Cnidaria (刺胞動物)
クラゲやイソギンチャクなどが含まれる動物です.私は十文字クラゲというグループについて自身で,宝石サンゴ類について野中正法さんとともに以下の研究を行いました.
クラゲやイソギンチャクなどが含まれる動物です.私は十文字クラゲというグループについて自身で,宝石サンゴ類について野中正法さんとともに以下の研究を行いました.
飼育下で十文字クラゲがタナイスを捕食した,という内容です.アサガオクラゲという十文字クラゲをエゾナミタナイスというタナイスと一緒の容器に入れて忍路から研究室に持ち帰り,研究室で容器から出してみたところ,アサガオクラゲの胃腔内にエゾナミタナイスが入っているのを見つけました.それまで十文字クラゲによるタナイス捕食を報告した例はなかったのですが,上記2種の両者の生息環境が似ている(どちらも海藻の上に住んでいる)ことから,もしかして食べるのか?と思い飼育実験を行ったところ食べたので,消化過程を含め報告しました.まさに食べる瞬間の動画はここから見ることができます(ピントが甘いのが悔やまれます).
エゾナミタナイスについては色々と捕食者を調べていて,魚類(自然下での;Kakui 2015)や等脚類(飼育下での;Shiraki and Kakui 2022)に続く第3の捕食者の報告になります.ちなみに本論文執筆後,エゾナミタナイス以外に2種の別の小型甲殻類をアサガオクラゲに与えてみたところ,それらは吐き出されるという興味深い結果を得ています(詳細はいつかどこかでもしかしたら).(20220320記)
Digenean metacercariae parasitic in a staurozoan cnidarian.
【論文へのリンク】
固着性のクラゲ「十文字クラゲ類」に寄生する吸虫を世界ではじめて発見・報告した論文です.初の十文字クラゲ寄生性生物の報告でもあります.
忍路湾で採集したアサガオクラゲ(Haliclystus tenuis)の生体を観察していたところ,中膠内に小さなつぶつぶがあることに偶然気づきました.なんだろなー,まぁいいかなー,でも気になるなー,ということで取り出して観察してみたところ,吸虫の被嚢幼虫(encysted metacercaria)だろうことがわかりました.文献調査をしたところ十文字クラゲ類を利用する吸虫の報告が見つからなかったため報告しました.複数の遺伝子のDNA配列情報を決定し系統解析を行ったところ,主として終宿主に魚類を用いるOpecoelidaeという科に属する種だと判断されました.
本論文の執筆においては,私の都合から共著での公表とすることができませんでしたが,十文字クラゲ類をご専門の一つとされている平野弥生さんに大変お世話になりました.突然の連絡にも関わらず丁寧なご対応をいただき本当にありがとうございました.(20220104記)
A new species of Coralliidae (Cnidaria: Octocorallia) collected from eastern Japan.
【論文PDF】
美ら島財団の野中正法さん主導の研究成果です.研究船蒼鷹丸による2009年の航海中に,東北東方沖の磐城海山で調査をした際に得られた宝石サンゴ類に関する成果です.採ったときに鮮やかできれいなサンゴだなぁと思ったのを覚えています.念のため写真を撮り,野中さんにお話差し上げたところ,研究を進めてくださり未記載種と判明,Hemicorallium meraboshi(和名:メラボシサンゴ)として一緒に新種記載をさせていただきました.メラボシの由来については,プレスリリース(PDF)にて.きれいな名前だなと思います.(20231201記)
xxxx.
【論文へのリンク】
アサガオクラゲ*(固定前)
*2025年9月27日:長らくシラスジアサガオクラゲと示していましたが,筒井幸多さんにおそらくアサガオクラゲではないかとの指摘を受け,修正しました.ご指摘どうもありがとうございます.