができませんでしたが,十文字クラゲ類をご専門の一つとされている平野弥生さんに大変お世話になりました.突然の連絡にも関わらず丁寧なご対応をいただき本当にありがとうございました.(20220104記)
Flatworm cocoons in the abyss: same plan under pressure.
【論文へのリンク】
プラナリアなどが含まれる三岐腸類という自由生活性扁形動物に関する成果です.
2023年度に実施された白鳳丸KH-23-5次研究航海で行った東北東方沖の水深6176–6200 mで実施した底曳網調査.その産物に,直径3 mm程度の真っ黒な球体が付着した岩が含まれているのを次席の狩野泰則さんが見つけられ,これはなんだろうかと私のもとに持ってきてくださいました.
(執筆中)
Trematode metacercariae parasitic in the estuarine crustacean Cyathura muromiensis Nunomura, 1974 (Peracarida: Isopoda: Anthuroidea).
【論文リンク】
Fecampiid flatworms parasitic in a tanaidacean crustacean.
【論文へのリンク】
(執筆中)
xxxx.
【論文へのリンク】
(執筆中)
ハナダカアプセウデスに寄生する吸虫の被嚢幼虫(矢頭)(固定前)