研究紹介

(2024.02.15更新)

施設園芸からバイオ医薬品生産まで,植物生産に適した環境をデザインする

植物と環境の関係を解析し,植物生産に応用することを目的として研究しています。LEDを活用して光合成の光環境応答を解析する植物生理学的研究や,温室・植物工場における環境制御法の開発など,生物学と工学の境界領域が研究対象です。特に近年は,植物を利用してワクチンや抗体などの有用タンパク質を生産する技術に興味を持ち,植物工場を用いた効率的な生産のための栽培技術・環境制御法の開発に取り組んでいます。

「生理学にもとづいた生物環境工学」を追究し、目的に応じた合理的な植物環境の創出に貢献したいと考えています。

1. 植物を利用した医薬用タンパク質生産のための環境調節

人工光型植物工場の有効な活用法の1つとして,植物を利用した医薬用タンパク質生産に着目しています。医薬用タンパク質とは,例えばワクチンとしての作用を有する抗原タンパク質や,抗がん剤などとして用いられるモノクローナル抗体などです。従来,医薬用タンパク質は,微生物や哺乳動物由来の細胞を培養することで,あるいは孵化鶏卵を用いてウイルスを培養することで生産されてきましたが,植物を用いることで,生産コストの低減,需要に応じた容易な生産規模の調整,生産過程での病原体混入リスクの低減などのメリットがあると考えられています。

私たちは,医薬用タンパク質生産に適した人工光型植物工場(または温室)の環境調節法を確立するための基礎研究を行なってきました。特に,植物に後天的に医薬用タンパク質の遺伝子を導入して一過的に発現させる一過性遺伝子発現法という技術を対象として,研究を展開しています。最近,これまでの研究成果を日本語で紹介する機会がありましたので,興味のある方はご覧下さい(松田・的場,2022)(リンク先からPDFファイルをダウンロードできます)。新しい植物バイオ技術の活用・普及に,生物環境工学の立場から貢献したいと考えています。

2. 光合成の光環境応答の解明,および施設園芸における光環境制御への応用

光環境が光合成に及ぼす影響を生理生態学的に解析し,その知見を温室や植物工場における光環境制御に応用することを目的としています。これまで,分光分布(光質)の影響,下位葉への補光の影響,連続明期の影響などについて研究を行なってきました。現在は,時間的に変動する光環境の影響に興味を持って研究を進めています。これらの研究には,分光分布制御や出力の時間変化の制御が容易で,局所的な照射も可能なLEDを活用してきました。生物学と工学の両者の知識・テクニックを利用して,興味深い知見の獲得と新技術の開発を目指します。

当研究室に興味のある方へ

下記の方は,松田(amatsuda(ATSIGN)mail.ecc.u-tokyo.ac.jp)までご遠慮なくご連絡・ご相談下さい。

これまで一緒に研究した学生の研究テーマ

卒業論文

【2023年度】

【2022年度】

【2021年度】

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【2016年度】

【2015年度】

【2013年度】

【2012年度】

【2011年度】

修士論文

【2022年度】

【2021年度】

【2020年度】

【2019年度】

【2017年度】

【2014年度】

【2013年度】

【2012年度】

【2011年度】

博士論文

【2022年度】

【2016年度】

【2015年度】