過去の研究会概要

  ◆第49回研究会   2024/04/22  桑原 静 先生

100歳まで働けるものづくりの職場 -BABA labの取組み-

第一部:セミナー

講師は合同会社ババラボの代表である桑原静氏。さいたま市を中心に、シニアの役割づくりに資する取組を行う会社である。誰もが「長生きするのも悪くない」と思える社会を作るための仕組みを作っている。その一つのコンテンツとして『BABAlab さいたま工房』で、ものづくりを軸にした100歳まで働ける場づくりを長年行ってきた。自身の実の祖母がものづくりを得意としていたため、シニアが雑貨を作り販売するスキームで事業実施。


第二部:全体討論

  などの質問/意見が参加者より挙げられ、これらについて活発な討議がおこなわれた。 

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2024/04/22 19:00-21:00   於:オンライン(Zoom), 桑原静先生(合同会社ババラボ), 100歳まで働けるものづくりの職場 -BABA labの取組み-

  ◆第48回研究会   2024/01/15  﨑山 みゆき 先生

高齢者が働きやすい職場づくりと、それを実現するための社内人材育成へのチャレンジ ~事例紹介とその考察~

第一部:セミナー

講師は株式会社自分楽の代表である﨑山みゆき氏。シニアに対しての就労支援に従事したり、ジェロントロジー講座の講師を続ける中で、現代のシニアが「加齢について考える機会がないこと」「現実に対する理解が不足していること」に対して問題意識を持っている。シニア世代が働く際、内発的動機付けが少なく若年者よりも身体的疲労の蓄積が多いため、十分な配慮が必要であるということについて実践事例を踏まえた紹介が行われた。


第二部:全体討論

  などの質問/意見が参加者より挙げられ、これらについて活発な討議がおこなわれた。 

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2024/01/15 19:00-21:00   於:オンライン(Zoom), 﨑山みゆき先生(株式会社自分楽), 高齢者が働きやすい職場づくりと、それを実現するための社内人材育成へのチャレンジ ~事例紹介とその考察~

  ◆第47回研究会   2023/07/31  佐藤 つぐみ 先生

歳を重ねても「選択肢」がある生活を:誰もが人生の主役になれる!

第一部:セミナー

講師は株式会社ECの代表取締役で船橋市議会議員でもある。介護事業所と利用者が一緒にレクの時間を使ってはたらく「ななしょくプロジェクト」を2020年にスタート。デイサービスを利用する高齢者が日中の活動の一環として、コンビニやカフェで「はたらく」ための仕組みづくりをして実装した。具体的には、1回1時間の活動で3回来ると1000円分の商品券を高齢者に渡している。デイの職員が数名の利用者を引率してくる。町田市で行っているDAYS BLG!を参考にしている。


第二部:全体討論

  などの質問/意見が参加者より挙げられ、これらについて活発な討議がおこなわれた。 

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2023/07/31 19:00-21:00   於:オンライン(Zoom), 佐藤つぐみ先生(株式会社ソーシャルEC), 歳を重ねても「選択肢」がある生活を:誰もが人生の主役になれる!

  ◆第46回研究会   2023/05/22  長谷川 大貴 先生・服部 真治 先生

民間企業連携による高齢者支援 東京都八王子市における事業の紹介

第一部:セミナー

講師はJTBの職員として八王子市からの委託を受けて、就労的活動支援コーディネート業務を2021年12月から実施しており、民間企業と地域の高齢者とを結ぶ(繋ぐ)役割を担っている。

短期集中予防サービス(いわゆる”通所C”)事業の出口として、住民に就労的活動に取り組んでもらっている。勤労による報酬ではなくて、地域企業が多様な機会と場を提供しすることで、高齢者が役割や生きがいを持って社会に参加することが出来るように、さまざまな仕掛けを行っている。具体的には、旅行会社ならではの強みを活かして「特別編集 るるぶ八王子」を製作し、外出のきっかけになるよう働きかけている。シニア本人が好きなことや得意なことをもとにして、役割のある活動を提供しています。地域の企業や事業所との連携を点ではなく面として捉えることで、金銭の授受だけにとらわれない就労的活動の資源創出につながっている。


第二部:全体討論

  などの質問/意見が参加者より挙げられ、これらについて活発な討議がおこなわれた。 

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2023/05/22 19:00-21:00   於:会場(東京都健康長寿医療センター研究所 会議室)&オンライン(Zoom), 長谷川大貴先生ほか(株式会社JTB), 民間企業連携による高齢者支援:東京都八王子市における事業の紹介.

