資源生態学ゼミ(通年)
毎週木曜日 13:00から
北洋研ゼミ室(W104) ※変更になることがございます。
バイオロギングシンポジウム (ワークショップ)
2020バイオロギングジウムワークショップ GPS追跡による海鳥に対する洋上風発リスクマッピング
綿貫豊(北海道大学)*・関島恒夫(新潟大学)・河口洋一(徳島大学) 問い合わせ先: *ywata@fish.hokudai.ac.jp
再生可能エネルギーの必要性は益々高まっており、その一つが洋上風発である。各地で建設が検討されている。設置場所が最も大きな問題である。海洋生態系への影響を可能な限り減らすためには、まずは設置場所を検討する必要がある。もっとも懸念されるのは海鳥への影響である。海鳥のGPS追跡を行い、感受性の高い場所をモデリングし予測する技術の開発について、環境省総合研究推進費4-1803(代表関島)で行われた研究成果を中心に議論する。
開催日時 11月27日 9:00~12:30 オンライン
参加方法 11月26日までに、綿貫へ、メールで氏名・所属・メールアドレスとともにお申し込みください。
プログラム
9:00~9:10 趣旨説明
9:10~9:50 三上かつら・風間健太郎・風間麻未・綿貫豊(北大水産)
カモメ類2種が風車のブレード高を飛行するのは海域のどんな場所か?
再生可能エネルギーの導入は、持続可能な開発のための喫緊の課題である。洋上風力発電は、最近導入された選択肢の1つである。日本国内において、風車が野生生物や生態系に与える影響はまだ十分に調査されていないが、プロジェクトは次々と計画されており、リスクマップの作成が急務である。2016~2019年に,北海道北部で繁殖しているウミネコ117羽とウミネコ21羽をGPSで標識し, 3D飛跡を用いて風車との衝突リスクを増加させる環境要因を調査した。
9:50~10:30 佐藤雄大(徳島大)・藪原佑樹(千葉県庁)・佐藤夕夏(帯広畜産大)・赤坂卓美(帯広畜産大)・風間健太郎(早稲田大)・山内彬弘(徳島大)・大門純平(北海道大)・ 綿貫 豊(北海道大)・河口洋一(徳島大)
北海道道東部で繁殖するウトウおよびオオセグロカモメの育雛期におけるハビタット利用
本研究では,北海道道東部で繁殖するウトウおよびオオセグロカモメを対象に,2種の利用海域とハビタット選択に影響する海洋環境要因を明らかにするこ
とを目的とした.GPSロガーを用いた行動追跡により,移動範囲は2種ともに営巣地周辺の水深200m以浅の海域に集中することが明らかとなった.また,統
計モデルによる解析の結果,こうした行動は,餌生物の選好する水温帯分布に影響を受けていることが示唆された.
10:30~11:10 風間健太郎(早大・人科)・綿貫豊(北大・水産)
あるウミネコ繁殖地で構築された採食場所予測モデル用いて他年および他繁殖地の採食場所を予測することは可能か?
洋上風力発電が海鳥に及ぼす影響を軽減するには、海鳥の採食場所を事前に予測して風発の建設地から除外する必要がある。GPSトラッキングデータから
ハビタットモデルを構築して繁殖地周辺の採食場所を予測することは有効である。採食場所の年変動や地域差をカバーするには複数年・複数箇所でトラッ
キング調査を実施する必要があるが、経費や労力の面から実現は難しい。ある年にある繁殖地で構築されたモデルによって、他の年や繁殖地の採食場所が
予測できれば効率的であるが、可能なのか?本研究では2016年から2018年に北海道利尻島と枝幸町のウミネコ繁殖地でGPSトラッキングを行い、採食場所
を1kmグリッドスケールで予測するモデルを年ごと繁殖地ごとに構築した。構築されたモデルに他の年や繁殖地の環境データを代入して採食場所を予測し
た結果、実測とはあまり一致しなかった。グリッドスケールを5kmに拡大すると予測と実測の一致度は向上した。空間解像度がある程度粗い予測であれ
ば、ある年ある繁殖地で構築されたモデルによって他の年や繁殖地の採食場所の予測は可能かもしれない。
11:10~11:50 鎌田泰斗(新潟大)・冨田健斗(新潟大)・早坂圭司(新潟大)・鳥井賢一(長岡技科大)・向井喜果(新潟大)・佐藤雄大(徳島大)・白井正樹(電中研)・平田和彦(千葉
中央博物館)・山本麻希(長岡技科大)・関島恒夫(新潟大)
洋上風力発電施設による影響の低減を目指したオオミズナギドリのセンシティビティマップ
本周辺海域に広く生息するオオミズナギドリは、今後推進される洋上風車による鳥衝突や生息地放棄が懸念されており、その影響低減のためにセンシティ
ビティマップの活用が求められる。本研究では、利島で繁殖するオオミズナギドリをGPS追跡し、得られた飛翔軌跡を用いて本種の利用海域を予測すること
を目的とした。採餌トリップとしては、主に伊豆沿岸や北海道沖を頻繁に利用していた。飛翔軌跡に対し、機械学習を適用した経路予測を行い、マップ作
成をする。
11:50~12:30 議論