上質な炭水化物(糖質)とは?《世界の主食は炭水化物(でんぷん)である由来》
脳はブドウ糖と酸素がなければ、生きていくことができません。脳は栄養分を貯蔵することができません。脳に関して言えば、炭水化物は他のどんな栄養素より重要であり、二つの働きをもっています。“燃料”としてエネルギーを脳に供給するだけでなく、神経伝達物質(特にセロトニン)と合流して、睡眠と覚醒、情緒、外的な反応(行動)をコントロールする役割を持っています。
セロトニンは、“幸福をもたらすホルモン”です。トリプトファンは、セロトニンの前駆物質ですが、トリプトファンが脳によって最も効率よく利用させるためには、一定量の炭水化物(糖質)の複合体が必要です。そして、その量は動物性の物質、とりわけ動物性脂肪より多くなければなりません。眠気を誘ったり、精神的な興奮を鎮めたりするために、十分なでんぷんが世界の主食となって、米料理を食べたりパスタを食べるのは、そんな理由があるからです。炭水化物の複合体(たとえばパン、とうもろこし、米、粟、ナン)があるだけで、セロトニンのプラス効果を導くことのできる十分な量のトリプトファンが、脳や血管内の障害物を乗り越えることができるのです。
炭水化物を多く含む食事を取ると、インシュリンの分泌を刺激し、他のアミノ酸の通過を妨げるために、トリプトファンが通り道を確保してくれます。つまりインシュリンはトリプトファンにとって力強い味方になるわけですが、低タンパク質の食事や炭水化物の豊富な食事を取ったときにだけ、そのような働きがあります。
どの食物を口にするかによって、私たちの身体に与える効果も大きな違いが生じます。精製した砂糖が体内に入ると、消化される必要はなく、僅か数分足らずで血液内で循環を始めますが、それに対してでんぷんのように分子が長い鎖状になっている糖質は、単体の糖質に分解されるまでかなりの時間が必要となります。さらに、でんぷんを含む穀物や野菜類(ジャガイモ、カボチャ)には、体内でゆっくり吸収される食物繊維や他の糖質の複合体も含まれています。でんぷん(主食)で脳に安定したエネルギーが供給されることになります。
一般家庭や製菓工場で使われる、精白砂糖は他の全ての複合体からサッカロースだけを分離して作られたものです。
それに対してでんぷんは、グルコースの分子で構成され、麦類や米、ジャガイモ、とうもろこしなどに含まれています。
炭水化物(糖質)の選択は重要です。精白糖の過度の消費は健康に著しい問題を引きこすだけでなく、個人の行動や学習能力、とりわけ幼児の行動や学習能力に差がでるといいます。研究では、糖質への要求には強弱の波があり、周期性があることが明らかになっています。それぞれの単位に従って、正確な規則性があるというのです。常習性があります。
日常茶飯の中にある主食の成分は、身体に働き掛け、精神状態にまでも起因する何にも変えがたい大きな重要性を持ちます。
認識を組みなおすことが必要です。