  ◆第45回研究会   2023/02/14  金澤 美冬 先生

サラリーマンが定年後のキャリアをスタートする難しさ、できること

第一部:セミナー

講師は、キャリアコンサルタントの立場から就労支援を続けている。その中で、特に定年前の男性サラリーマンが定年後のキャリアを形成することの難しさに気付いたという。そこで、本人や周囲の人が出来ることとは?という視点から、現在実践しているオンラインコミュニティを活用した実践について報告があった。定年を迎える直前に慌てて準備をしてもうまく次のフェーズに移行できないため、早くから情報交換をできる場として「おじさんLCC(ライフキャリアコミュニティ)」をつくり交流を深めている。

その背景として、会社に居ればロールモデルとなる人は見つかりやすいが、会社の外でロールモデルを見つけるのは容易でないという声が数多く寄せられたことがコミュニティを立ち上げるきっかけになったそうだ。コミュニティでの相互作用を通じて、定年退職という「転機」を上手に捉えて対処できるようになって欲しいと考えているそうだ。


第二部:全体討論

  などの質問/意見が参加者より挙げられ、これらについて活発な討議がおこなわれた。 

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2023/02/14 19:00-21:00   於:オンライン(Zoom), 金澤美冬(プロティアン株式会社), サラリーマンが定年後のキャリアをスタートする難しさ、できること.

  ◆第44回研究会   2022/11/14  三浦 研 先生

今、なぜ高齢者施設の就労参加なのか

第一部:セミナー

研究の端緒は、震災時の避難生活下でのケアのあり方や、ケアを行う環境に関心を持ったから。いかに日常生活と近い環境を作り出せるのか。福祉施設に入所したからといって、本人が出来ることも含めてすべてをケアワーカーが取り上げるのは望ましくない。施設の環境を工夫することで、本人が出来ることは引き続き自分でやってもらえるのではないかということで、建築学の見地から検討してきた。特養では職員との会話はケアに関することばかりだが、グループハウスでは人間関係があるので、会話が増える傾向である。

単に、施設の複合化をしても交流を生み出しにくい。そこで、仕事(就労)を媒介して、Open Twoの関係性をつくることを意識している。事例として、これまでに建築や空間デザインを手掛けたり、視察に赴いた場所について、写真をもとに解説が行われた。


第二部:全体討論

  などの質問/意見が参加者より挙げられ、これらについて活発な討議がおこなわれた。 


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2022/11/14 19:00-21:00   於:オンライン(Zoom), 三浦研先生ほか(京都大学), 「今、なぜ高齢者施設の就労参加なのか」.

  ◆第43回研究会   2022/09/12 沼田裕樹 先生・鶴田尚子 先生・市之瀬章二 先生

「町田市介護人材バンク」を活用した高齢者就労支援の実践について

第一部:セミナー

前半は、一般社団法人町田市介護サービスネットワークの3名の講師より、町田市介護サービスネットワーク「アクティブシニア」の取組みについての講演があった。町田市介護人材バンクでは、一般求職者・アクティブシニア求職者を対処として年12回のイベント(登録・相談会)を実施している。介護助手として周辺業務に従事しているシニアの多くは東京都の最低賃金(1,041円)で働いている。2年毎の更新を伴う会員登録が必要であり、有効登録者は374名。実際に就業しているのは3割程度。求人利用施設は218施設で有効求人数は220件(2022年8月)。多くの会員は、特養や老健で周辺業務を半日程度(主に午前中)行っている。本人の意向をヒアリングしたうえで、適切な施設に就労マッチングし、さらには継続的なフォローや特別講座・フォローアップ研修を提供している。

