創発シンポが初めての皆さま,ご興味を持っていただきありがとうございます.
リピーターの皆さま,今年もよろしくお願いします.
創発システムシンポジウムは,「創発」のキーワードのもと多くの分野の
研究者が議論を交わす,合宿形式の集まりです. 通常の学会発表では
時間や形式の制約上,納得いくまで説明したり質問したり,多くの人と
議論したり,偉い先生と話をしたりということはなかなか難しいでしょう.
本シンポジウムでは,同じ場所に宿泊したうえで,ポスターセッション・
講演の分科会・グループディスカッション・立ち話(や酒盛り)等を通じて
の交流促進を狙っています.萌芽的な研究をポスターで発表していろいろな
コメントをもらったり,多くの分野の人と交流して視野を広げたり,デキる人と
深い話をしたり,楽しく有意義な時間を過ごしていただきたいと思っています.
創発(emergence)は,あるいは聞きなれない言葉かもしれません.
うまく定義するのは難しいのですが,例えば“個々の(単純な)振る舞いが
相互作用することで,全体としてなんらかの新しい(高度な)振る舞いが
生まれること”のように言えるでしょうか.
例えば脳.個々のニューロンは複数の入力をある種の閾値・変換・
遅れをもってまとめて出力するだけのものですが,
それが多く集まることで複雑な思考機能を作っています.
例えば歩行者の流れ.混雑した駅の構内で,各人は人にぶつからない
ように目的地に歩きますが,指示を出す人がいなくてもそれらは自然に
群れをなし,上手に合流・分岐します.
例えば進化.各個体は本能に従い食事し闘争し子孫を残すだけですが,
他者や環境との相互作用の結果,種としての機能は“まるで飛びたい
から羽を持つことにしたかのように”変化していきます.
このように創発は我々の世界のありとあらゆるところに見られる,普遍的で
広い概念です. 本シンポジウムにも,情報学・工学・経済学・社会学・医学・
生物学・教育学,いろんな人たちが来ます.だから「俺は創発なんて知らない
から,創発の研究者じゃないからこのシンポジウムには参加できない」なんて
ことはありません.
皆さまと新しくてアツい議論ができることを楽しみにしています.
実行委員長 池田 心