2012.12.11 2012秋から年末までの足跡

投稿日: Jul 21, 2013 9:52:41 PM

山岡の最近の活動

1)アリの本の翻訳

京都の出版社化学同人からの依頼でE.O.Wilsonの弟子で探検分筆写真家Mark Moffett 氏著の”Adventures among Ants”の翻訳を行っています。素晴らしい写真入りの著書ですが文字も細かく文章も時々難解な部分もあるため山岡組アリ班の5人に助っ人を頼んでいます。

分担はイントロ、結語、第6章のアルゼンチンアリを山岡が、第1章のヨコズナアリを秋野氏、第2章アフリカ軍隊アリを北條君、第3章ツムギアリを和田さん、第4章アマゾンアリを乾さん、第5章ハキリアリを直さんにそれぞれお願いしており、ごく一部を除きすでに素晴らしい出来の完成原稿が手元に届いています。

山賊のような風貌の著者で、アリの中に体当たりで飛び込んでおり、ナショナルジオグラフィックの常連でもあり、全て彼の実体験を元に書かれています。本のタイトルを“アリの社会/ヒトの社会”にしようかなと思うくらい両者の比較も示唆にとんでおり、さすがにウイルソン先生の弟子だなと感じます。かなりのアリたちが水泳が得意とか、滑空が得意なアリとか、1兆匹もおり地球征服を狙っているアリとか、興味深い話とすごいとしか言いようの無い写真がちりばめられています。

2013年の夏には出版されるので皆さん是非手に取ってご覧になり、納得してぜひ買って読んでください。

2)EOS会の活動

EOS(ラテン語でエイ・オウ・ス)と発音し、自分自身で輝くオーロラのようなヒトや物をさします。命名者は私です。故日高敏隆先生と堀場製作所の創業者堀場会長を囲んでEOSな連中が分野を超えていろんな話をしようと言う趣旨の会です。現在のメンバーの数は50人です。事務局を発明家の保賀君が担当してくれており、主要なメンバーとしてゴリラの山極氏やイルカの幸島氏、トカゲの疋田氏、アリの山岡氏、ハエの伊藤氏などもいます。一年に4、5回それぞれプレゼントを持って集まって、お酒を飲みながら一人5分くらいの近況報告後くじ引きをおこないプレゼントを取る順番を決めます。いつも人気があるのが山極さんの持って来たプレゼントです。彼は60歳ですが、次期京大学長候補かもしれません。来年は“エイオウスル”と言う言葉を流行らせたいと思っています。

3)アリのサーカス団

アリの準備は苦労しましたが何とか出来ました。

苦労1)クロオオアリのコロニー数が最近激減しており犯人探しの主役が見つけにくい。これはサッカーのムネアカオオアリにも言える。幸いムネアカオオアリについては一昨年確保したコロニーに女王が残っており新しい働きアリが産まれて来たので、来年度もそれを期待したい。

苦労2)山岡式採取法でクロヤマアリの蛹を採取しヘキサン抽出後抽出液を簱竿につけて運ばせたが旨くいかないコロニーがあった。その結果どうも旨くいかないコロニーはハヤシクロヤマアリらしいことがわかった。アリは種違いの蛹の判別が可能なようで、一昨年の失敗を思い出してなぜそれに早く気が付かなかったのかと悔やんだ。

8月23日10時から11時半まで北白川幼稚園で50組の園児とその父兄100人ほどを相手にアリの話をしました。ちなみに私はこの幼稚園の第3期の卒園生です。アリの絵を描かせたり、アリの顔と人間の顔を使って目、耳,鼻、口、手とアリの各部位の対応をしてもらったところ、一人だけすごい女の子がおり、見事に触角と目以外の全ての部位を結びました。驚きました。日本も安泰です。

4)ハナカマキリの擬態の研究

7/22日NHK TV放映のダーウインが来た“美しい狩人、花になったカマキリ”に大学の化学生態学研究室が登場したのを見てもらえましたか。私と秋野先生の名前も番組協力者として出ました。友人の昆虫写真家山口進さんからの番組内容についてのコメント協力依頼の電話をもらったのがこの話の発端です。彼の言うことには、ハナカマキリに狩られる獲物のほとんどがミツバチで一秒間2000コマの高速度撮影をするとカマキリの顔の真正面からミツバチが着花体勢に入りながら接近し、丁度鎌の届く距離でホバリング静止し容易く捕まってしまうとのことでした。なぜでしょう。私はその時はミツバチがジャワ島に多いアピス コシェビニコビだと思っていたのでピンと来ませんでしたが、映像を見せてもらってミツバチなど昆虫の専門家まず地環研の酒井女史に相談、そこでミツバチなら京大の市岡先生、さらに九大のミツバチの分類屋さんまで手を煩わせてミツバチは東洋ミツバチとの結論を得ました。東洋ミツバチの亜種の日本ミツバチなら、金陵辺との関係をやったことがあり今回も誘引物質が関係するのではないかとピンとくるものがありました。その後の研究の進展はすごく目を見張るものがありますが、そこは次回のお楽しみとして残して置く事にしましょう。