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2019年度 松浦寿幸研究会募集要項

2019/2/3 7:00更新: Q&Aを追加しました。

2019/3/12 21:30更新: 追加説明会&B日程について

グロール化社会における都市とイノベーションに関する実証研究

概要

本研究会では、応用ミクロ計量経済学の手法を用いて、グローバリゼーションの進展が企業立地や生産活動およびイノベーションに及ぼす影響、さらには労働市場や地域経済に及ぼす影響について分析する。そして、都市の国際競争力の高めるための施策について議論する。

目的

世界が一つの競争市場となった今日、一国の競争力を高めるためには国際的な都市間競争に打ち勝てる大都市を持ち、その競争力を改善していくことが重要とされている。また地方都市を再生するためにはAIやIoTの活用、そしてこれらの新技術を開発・応用するイノベーション産業の育成が求められている。本研究会ではこうした諸問題を分析し、地方創生の処方箋を探るため、国際経済学・空間経済学・産業組織論・経営経済学を基盤とする理論・実証の関連文献を輪読するとともに、統計ソフトを用いた実習を通じて基礎的な分析の枠組みを習得する。その後、三田祭論文やインゼミなどに向けて参加学生の自主的な研究を支援する。より具体的には以下のようなトピックを扱う。①ものづくり・研究開発拠点の立地・移転の要因、②イノベーション産業の形成メカニズム、③企業組織とイノベーション人材、および地域労働市場、④機械学習・深層学習、AIが都市やイノベーションに及ぼす影響

方法

ここ数年、政策評価(あるいは企業戦略)の指針として、統計データによる「実証分析に基づく政策形成(Evidence Based Policy Making, EBPM)」(あるいは「実証分析に基づく経営手法(Evidence Based Management, EBMgt)」)への関心が高まっている。EBPMでは因果関係の特定が重要であり、因果推論に関する計量経済学のテキストも多数刊行されるようになっている。本研究会では、実習を通じて、こうした分析手法の理解を深める。また、経済分析にも機械学習やAIで用いられる技術の導入が進んでいる。関心を持つ学生がいれば、データ自動収集や文字列解析を研究・分析に活用する方法についても導入したい。さらに、統計分析を補完するものとして学生の興味に応じて企業訪問や政策担当者へのヒアリングも検討する。最後に、社会に出てから有用なスキル、たとえばプレゼンテーションや討論などのスキルの向上も図る。

学生への要望

研究会の活動を優先して取り組める人を募集する。研究会は少人数で学ぶことができる貴重な機会であり、各人が積極的に取り組むことで、研究会の活動をより有意義なものすることができるからである。本研究会では、データ分析を中心に据える。大規模データへの利用が容易になった現在、様々な新しい分析手法(機械学習やデータの自動収集、文字列解析等技術を含む)などが開発されている。新たに利用可能となったデータや分析手法を応用し、国際社会における諸問題を分析することに関心をもつ学生を歓迎する。そのほか、社会に出てから有用なスキル、たとえば英文資料の読解、プレゼンテーションや討論などのスキルの向上も図る。また、幅広い見識を身に着けるため、参加者の要望に応じて企業訪問や政策担当者へのヒアリング、他大学との交流など幅広い活動を行っていく。こうした活動への積極的な参加も期待される。

教科書・参考書

モレッティ『年収は「住むところ」で決まる:雇用とイノベーションの都市経済学』プレジデント社

山本勲『実証分析のための計量経済学 正しい手法と結果の読み方

中室牧子・津川友介『「原因と結果」の経済学』ダイヤモンド社

入山章栄『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』日経BP社

伊神満『イノベーターのジレンマの経済学的解明』日経BP社

Combs, Mayer and Thisse, Economic Geography: The Integration of Regions and Nations, Princeton University Press

松浦寿幸『Stataによる統計分析』東京図書

清田耕造・神事直人『実証から学ぶ国際経済』有斐閣

ポーラ・ステファン『科学の経済学』日本評論社

木村福成・大久保敏弘・安藤光代・松浦寿幸・早川和伸『東アジア生産ネットワークと経済統合』慶應義塾大学出版会

松浦寿幸『海外直接投資の理論・実証研究の新潮流』三菱経済研究所

2019年度入ゼミについて

A日程、B日程ともに面接・レポート・成績表により評価します。レポートは、現時点で研究会で取り組んでみたい研究課題について、(1)社会問題の背景事情について触れながら、(2)どんな方法で分析したいか、または関心のある分析手法について、A4用紙2~3枚で説明してください。レポート作成に際しては必ず参考文献リストを付けること。

B日程について

募集人員:3~5名

追加説明会について:3/14(木) 三田キャンパス大学院校舎3F 325-B教室 1回目 11:00-12:00, 2回目17:30-18:30


Question and Answers

Q1:研究会の開講予定の曜日・時間帯を教えてください。また、サブゼミはありますか?

「研究会」+「演習」を水曜日の4時限目・5時限目に開講する方向で調整しています。新規ゼミでもあり、来年度は3年生のみなので「演習」をサブゼミ的な位置づけで運用することになるかと思います。

Q2:ゼミ必修はありますか?

必修は設けませんが、担当教員が推薦する、いくつかの計量・データ分析の実習科目から少なくとも一科目を履修することを強く薦めます。三田には、経済学部、あるいは商学部や産業研究所の集中講座も含めると、複数の計量・データ分析の実習科目が、さまざまな曜日、さまざまな難易度で開講されています。その中で自分にあったものを履修してください。

Q3:ゼミ合宿はありますか?

秋学期が始まるまでに実施したいと思っています。時期については秋学期直前頃が有力候補となるかと思いますが、ゼミ生との調整で決めたいと考えています。

Q4:インゼミはありますか?

学内、あるいは他大学のゼミと三田祭後(12月か1月ごろ)にインターゼミナール(研究発表による他のゼミとの交流会)を実施したいと考えていますが、詳細は未定です。

Q5:その他時間割上の「研究会」以外の活動はありますか?

ゼミの研究活動に関連するものとしては、半年に1回程度、実務家ヒアリング(講演)や企業訪問などの実施を考えています。これらはアルバイトやインターンとは異なる形で企業人と接する貴重な機会です。講演については講師の方の都合で研究会の時間帯のあと(水曜日の夜)になることがあるかもしれません。企業訪問はゼミ合宿に組み込む形での実施になるかと思います。その他の活動については、親睦会など学生の自主的な企画を歓迎します。