2014 年度修士論文
深層学習による自動車運転データからの特徴抽出と可視化
氏名: LIU Hailong
学籍番号: 6612130079-7
指導教員: 谷口忠大
提出日: 2015 年2 月6 日
立命館大学大学院
情報理工学研究科 情報理工学専攻 人間情報科学コース
Abstract:
本稿では自動車運転挙動データから運転挙動の本質的な特徴を抽出する手法と可視化手法を提案する.
近年,自動車には多種類のセンサが取り付けられるようになった.計測可能な自動車運転情報の種類は年々増加しており,計測されたデータも膨大に蓄積できるようになってきた.本稿では計測された運転挙動データが,非線形変換を介して,複数の相互に独立な隠れた時系列データから生成されると仮定する.
このような相互に独立な隠れた時系列データは本質的な特徴と呼ぶ.ここで,生成された運転挙動データが多次元であり,重複した本質的な特徴を含むため,冗長になることが考えられる.
本稿では深層学習の一種であるDeep Sparse Autoencoder(DSAE)を用いて,冗長な運転挙動データから本質的な潜在特徴を抽出できると考え,様々なセンサ情報の組み合わせによる時系列情報を入力として与えた際の,DSAEによって抽出された特徴の変化について検討する.そして,DSAEによって抽出された本質的な特徴を用いて,Driving CubeとDriving Color Mapという二種類の自動車運転挙動の可視化手法を提案した.可視化された運転挙動を振り返って利用するため,Deep Car Watcherという運転挙動の可視化のソフトウェアを開発した.実験を通して,冗長な情報が入力された場合でも,DSAEは冗長な情報によって撹乱されることなく,運転挙動を表現できる本質的な特徴を抽出できる事が分かった.これは,DSAEをフィルタとして用いれば,冗長なセンサデータをいくら入力してもよいということを示しており,自動車運転挙動を分析する際の特徴量フィルタとしてDSAEの有用性が高いことを示している.そして,DSAEによる可視化手法としてDriving CubeとDriving Color Mapを提案した.実験ではDSAEと主成分分析(PCA),カーネル主成分分析(KPCA),Sparse Autoencoder(SAE)による可視化の結果を比較した.
実験結果により,DSAEを用いて作成したDriving CubeとDriving Color MapはPCA,KPCA,SAEを用いて作成した場合よりも,人間にとって理解しやすいことが分かった.最後に,DSAEによるDriving Color Mapを用いて,同コースで複周回の運転を行った際に,いくつの異なる運転挙動を確認した.