2014年下半期の足跡

投稿日: Dec 15, 2014 2:44:59 AM

山岡 2014年度下半期の活動

1)何と言っても下半期最大の出来事は念願のハナカマキリの論文が、他に先を越される事無くZOOLOGICAL SCIENCE 12月号に“Double-trick mimicry by the juvenile Orchid Mantis for capturing Oriental Honeybee”として掲載されその写真が表紙としても採用されたことです。掲載が日本の学会誌の英語版になってしまったことは残念ですが、競争相手もありやむを得なかったと思っています。NatureもScienceもバカですね。こんなに面白いテーマは100年に1回しかでてこないのに。

次はアリの巣仲間識別や分業識別の本当の本当に迫るつもりです。みなさん体表炭化水素の全てを使って比較していますが、それは違います。それぞれの成分が単独あるいは組み合わさって色々な情報になっているのです。加齢因子と思われる成分も見つかっています。ここだけの話ですが、アリの世界では有事の時には老婆が最前線で戦います。日本ではどうなるのでしょうか。

種内では何の情報にもならなくても、種外に対しては立派な情報になっている場合もあるでしょう。北條君のRoyal Societyに載った論文でもクロオオアリのオスと有翅女王アリの体表炭化水素成分組成は全く同じで、それぞれに特有の成分は全く見つかりません。不思議です。いくつかの成分の組成比が違うだけです。それにもかかわらずワーカーは両者の違いを見分けます.今が全ての合成品を組み合わせてチャレンジするときかもしれません。

2)昨年12月なかばに翻訳出版された『アリたちとの大冒険』、5月末の時点で1150冊売れていたそうです。現在もそこそこ売れているらしいので早く完売になればよいのですが。

3)福島市立済利中学校の菅野俊幸先生のアリによる種子散布の研究に協力して彼が読売新聞社主催の『読売教育賞』の最優秀賞を受賞し12人の受賞者を代表して三笠宮妃の前で挨拶を行う栄誉によくしたとのことでした。おかげでお礼に福島県産の美味しい果物をいただきました。

4)EOS会の主要なメンバーの一人山極寿一くんが第26代京都大学総長に選ばれました。彼はゴリラの生態学、行動学が専門でご存知の方も多いと思います。私と二人だけで話している時に井上民二君が生きていたら彼が総長になっていたかもしれないな、と言うところで意見の一致をみました。

それから面白かったのが,総長就任の記者会見がいきなり行なわれ,記者から先生の座右の銘は何ですかと聞かれ、そんなものはなかったので、思わずゴリラのボスを思い浮かべ、泰然自若ですと答えたそうです。肚の座ったなかなかのこうじんぶつです。就任見舞いのEOS会は11/16日に盛大に行われました。その時に保賀君と私の合作で用意した感謝状を彼に贈呈したのですが、それが総長室の壁にかかっているそうです。一度表敬訪問をしないと、、、。

5)パーキンソン病が左足で進行し歩行に障害がでてきました。車椅子には乗りたく無いので、2015年の1月の一ヶ月間宇多野病院に入院しリハビリを受ける事を決断しました。全身運動を伴うかなり激しいもののようです。

もちろん頭の方も活性化され、新しいアイデアがどんどん飛び出して来る事を期待してのことです。

山岡

平成26年12月11日