機械保全技能検定は、厚生労働省の「技能検定」制度の中の1つの職種で、1984年から実施されました。当初は機械系保全作業のみでスタートしましたが、設備の高度化に伴い、91年に電気系保全作業が、99年には設備診断作業が追加され、現在もこの3つの科目で実施されています。たとえば、電気系保全作業を受検して合格すれば、機械保全技能士(電気系保全作業)と称することができます。
また、等級区分については、当初は1・2級に区分されていましたが、91年に特級が、2003年から3級が新たに追加されました。ただし、特級は科目の区別はなく、3級の科目は機械系保全作業・電気系作業保全の2つです。
試験は前期(夏期に実施)・後期(冬期に実施)で実施されます。機械保全の3級は前期、特級・1級・2級は後期の試験です。
■機械保全の受検申請者数は全職種中2番目!
都道府県職業能力開発協会が実施する技能検定には128職種あります。この中で、機械保全技能検定は人気職種で、近年は毎年約30,000人がチャレンジしています(2013年度実績:受検申請者数 33,191人<特級・1・2・3級>)。これは全職種中、2番目に多い数字です。「保全」という名称が付いていますが、決して企業内の設備管理や保守担当のエンジニアだけでなく、むしろ運転・製造担当の方の受検が目立つようです。企業内において、「モノをつくるだけの人」ではなく「モノをつくる設備を管理できる人」へのニーズが高まっていることの表れでしょう。
■1・2級は3つの科目(専門作業)から選ぶ
前述したとおり、1・2級の機械保全には3つの作業があります(下表)。例年、機械系がもっとも受検者が多くなっています。受検者が少ない設備診断作業は非常に専門性の高い内容ですので、たとえ実技が要素試験であっても、それ相応の経験と知識が必要となるようです。
今の生産現場では、「設備を知る・構造がわかる・異常に対処できる」人材が求められています。単にモノをつくれるだけではなく、モノをつくるための設備、条件を管理できる能力が必要となっています。こうした背景からも、「機械保全技能検定」は、専門保全の担当者だけでなく、広くモノづくりに従事する方々が取得すべき資格として製造業に定着しています。