研究

Research interests

生物の多様な形態・行動・生理現象の進化

keywords

EvoDevo,細胞タイプ,ヘテロクロニー,ヘテロトピー,共生,化学合成細菌,深海,鯨骨,ハオリムシ,Osedax,ギボシムシ,脊索動物,蟲の分類 etc....

以下の研究内容に興味のある方,質問などはお気軽に宮本までご連絡ください

nmiyamoto621 (a) gmail.com

1)生物の深海適応の背景にある共生・生活史・生理機能の進化

深海は,高圧・低温・貧栄養など陸上環境と比較して生物の成育に適していない極限環境であると言われている.しかし,その極限環境にも様々な生物が生活している.特に熱水噴出孔や湧水域には非常に多くの生物が高密度で生息している.それらの生物はどうしてそのような環境へ進出できたのだろうか.熱水・湧水への進出の鍵となっているのが,化学合成細菌との共生である.動物たちは,化学合成細菌を体内に共生させ,栄養を細菌に依存することでその極限環境へ適応している.

また共生以外にも,深海に進出した生物は様々な新奇な形質を獲得している.例えば,熱水環境へ適応するためには新たな生理機能等が進化している.また同時に新たな感覚器官の獲得や必要のない感覚器官の退化も生じている.

そのような共生や新奇形質の進化を,それらの共生関係が生じる過程や維持機構,新奇形質の発生メカニズムに注目して研究している.

主なテーマ

・ホネクイハナムシと細菌の共生メカニズム

・ホネクイハナムシの新奇形質”菌根部”の形態・機能の進化

・ホネクイハナムシの矮雄化を伴う性的二型の進化と繁殖戦略

・ハオリムシと化学合成細菌の共生メカニズム

・ハオリムシの形態進化

・熱水性軟体動物の形態進化

2)ギボシムシを用いた進化発生学的研究

シモダギボシムシ Balanoglossus simodensis

2−1)脊索動物の起源

私たちヒトは,”脊索動物”という動物群に属しています.脊索動物とは,”脊索”をもつ動物のことで,私たち脊椎動物とナメクジウオ,ホヤなどが知られています.脊索動物には脊索の他に,神経管(脳や脊髄)や鰓裂,内柱(脊椎動物では甲状腺),筋節を持っています.しかし,脊索や神経管の起源は,100年以上も前から多くの研究者が興味を持ち議論を重ねてきましたが,未だに解決していない問題です.私は,ギボシムシという動物を研究することをその謎に迫りたいと考えています.

ギボシムシとは半索動物門腸鰓綱に属する動物の相称で,上記のような細長いミミズのような形をしています.すべて海産で,海底の砂泥中に潜って生活しています.半索動物は,脊索に似ている器官を持っていることから”半”索と命名されました(Bateson, 1885).近年の分子系統解析の結果からは,脊索動物よりも棘皮動物と最も近縁であると考えられています.

しかし,5放射相称の体制など非常に特化した棘皮動物に比べ,半索動物はシンプルな体制をしており,また鰓裂を持つことなどから,棘皮動物・半索動物・脊索動物の共通祖先に最も近い体制を残していると考えられています.

2−2)新口動物の幼生形態の進化

3)半索動物の分類

ギボシムシやフサカツギ(半索動物門翼鰓綱)の分類学的研究を行っています.下田で見つかったギボシムシをシモダギボシムシ Balanoglossus simodensis として記載しました.また,これまで日本からは10種の半索動物しか報告されていませんでしたが,調査の結果,日本近海には20種以上が生息していることがわかりました.順次,記載・報告を行っていく予定です.

ウニやホヤ,脊椎動物などは古くから研究されてきましたが,ギボシムシは採集することが難しく研究が大きく遅れています.脊索動物の進化を明らかとするにはギボシムシをしっかりと研究し,その結果を脊索動物と比較することが必須なのです.

宮本,齊藤,2008

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