口腔筋機能療法
口腔筋機能療法(MFT)とは「歯列を取り巻く口腔周囲筋の機能を改善する訓練法」です。歯列は、舌・口唇・頬などの口腔周囲筋から絶えず圧力を受けています。咀嚼・嚥下・発音・呼吸など、口と関連する機能に問題がある場合、歯列に及ぶ筋圧の均衡が崩れ不正咬合や矯正歯科治療の後戻りなどの原因となります。口腔周囲筋の機能を改善することにより筋圧の不均衡を是正し歯列の正常な形態を維持するための環境を整えることがMFTの目的です。
MFTは主に矯正歯科と関連して実施されていますが、小児の口腔機能育成、高齢者の口腔機能回復、歯周・補綴における力のコントロールなどにも応用されています。
口腔と関連した機能に問題を生じさせる要因として食べる機能の発達不全、鼻疾患、扁桃肥大、口腔習癖、舌小帯短縮症、顎骨の形態異常、神経筋機構の病変などがあげられます。
MFTの指導では、歯科衛生士さんが重要な役割を担っています。
MFTは、1.個々の筋肉の訓練、2.咀嚼・嚥下・発音の訓練、3.口唇と舌の姿勢位の訓練の3つの要素から構成されます。
個々の筋肉の訓練では、舌、口唇、軟口蓋、咀嚼筋など、それぞれの筋肉の機能改善を図ります。筋肉の力を強めるだけでなく、緊張しすぎている筋肉をリラックスさせ、全体的に調和のとれた状態を目指します。
咀嚼・嚥下・発音の訓練では、これらの口腔機能の総合的な改善を図ります。MFTにおける咀嚼・嚥下・発音の訓練は、摂食・嚥下リハビリテーションや言語指導とは対象と目的が異なります。摂食・嚥下リハビリテーションの対象は「水や食べ物が飲み込めない、肺に入ったりする」という問題で、目的は「栄養失調を防いだり、誤嚥性肺炎を防いだりする」ことにあります。また、言語指導の対象は「正しく発音ができないので意思が通じにくい」という問題です。これらに対し、MFTは咀嚼・嚥下・発音の訓練は「機能時における筋圧の不均衡を是正する」を目的としています。
口唇と舌の姿勢位の訓練では、安静時にいつも口唇と舌が正しい位置にあること、すなわち、①口唇はリラックスした状態で閉じ、②舌は口蓋にリラックスした状態で挙上し、③上下の歯は離れている、という状態を目指します。
必要に応じて呼吸、市政、態癖に関する訓練、吸指癖、吸唇癖、咬爪癖などの習癖指導を加えます。そして、正しい咀嚼・嚥下・発音が日常的に行え、唇と舌の正しい位置が習慣化されることが最終目標となります。