臨床スピリチュアルケア協会 通称パスク(PASCH)は、2005年4月4日に発足しました。
サクラファミリアとして斬新な教会に建て替えられる前の、趣のある石づくりのカトリック大阪梅田教会が眼下に眺められる、関西学院大学梅田キャンパスに、スピリチュアルケアに深い関心を寄せるメンバーが集いました。米国で臨床牧会教育・チャプレンに携わった牧師・大学教員、従来の法事や葬儀以外の役割を切実に求める仏教者や研究者、WHOにより緩和ケアの定義に「スピリチュアルケア」が加えられ、全国に緩和ケア病棟が続々と設立される中で、全人的ケアを模索する医療や福祉関係者、音楽療法士、「いのち・魂とは…?」との自分自身の核となる内面を深く哲学しようとする大学院生など、多様なバックグラウンドを持つ人々の集まりでした。
臨床スピリチュアルケア協会(パスク)は、研修(PSCC)、研究会、専門演習、専門職養成課程(CSCC)を通して、臨床スピリチュアルケア専門職養成、並びにスピリチュアルケアの知識、技術、能力の維持向上を図り、医療・福祉・教育現場などでの全人的ケアを目指しています。
研修(PSCC)の目的は、臨床スピリチュアルケア専門職の養成です。パスク発足まもなく,看護師さん達へのケアが評価された 現在の堺市立堺総合医療センターで、2006年第1回の研修が開催され、これまで38回、延べ250名余の方が参加されています。参加者は必ずしも宗教者ばかりでなく、医師・看護師・心理士・福祉士・音楽療法士・手技療法師・大学院生・医療福祉施設でのボランティアなど様々なバックグラウンドを持つ方々です。
研修では「如何にケアするか?」ではなく、参加者自身の内面に焦点が当てられ、深く自分を知る作業がメンバーとのやり取りを通して行われます。まさにケアし・ケアされる体験学習が守られた空間で繰り広げられ、終盤になると「大きな存在に豊かに守られているような感覚」を覚えることもあります。
研究会は奇数月の夜に行う2時間の集まりで、118回目の研究会が2025年1月に予定されています。ケア従事者だけでなく、グリーフを抱える方、ご自身がケアを受けておられる方、スピリチュアルケアに関心を持たれる方など多方面の方が参加されます。興味深い発表内容もさることながら、参加者の自己紹介の場で、自身の活動の紹介、疑問点、各種提案・案内など、参加者の世界の広がりや自信・絆の深まりが経験できる場となっています。コロナ禍で、オンラインまたはハイブリッド形式となり、対面のメリットは少なくなりましたが、全国に散らばる懐かしい方々に出会える嬉しさがあります。
専門演習は「スピリチュアリテイ」と「スピリチュアルケア」について深く学び、自分のケア理論の構築を目的とした6時間のセミナーです。2024年12月の第19回は、米国西海岸のヘルスケアチャプレンと、韓国の軍隊チャプレンの講義をお聞きし、チャプレンとしての多様なケアのあり方を学びました。
自然災害や人災の記憶がよみがえる中、昨今はコロナ禍・そしてウクライナやガザでの戦争、近隣諸国間の緊張感、次々と生まれる新しい社会の動き、それらによって生じる人々の心の深いところに根差す価値感の大きな変化のうねりなど、困難な時代を私たちは生きています。 誰にでも起こりえる病いや別離など、生きることに苦悩している方々に心を寄せるケアを私たちは目指しています。
ケアに関わる者として自分自身の内面を見つめ、自分は何なのか深く掘り下げ、そこでお相手を理解しケアにつなげたいと願っています。その為の糸口となるパスクの様々な学び、ご一緒に学んで行きましょう。皆様のご参加お待ちしています。
2025年1月14日
代表 谷山 洋三