講演動画『福島原発事故 被ばくと避難―政策の裏側を追う―』日野行介さん(毎日新聞記者)2015年5月6日
投稿日: 2015/05/11 9:25:01
当日の資料は下部からダウンロードできます。
2015年5月6日「第3回ふくかなトライアルセミナー」
会場/ かながわ県民活動サポートセンター
講師/毎日新聞記者 日野行介さん
主催/福島原発かながわ訴訟を支援する会・略称「ふくかな」
去る2012年6月に衆参両議院の国会議員「全会一致」のもと、画期的ともいえる「原発事故子ども・被災者支援法」が成立した事をご記憶でしょうか?
この法律の素晴らしい点は、「地域」の復興や再生よりも、むしろ健康上の不安を抱え、生活上の負担を強いられている「被災者」、すなわち「人」の生活支援に重点が置かれていることにあります。「福島復興再生特別措置法」が「地域」の復興、再生に重点を置いているのとは対照的な法律です。
支援法の第1条では「放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていない」ことが明記され、危険か安全かの論争をはなれて、「被ばくを避ける権利」が認められました。具体的には、「とどまる、安全になったら帰還する、移住する」のいづれも、被災者本人が選択できる。そしてそれにむけて国からは平等な支援(生活・医療・就労・教育など)が得られるというものです。さらに加えて、子どもと妊婦には特別な配慮が必要であると明記されています。
この法律の支援対象となる「一定の基準以上の地域」については、本来ならば、原発事故以前の汚染の無い状態を規準にしてもらいたいところですが、少なくとも原発事故以前から定められている一般公衆の被ばく限度「年間1ミリシーベルト」以上の地域が指定されるものと、放射線のリスクを心配している多くの人々が期待していました。「避難指示」のめやすとされた年間20ミリシーベルトに捉われない、「自主避難」への支援が実現できるからです。
しかし2012年の秋、「白黒つけずに (この法律を)曖昧なままに棚上げすることに関係者が同意した」ということが毎日新聞で報じられました。その調査報道を担当したのが、今回のセミナーの講師 日野行介さんです。
そののち、2013年8月に、この法律に基づいて政府の「基本方針」が閣議決定されましたが、肝心な点が明記されない骨抜きのものでした。そして現実は、この支援法の基本理念とは逆行する「20ミリシーベルトの地域線引き」と「早期帰還政策」が一気に進み始めました。これによって、除染もインフラも不十分なまま、避難者は「避難か帰還か」という残酷な二者択一を迫られ、賠償も打ち切られるという苦境に追い込まれています。
この間の動きの陰に何があったのでしょうか ?
国は国民を守ってくれるはずではなかったのでしょうか ?
この裏事情を取材し著書「被災者支援政策の欺瞞」を出版された 毎日新聞記者 日野さんのお話をお聞きします。
福島だけの問題ではなく、私達の子供達を守ることにもつながるとの思いで、ぜひお聞き下さい。