鯛ラバでの真鯛釣りについて少しばかりご説明を。
長いこと生きエビでの餌釣りが真鯛釣りの主流でしたが,ここ15年余りで広まった鯛ラバのおかげで,遊漁船のスタイルも大きく変化しました。
着底後,単純に巻き続ければ真鯛が向こう合わせで掛かってくれるといわれる一見簡単な釣りのようですが,よく釣れるカラーの選択や巻き方の工夫など,経験を積むほどに奥の深い釣りであることを思い知らされます。
たしかに,落として巻くだけでも魚は釣れますが,GOODサイズの真鯛を手にするためには,最初のあたりから徐々に追わせてフッキングさせるまでのスリリングな駆け引きもこの釣りの醍醐味です。いわゆる魚との対話ができる釣り方であり,掛かるのを待つのではなく,誘いの釣り・攻めの釣りができることもこの釣りの魅力であると思います。
自分が鯛ラバを始めたばかりの頃は経験や情報も乏しく,見よう見まねの手探り状態でひたすら作っては試し(実釣)を繰り返したものでした。市販品も年々進化し,今でこそ釣り具店のコーナーには多種多様な鯛ラバが色とりどりに並んでます。季節や天候・潮・水深など状況に合わせた様々なパーツの変更や巻きのパターンの選択,さらには自作のもので釣る楽しみが多いのもこの釣りが多くのファンを生む理由であると思います。
釣り具(タックル)
基本的なタックルとしては,6ft~7ft前後の鯛ラバロッドと,ハンドル1回転で50cm~60cmほどを巻くベイトリール(ドラグ性能のしっかりしたもの)に0.8号~1.0号のPEラインを150m~200m巻いたものをお勧めします。リーダーはフロロカーボンの4号前後を2~3ヒロ,FGノットなどで抜けないように結んでください。
PEラインの太いもの(2号や3号など)を使われると、他の方よりも潮の抵抗で流されるため底取りがしにくいばかりか、おまつりの原因となりますので1.0号前後のものを用意されてください。
そして肝心の鯛ラバは,ウエイトが60g~120g(私はポイントにもよりますが70g~100gをよく使っています)大まかな基準としては水深(m)とウエイト(g)が同じくらいか少し重めのものを目安に,自分が底取りしやすいもの,そして同船者がいる場合は皆さんと大きくサイズが違わないものを使われるとよいでしょう。(生き餌での釣りと異なり,鉛が少し重めでも真っすぐにそこが取れる方が鯛ラバには有利みたいです)ネクタイのカラーは皆さんが好き好きで試しておられますが,基本的にはオレンジ系とレッド系が年間を通して安定した釣果を上げているようです。
ちなみに鯛ラバのネクタイの色としては、写真左から通称オレンジ、エビオレンジ、レッドの3色、またはこれらの組み合わせがこのエリアの真鯛に人気(?)です。
鯛ラバの作り方(自作鯛ラバのすすめ)
市販の鯛ラバ(メーカー製)を使われるお客さんも多いようですが、こちらへよく釣りに来られる方々にはぜひ自作の鯛ラバで楽しまれることをおすすめしています。瀬が多く根掛かりに悩まされるポイントもありますので。(材料費は1個あたり100円かかりません。根掛かりロストしても財布に優しいです。)
①材料はこれだけ。 ②シーハンターで針を結びます。 ③ルアー用のリングを通して結びます。
④フックはこんな感じ。 ⑤シリコンシートを切ってネクタイを用意。⑥古いPE等でしばります。
⑦スカートを6~8本ほどしばります。 ⑧残りの糸(PE)を切って完成。
フックのサイズやネクタイの色や長さ、スカートの色や本数などを変えることであたりがずいぶん違う気がします。
鉛は色なしでOK。鉛にリーダーを通してリングに結ぶだけで完全誘導鯛ラバとなります。
手作りの鯛ラバで手にした魚は喜びもひとしおです。ぜひ,お試しください。
ちなみに,私(船長)は年間を通して市販品は使わず手作り鯛ラバのみで勝負しています。釣れる実績のある鯛ラバの形状や色などについては地域性もあるため,思うように釣れない場合など,私が使っているものを見にきて参考にされるのもアリかと思います。乗船前に近頃釣れているタイプのカラーなどを尋ねられるお客さんも多いです。(情報は多いに越したことはありませんから…………)
アラカブ(カサゴ)を釣りたい方は…………
