2013下半期から2014上半期までの足跡

投稿日: Jul 28, 2014 1:12:24 AM

最近の山岡の活動(2013−2014)

1)Adventures among antsの訳本、アリたちとの大冒険ー愛しのスーパーアリを追い求めてーが昨年の12月15日に京都の化学同人より出版されました。

なかなか癖のある手強い本で訳者の皆様には大変苦労をかけました。出来上がってみるとやはりやって良かったなという気持ちで一杯です。読み返してみるとああすれば良かった、こうすれば良かったと言う箇所は多々ありますし、自分自身の語学力の低下も感じますがまだアルツハイマーではない事だけは確かなようです。本の売れ行きはそこそこのようです。

2)BMSコンファレンス招待講演

7月8−10日まで大分県の、、、で開催された第40回BMS(バイオロジカルマススペクトロメトリー)コンファレンスに招かれ前世話人代表として“愛しのGC/MS”のたいとるで講演をおこなった。さすがに恒例の夜の部は出られなかった。言いたきゃ無いけど歳を感じます。

3)2013年は正念場だった。

ハナカマキリと東洋ミツバチの不思議な関係を超一流のNatureかScienceに

載せるべく、秋野先生、水野君とも死力を尽くして努力した。10/8日が最初の悪夢の日となった。Natureから送付から数日後にrejectのメールがとどいたのだ。Rejectの最大の理由は興味深いけれども時流には乗っていない、ようするにそうゆうことのようだ。Nature関係の別の科学誌を紹介してきた。それならと今度はScienceに投稿した。一時審査はパスしたのでこれは行けると喜んだが二次審査でおとされ万事窮す、これで最後の花道を飾りたいと淡い期待を抱いていた夢は消し飛んでしまった。

擬態に重点をおかず、もっと単純明快に化学生態学的に、ハナカマキリは欄の花に擬態して昆虫をだまし誘引しそれを捕獲するといわれているが、よく調べてみると餌として捉えられている昆虫の大部分が東洋ミツバチである。それもカマキリの顔の真正面から接近しその鎌の届く距離でホバリングする。そこでその行動の原因がカマキリの東洋ミツバチ誘引物質の分泌にあるのでは無いかと考えカマキリの大アゴを引き抜き基部を抽出しTMS化後GC/MS分析に供した。その結果東洋ミツバチの働きバチが大アゴ腺基部に保有し仲間を誘引するのに使うとされる二つの物質の存在が認められた。またカマキリはミツバチの飛翔を認めた時のみそれらの物質を分泌していることも確認した。標品を使った生物検定でも、両者の混合物は日本ミツバチを屋外圃場で誘引した。

東南アジアの熱帯雨林内で確実にその餌を確保するために、ハナカマキリがとった戦略、すなわち個体数の最も多い東洋ミツバチの巣仲間誘引物質を生合成し大アゴ腺類似物基部から分泌するようになったのかは、熱帯雨林の中での生き残りをかけたその共進化の産物であるが、その過程は謎に包まれ非常に興味深い。また植物でもミツバチ欄ー金陵辺ーのように同様の二つの物質を分泌し送粉者として東洋ミツバチを誘引する例も報告されており、生物界の複雑さには眼を見張らせる物がある。

4)HOGAラボの開所式(7月28日)

EOS会の呼びかけ人の代表者の一人保賀昭雄氏の理化学研究用機器製作所本社ビルの開所式が4時から、もともと彼のお風呂屋さんとラボ事務所の建っていた場所に新築された同ビル1階で行われた。呼びかけ人はEOS会主要メンバーで次期京都大学総長になることが最近発表されたゴリラ研究の山極寿一氏と私と竹門氏の3人であった。参加者は堀場製作所会長最高顧問堀場雅夫氏をはじめとして京都大学の向島、疋田両教授、ウミガメの亀崎教授、などなど80名以上で酒宴はエンドレスで続いた。堀場会長が9時近くまで残っておられたのは希有のことらしい。その時に隣に座っていた山極さんに総長に立候補したらどうなの、とからかったのを思い出す。その隣に座っていたのは評価委員の堀場さんだった。山極さんは黙して語らずであった。日高敏隆先生もご存命ならさらに充実した開所式になったに違い無い。奇人,変人の代表のような保賀君のお祝いにこれだけの人間が集まるのは今世紀の大きな謎である。

5)TV出演:2/8の原理

久しぶりにTBS系列のTVから出演依頼があった。その前にも二つくらいあったが黒澤プロとの問題や予算の関係で実現しなかった。今回のものは2/8の理論をアリを使って見せて欲しいと言う物で、依頼してから2、3日以内に撮影出来ないかとの不可能に近い要求だった。秋野先生に相談したところ院生の薮下君がクロオオアリを幾つもの部屋をつないだ状況で飼育しており、それを使えばTV用の映像はとれるかもしれないとのことだった。フィールドに出ている働きアリたちを取り除くと、一番巣外に近い部屋にいた働きアリが巣外に出て来て働き始め、働いている二割を取り除くと、巣内で遊んでいた者のうちの二割が働き出す事が映像化できた。放送は残念ながら関東地区のみで流され関西ではお目にかかれなかった。