概要
アラスカの大地には多種多様な動植物が存在していて独自の生態系を築いている大自然の宝庫であり、またベルクマンの法則(恒温動物にいては、同じ種でも寒冷な地域に生息するものほど体重が大きく、近縁な種間では大型の種ほど寒冷な地域に生息するというもの)からも見られるように大型の動物が数多く存在していて、植物は広範に永久凍土が分布し南側ではタイガ(北方性針葉樹林)が見られ、それらもアラスカの雄大さをより一層きわ立たせている。
哺乳類
ムース(ヘラジカ) 体長 2.1〜2.7m
シカの仲間では最大の種類でありアラスカに存在しているものは世界のムースの中でも最大のものであると言われている。針葉樹林と落葉樹林の混成樹林に生息する。万が一野生のムースと遭遇してしまった場合には手を挙げ、掌をムースに向けながらゆっくりと後退するのが良い。ムース等ヘラジカは、その他野生動物と違い至近距離で遭遇した際には、障害物等を利用して全速力で走ることが最適解となる。
カリブー(トナカイ) 体長 1.8〜2.2m
オスメスともにツノを持つ唯一の鹿。何千何万という群れで季節移動することがあり、その距離は数百マイルに及ぶこともある。漢語では馴鹿と書くように親類が最も古く家畜化した動物の一つでもあり、乳用、食肉用、毛皮用だけでなくソリを引く使役や荷役にも利用された。
グリズリーベア(ハイイログマ)
体長 1.8〜2.7m 北海道のエゾヒグマと同様の種であるがエゾヒグマよりも肩のこぶ等大型でガタイがよく見える。また体毛の色も少し違う。雑食性であり魚、木の実、野菜のほかに小動物、ムースの子供等を襲うこともある。現在の日本のようにアラスカでもグリズリーによる事件は発生していて、基本的に臆病な性格であるため人間を避けるが至近距離で遭遇してしまった場合には、目線を逸らさずゆっくりと後退りし、遮蔽物で目線が切れてから全力で逃げ出す。近づいてきた際には熊スプレーを使うしかない。
ブラックベア(アメリカクロクマ)
体長 1.2~1.8m
アラスカに生息する熊の中では最小の種でありこちらの種もグリズリーと同じように雑食性であるがより草食性が強く、性格も比較的温和であり顔立ちも愛らしいため「くまのプーさん」や「テディベア」などのキャラクターのモデルになっていたりもする。しかし餌が少なくなる時期に日本のシカなどと同じように樹皮を食べてしまうと言った林業被害を出すこともある。遭遇してしまった場合の対処法は一般的な熊と大差ないが、市街地によく出てくることもあり人間に慣れた個体と遭遇してしまう可能性があると考えられる。
リンクス(オオヤマネコ) 体長 1m
針葉樹林や低木林に生息し、野うさぎ等齧歯類に加え、昆虫、鳥類も捕食し、大型動物の死骸を食べることもある。短いしっぽと体の大きさに比例した長い足、耳に房毛を持っている。基本的に人間の前に現れるということはない。アメリカ合衆国の米魚野生生物当局で絶滅が危惧される種であり、首輪付き等愛玩動物になる事例は数例で、日本ではお目にかかることができない。
ハイイロオオカミ 体長 1.4〜1.8m
犬科最大の種であり、通常オスメス混合のむれでチームワークを駆使して狩りを行う。ボディランゲージ、表情、遠吠え等で群れの内外でコミュニケーションを行う。他の動物同様に幼齢時の死亡率が高いが、成熟個体は5から 10 年ほど。送り狼という言葉もあるが実際人間を襲っているのが確認されたのはほとんどが狂犬病の個体であり、人を襲うことは滅多にない。
ビーバー 体長 0.9〜1.2m
大きな前歯が特徴であり、河川、湖、池、沼などの周囲にある湿原に存在する。ダムを作る能力を有していて、そのダム湖に営巣する。そのため「 自分の生活のために周囲の環境を作り変える人以外の唯一の動物」であると言われている。警戒心の強い動物であり、不用意に近づくと、歯でひどい怪我を負わされることもあり、動脈を傷つけるなどして氏に至らしめることもある。またダムを作るために森林破壊を起こすこともある。
マウンテンゴート(シロイワヤギ)
体長 1.2〜1.7m 急峻な岩場に生息し、白く長い体毛が特徴。ヤギと名前 についているようにカモシカに近い種族である。足は登 山靴のようになっていて 3m ほど跳躍することができ る。天敵はリンクス、オオカミ、グリズリーであるが返り討ちにして殺 したと見られる事例もある。
鳥類
ハクトウワシ
全長 0.7〜1.1m 白い頭と尾が特徴の鳥であり、アメリカの国鳥である。多 くのアメリカインディアンから神聖な動物として扱われ ている。ウミワシ属であり主に魚類を食べるが水鳥、哺乳 類や爬虫類、動物の死骸なども食べる。迷鳥として北海道 で確認されたこともある。乱獲や農薬による汚染やポリ塩化ビフェニル 等の汚染で分布域が縮小していたが、継続的な保護活動により現在では 個体数が順調に回復している。
ワタリガラス(レイヴン)
全長 55〜68cm カラス科最大の鳥であり、日本では北海道に渡り鳥として やってくる。数々のアラスカネイティブ神話に賢い存在と して神格化され登場する。主に肉食であるが、フルーツや 虫、種子、穀物などなんでも食べる。認知能力は類人猿に匹敵するとか。 人間の四歳児以上とも。
ライチョウ
全長 36cm 日本に生息するライチョウと同種であり、夏羽のオスは 黒褐色でメスは黄褐色。山岳地帯の岩場で普通に見るこ とができる。日本のライチョウは江戸時代よりもずっと 前から山岳信仰者にしられ、神秘性を帯びた「神の使者」の鳥とされて いた。
トウヒ
北アメリカ北部の森林のほとんどがトウヒでなっておりそれを超えるとツンドラとなっている。「取木」とよばれるそ生殖方法を行い。低く垂れ込めた枝が地面に接触すると新しい幹から根が生え自らのクローンを作って増殖していく。これがクローン造りと呼ばれるのは種から生まれるからではないためである。特殊な細胞構造をしており零下 65 度でも生きていくことができる。
ワスレナグサ
アラスカ州の州花であり、実際に花の姿に接することが少ない花。 春から夏にかけて先端が蠍の尾状に巻いた総状花序をだし,短い柄 に瑠璃色で中心が黄色い小花を次々と咲かせる。日本には明治時代 に初めて輸入された。古来より友愛や誠実の象徴として広く親しまれており、花 言葉は名前通り「私を忘ないで」というのも含まれている。
アラスカヒメシャクナゲ
寒地の湿原に生息している。ピンク色の花からなる散形花 序。有毒成分であるグラヤノトキシンを全株に含有してお り、口に含んでしまうと、嘔吐、下痢、血圧低下、めまい、 痙攣をおこしてしまう。お茶として煎じて飲んでも毒性は変わらないため注意が必要。(写真はシャクナゲ)
オオタカネバラ
樹高は 1〜1.5m になり、枝はよく分岐する。枝には帯白 色の刺針が多生していて、小枝の先端に 1〜2 個の花をつ ける。花の径は 4〜5cm、紅紫色の5弁花で多数の黄色い 雄蕊がある。果実は長さ2cm の倒卵状狭紡錘形になり黄赤色に熟す 。