事業実施による良かった点として、①シニア自身の健康維持・増進につながっているのみならず、②若い職員への業務負担軽減や相談相手として精神的サポートになっており、③施設運営者からも仕事が丁寧で確実に対応してもらえるので安心であるとの声が挙がっている。さらには、シニアはすぐに辞めたりしないという声も聞かれた。地域の中で自分自身が役割をもって活躍していると感じて働いてもらうことが重要である。


第二部:全体討論

  などの質問/意見が参加者より挙げられ、これらについて活発な討議がおこなわれた。 

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2022/9/12 19:00-21:00   於:オンライン(Zoom), 沼田裕樹先生ほか(町田市介護サービスネットワーク), 「町田市介護人材バンク」を活用した高齢者就労支援の実践について.

  ◆第42回研究会   2022/07/04 宮崎宏興 先生

「社会のまじりあいを醸成する、高齢者の多様な労働」

第一部:セミナー

前半は、NPO法人いねいぶるの宮崎宏興氏より、高齢者の有償・無償での労働についての講演があった。障害者の支援からスタートしたが、子どもから高齢者まで地域のあらゆる住民を対象にするT-SHIPという活動を行っている。活動を進める中で「老いとは何か?」という問いにぶつかることが多い。宮崎氏は長年、ハローワークで専門援助部門で11年程働いた経験があり、一般の窓口では支援が難しい人の就労支援に携わってきた経験がある。

労働は結構広い概念なのではないだろうか?有償ボランティアやインターンシップ、家業の手伝いのようなものも含まれると考えている。そのフェーズのない多様な労働が暮らしを作るのかもしれない。就労移行支援・就労継続支援を専門にしているが、障害者と高齢者が一緒に仕事をしている。そこでは、365 coffeeというブランドを自分たちで立ち上げる等している。これは、兵庫県たつの市のふるさと納税の返礼品となっており、行政に販路を見出している。また、要らなくなった米袋をバッグにリメイクするという活動もしている。全国から米袋を集めてバッグを作り売り始めた。

居場所づくりとして、地域食堂のようなものを作ることもしている。地域の中に顔が繋がるようになってきた。人や場の境目が曖昧になると少しずつ利他的行動が増してきて。お互いにお手入れしあうという事が始まっていく。自分の裁量の幅が広がることで「そこに居る」ことに対しての情報が循環するようになる。


第二部:全体討論

  などの質問/意見が参加者より挙げられ、これらについて活発な討議がおこなわれた。 

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2022/7/4 19:00-21:00   於:オンライン(Zoom), 宮崎宏興 先生(NPO法人いねいぶる), 社会のまじりあいを醸成する、高齢者の多様な労働.

  ◆第41回研究会   2022/04/27 岩田 直子 先生・阿波連 建世 先生・立花由紀子 先生

「きらりあ北、ゼロからの挑戦」

第一部:セミナー

前半は、東京都北区福祉部高齢福祉課の岩田直子課長より、北区の高齢者就労支援として、きらりあ北の取組みに至るまでの経緯について講演があった。北区立いきがいセンターきらりあ北の建物は、これまで健康増進センターとして20余年にわたり使用されていた。人生100年時代において高齢者が元気で長生きするために、運動や栄養だけでなく社会的役割を持つことの重要性から、健康づくりから生きがいづくりのための新たな活動拠点として整備がおこなわれ、令和3年1月8日に開設された。運営は社会福祉法人奉優会に委託されている。コンセプトは就労と社会参加につながる生きがいづくりを進めるための ”ワンストップ窓口” である。介護保険・地域支援事業費を活用し、ジョブコーディネーター(就労的活動支援コーディネーター)が配置されている。

