2つの主要な研究テーマに興味を持って,日々研究に励んております!
最近は,ベイズ統計とのコラボレーションにも興味を持って取り組んでおります.
これらのテーマに関心がある方や,疑義・議論点がある方は,お気軽にご連絡ください.
傾向スコアはRosenbaum and Rubin (1983) で提案されて以降,多くの理論的な研究がなされ,また多くの分野で傾向スコアを利用した手法が適用されています.逆確率重みづけ (IPW) 推定量は,傾向スコアを利用する推定手法の一つであり,Augmented IPW推定量などに拡張されています.
しかし,IPW推定量の問題点として,傾向スコアの逆数で重みづけるため,傾向スコアの分布によってはIPW推定量が不安定になる可能性を否定できません.例えば,0や1付近にも傾向スコアが多く分布する状況です.このような状況であっても,安定的にIPW推定量や関連する推定量を構成できないか,方法論の観点で研究を進めております.
層別推定量にも関心を持っております.Imbens and Rubin (2015)でも議論されている通り,層別推定量はIPW推定量の近似推定量とみなすこともでき,IPW推定量よりも安定的に因果効果を推定できる可能性があります.層数をいくつに選択するのかといった実用上の問題点があるため,それの克服に興味を持っております.さらに,将来的には経時的治療の状況に拡張することを,合わせて検討しております.
未観測交絡因子の問題は,観察研究でよく遭遇する重要な研究テーマです.特に,医学・生物統計学で利用される,生存時間アウトカムに適用可能な方法論を開発するため,研究を進めております.
操作変数 (IV) 法は,未観測交絡因子が存在しても適用可能な統計解析手法です.妥当なIVがあれば,いくつかの仮定の下で因果効果を識別・推定可能ですが,直接アウトカムと関連するような妥当ではないIVを事前に除外するなどの,適切な対処が必要です.メンデルランダム化 (MR) は,ヒトの遺伝子情報をIVに利用しますが,その特性上この問題が生じることが否定できません.MRの文脈で適用可能な,妥当なIVの選択法や関連トピックについて,研究を進めております.
またMRでは,IVと曝露 (治療) 変数との関連が弱い,弱操作変数の問題が生じることが多いです.この問題にも興味を持って,解決方針を検討しております.さらに,MRのシミュレーション・実データにも適用し,既存の手法も合わせてその性能を評価していくことにも興味があります.
HP作成者の独断と偏見が詰まった,未観測交絡因子への対処法に関するフローチャート (2024.11.13作成)