ウイルス抵抗性を持つ野菜の品種改良を目指した研究
ウイルス抵抗性を持つ野菜の品種改良を目指した研究
野菜園芸学、植物病理学、植物遺伝育種学が私たち研究チームの活動領域です。研究室内での解析とフィールドでの調査に取り組むことにより,ミクロとマクロを繋げ、農業・園芸生産の向上に貢献するために活動しています.
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ナス科野菜のベゴモウイルス抵抗性
トウガラシ・ピーマンとナスでは、私たちが世界で初めてベゴモウイルス抵抗性遺伝子を特定し、育種利用への扉を開きました。それにより、民間企業による品種改良が大幅に加速して生産者の助けになると期待しています。また、独自に選抜した多様な遺伝資源を活用して、新しい遺伝子の発見、抵抗性メカニズムの理解、抵抗性強化を目指して研究を続けています。一方、トマトでは既存の抵抗性遺伝子が有する課題を見える化し、新しい育種の方向性を提言していきたいと考えています。私たちは国内外の大多数のトマト品種で利用されているTy-1による抵抗性が夏場の高温下では崩壊してしまうことを明らかにしました。これは近年の気候変動も大きく関わるテーマであり、大きな注目を集めました。
関連論文
・Koeda et al. 2025. Plant Dis.・Koeda et al. 2025. Plant Dis.・Pohan et al. 2024. J. Gen. Plant Pathol.・Koeda and Kitawaki. 2023. Phytopathology・Kikkawa et al. 2023. Euphytica・小枝. 2023. バイオサイエンスとインダストリー.・Taniguchi et al. 2023. J. Gen. Plant Pathol.・Pohan et al. 2023. Hort J.・Koeda et al. 2022. Theor App Genet.・Mori et al. 2022. Euphytica・Koeda et al. 2021. Theor App Genet.・Koeda et al. 2020. Arch Virol.・Koeda et al. 2020. Plant Dis.・Kesumawati et al. 2019. Arch Virol.・Koeda and Fujiwara 2019. Trop Agric Dev.・Koeda et al. 2018. In Vitro Cell Dev Biol Plant.・Koeda et al. 2018. Hort J.・Koeda et al. 2017. Hort J.・Koeda et al. 2016. Trop Agric Dev.・Koeda et al. 2015. Hort J.・小枝. 2015. 農業および園芸.ウリ科野菜のベゴモウイルス抵抗性
キュウリ、メロン、カボチャ、スイカなどを対象にして、世界的に問題になっているtomato leaf curl New Delhi virus(ToLCNDV)への抵抗性を研究しています。キュウリでは私たちが世界で初めてToLCNDV抵抗性遺伝子を特定しています。現在、他のウリ科野菜においてもキュウリに続く新しい遺伝子の発見、抵抗性メカニズムの理解、抵抗性強化の方法などを目指して研究を続けています。最終的には、ナス科やウリ科で構築した理解を作物全般における抵抗性強化に応用したいと考えています。
関連論文
・Koeda et al. 2024. BMC Plant Biol.・Yamamoto et al. 2021. Hort J.・Kesumawati et al. 2020. Hort J.ベゴモウイルスの変遷を辿る
農地はウイルスにとっての生態系であり、使われる品種や栽培管理の変化によりウイルスも進化して適応していきます。国内のトマト産地、アジアのトウガラシ産地をモデルにして長期間における感染ウイルスの変遷を調査しています。調査より、複数のベゴモウイルス間での組換えにより、格段に適応力を高めたウイルスが誕生してきた経緯を見出しました。適切な防除方法のためには、農業生産に被害を与える敵を知ることは欠かせないとの考えの下、調査を継続しています。
関連論文
・Pohan et al. 2024. J. Gen. Plant Pathol.・Taniguchi et al. 2023. J. Gen. Plant Pathol.・Pohan et al. 2023. Hort J.・Koeda et al. 2020. Arch Virol.・Kesumawati et al. 2020. Hort J.・Kesumawati et al. 2019. Arch Virol.・Koeda et al. 2016. Trop Agric Dev.