鯛ラバで真鯛をねらっていても,潮止まりや潮の緩いポイントではアラカブしかつついてこない時間帯もあります。
そんな時は仕掛けを変えてアラカブねらいに徹すれば,ブランド物の「早崎の瀬戸アラカブ」の数釣りが楽しめます。
おすすめの仕掛けはこんな感じ。鯛ラバ用タックルをそのまま使えます。(ただし,鉛が重めになりますので鉛負荷の十分なロッドをご使用ください。)
Created with 魚速タックルDB https://tackledb.uosoku.com/
胴付き仕掛けで鉛は30号~35号,枝針は2本,枝の長さは15cm前後にして親子サルカンでつなぎます。
サルカンの間隔とサルカンから鉛までの間隔は20cmほど,アラカブは釣り上げる時に回転しながら上がってくるため,親子サルカンでの接続は欠かせません。
餌は前もって釣れたアラカブの小さいのを3枚におろして,4~5cmの長さの短冊切りにしたものを必ず針に2回皮を通すようにしてかければOK。(皆さん,よくサバの切り身を用意されます。食いはいいみたいですけど,アラカブの切り身の方が餌もちはいいです。1切れの餌で10匹以上は釣れます。)
餌の代わりにワームなどを付けて釣られる方がおられますが,アラカブ釣りに関していえば「切り身を使った胴付き仕掛け」にまちがいなく分があります。鯛ラバで釣っても餌釣りの半分も釣れませんので,とにかく数を釣りたい方には切り身の餌釣りをおすすめします。(おそらく退屈しませんよ)
本船で禁止している釣り方
本船は鯛ラバメインで出船しております。いろいろな釣り方を希望されるお客さんもおられますが,複数の方々の乗り合いでは他のお客さんにご迷惑をおかけすることもありますので次のような釣り方はご遠慮いただきます。(同じグループで貸切であれば対応できる場合もあります)
※青物をターゲットとするジギング
※軽い鉛を使用する一つテンヤやマイクロジギング
釣り具はレンタルしておりません。各自でご用意ください。
ある程度の経験のある方や他の地域で釣り慣れた方でさえ,天草沖・早崎の瀬戸では底取りに苦労されます。タックルや鯛ラバは各自で十分な数をご準備願います。タックルについては根掛かりなどの際の破損もあり得ますので,少なくとも2セットは持ち込まれる方がよいでしょう。(慣れた私たちでさえ,タックル2セット+予備リール&ライン1セットを毎回持参します。)鯛ラバにしても根掛かりでロストすることを考えると十分な数をご用意されたほうがよいでしょう。
着底と巻き上げを繰り返す鯛ラバにとって根掛かりは避けて通れないリスクです。特に潮の止まる前と動き始めの時合には,大物がねらえる瀬と起伏の多いポイントを流します。重ねて申しますが鯛ラバのロストやPEの高切れに備えて必ず予備を携帯されてください。せっかくの時合に好ポイントで,ラインが足りなくなったり,ロッドを破損したりするのはもったいないことですから。
せっかく掛けた大物を逃さないようにドラグの調整やリーダーの傷にも細かく気を配りたいものです。
当初の鯛ラバといえば,固定式でスカートがふさふさしたものが多かった気がします。そのうちに誘導式が主流となり,タングステンなる高価な素材が店舗の鯛ラバコーナーの重鎮として君臨したかと思えば,ワーム系の素材やフラッシングなどがフックに当然のように付いていたり………。
(私個人としては,鉛に色を付けてもそれほどかわらない気がしますし,スカートも少なめの方が釣れると思うのですが。)
かといって,お客さんにはお薦めしません。釣りは自分が好きなスタイルで楽しめばいいものですから………。新しいのを試してみるもよし,釣れてる人のまねをしてもよし,これぞと信じるものにこだわるもよし。
けれども,釣りは確率が重要な要素ですので,時期や天候によって鯛ラバのネクタイカラーを選んだり,潮に合った巻き方を工夫したりなど,より釣果を上げるためには年間を通して鯛ラバを使った釣りをしている私たちのパターンは参考になるかと思います。
「釣れない」「ヒットカラーに迷った」「釣り方がわからない」時は遠慮なくお尋ねください。
お客さん方のいろいろな釣り方から私たちもヒントをいただくことがたくさんありますし,これからもトライ&エラーを繰り返しながら真鯛釣りを極めていきたいものです。