2013年6月12日「子どもの未来を考える議員連盟」総会において、衆議院法制局より「学校図書館法の一部を改正する法律案(仮称)骨子案」が示されました。骨子案に対する常任委員会の見解を以下に表明します。
2013/11/23
「学校図書館法の一部を改正する法律案(仮称)骨子案」に対する見解
京都府立高等学校教職員組合学職部司書委員会常任委員会
学校教育において学校図書館がになう役割の重要性は近年ますます高まっています。2012年度から地方財政措置としていわゆる学校司書配置のための予算がつけられていることは、学校図書館に司書教諭以外にも担い手が必要であることを明確に示しているといえます。この機に学校司書の法制化を掲げた本骨子案が示されたことは、学校図書館活性化推進のために歓迎すべきものです。
京都府立高校において専任・専門・正規の職制のもと、1971年以来40年余にわたり「学校図書館司書」の職名を持って配置されてきた立場から本骨子案の条文を検討しました。
①学校司書は「学校図書館の利用の一層の促進を図るため」、図書館の専門職としての職務を期待されています。したがって「学校図書館の職務に従事する」ではなく、「学校図書館の専門的職務を掌る」とすべきです。また、現行の学校図書館法では「学校図書館の専門的職務を掌らせるため、司書教諭を置かなければならない」となっていますが、司書教諭は教諭の立場から学校図書館に充てられる職であり、学校図書館の職務を専らにすることはできません。たとえば現行条文を「学校図書館の教育的職務を掌る」「図書館教育を推進する」と改めるなどして、司書教諭と学校司書との協働によって学校図書館の一層の活性化をめざすことが明確になる条文が望ましいと考えます。
②学校の教育活動を日常的に支援していくためには複数校の兼務や他の職との兼務ではなく、専任の職員であることが必要です。骨子案が学校司書を「専ら学校図書館の職務に」と規定したことは評価できます。
③「置くよう努めなければならない」と規定することについては、すでに学校司書の職制を確立している先行自治体の施策からは後退する表現です。条文には「置かなければならない」と原則を明記し、必要であるなら設置の特例として数年間程度の配置猶予を付記するのが有効な表現でしょう。
④学校司書の仕事には専門的な知識が不可欠です。現行法の司書教諭についての条文との整合性を図る意味でも、学校司書に必要な資格要件に言及することが望ましいと考えます。
⑤現在小・中学校で、常勤の学校司書を配置しているのは全体の約1割程度に過ぎません。不安定な身分にも関わらず、児童生徒や教員の求めに応じるために、多くの学校司書が献身的に働いています。このような学校司書が安んじて職に就き、キャリアに裏打ちされた教育実践を深めることが学校図書館の利用促進にとって重要です。骨子案には触れられていませんが、配置される学校司書は「正規の」職員であることが必要です。
⑥「学校教育法」「教職員定数の標準法」そのほか関連法規に学校司書の職名を明記し、法的な位置づけを確立することが望ましいと考えます。
以上