後半は、実際にきらりあ北の運営を行っている奉優会の阿波連氏および立花氏より、事業概要についての講演があった。きらりあ北の事業は「就労支援・社会参加」「介護予防プログラム」「地域活動(ボランティア等)」の3本柱で展開されている。このうち高齢者就労については、65歳以降も働きたい高齢者の割合よりも実施に65歳以降も働いている人の割合は20ポイントのギャップが見られる。就労機会の拡大のためには、年齢制限の撤廃、職種の拡大、短時間のプチ就労の拡大が鍵になると考えている。就労マッチングは無料で実施されている。他の就労支援施設との差別化のポイントとして、①自己理解を深めるキャリアカウンセリング、②就労後のアフターフォロー、③職場定着支援の面談を実施している。やりがいや興味関心、使命感などの内的キャリアを重視した支援を目指している。2年目を迎えた令和4年度は、初年度の取組みを経て得た知見と課題をもとにより良い事業推進を目指したいと考えている。


第二部:全体討論

  などの質問/意見が参加者より挙げられ、これらについて活発な討議がおこなわれた。 

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2022/4/27 19:00-21:00   於:オンライン(Zoom), 岩田 直子 先生(北区役所高齢福祉課)、阿波連 建世 先生・立花由紀子 先生(きらりあ北/奉優会), きらりあ北、ゼロからの挑戦.

  ◆第40回研究会   2022/01/17 持田 昇一 先生

「生涯現役ハウス&トラストについて」

第一部:セミナー

一般社団法人生涯現役ハウス(2020年設立)では、空き家を活用した共創まちづくりとして、新しい働き方・暮らし方を実現する仕事付き高齢者住宅「生涯現役ハウス」を運営している。実年齢に関係なく、働く意欲がある元気なシニア等に仕事と住まいの提供する。

「空き家活用」「シェアハウス」「まちづくり」に資する住宅ソリューションであると考えている。空き家活用としては、独居高齢者も対象に含めて住み替えニーズに対応。シェアハウスとしては、元気高齢者のみならず地域包括ケアや要配慮者の生活ニーズに対応、そして、まちづくりとしては、福祉リソースだけではなくスマート&レジリエンス地域ニーズに対応することができる。

現在は、東京都江戸川区にて、築31年の一戸建て住宅を用いてシェアハウスを運営している。高齢者でも住みやすいようにリノベーションをした。日中はそれぞれのパート先で仕事。夕食後や、休日には居間で他の住民と団欒の機会を持つことが出来るため、相互に生活を支え合うということにもつながる。

将来的には、地域におけるHUB機能を持たせてGrid展開していきたいと考えている。


第二部:全体討論

  などの質問/意見が参加者より挙げられ、これらについて活発な討議がおこなわれた。 

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2022/1/17 19:00-21:00   於:オンライン(Zoom), 持田 昇一 先生(一般社団法人 生涯現役ハウス), 生涯現役ハウス&トラストについて.

  ◆第39回研究会   2021/10/25 大熊 充 先生

「うきはの宝における高齢者就業~地域のばあちゃん達の活躍と可能性~」

第一部:セミナー

うきはの宝株式会社では、福岡県うきは市で「ばあちゃん食堂」を展開し、地域の高齢者に居場所と働く場所を提供している。実際に食堂を展開して見えてきた良い効果として、①高齢者の脳の刺激になる、②保護ではなく社会参加の機会創出、③生きがいや働きがいの創出、④居場所づくりによる孤立防止、⑤就業による収入増が挙げられる。そもそも仕事とは?という点を考えた。自分の考えとしては、社会のシステムの穴(=課題)を埋めることだと表現している。

若いころに、バイク事項にあって長い間入院生活を余儀なくされた。その時に、入院していたばあちゃん達がしつこいほど色んなことを聞いてきた。あまりにもしつこく話しかけてくるばあちゃん達に、最終的には笑ってしまった。結果的に、この経験によって自分は救われたと感じている。だから、ばあちゃん達を元気にするために、今の事業を立ち上げた。

事業をするにあたり、高齢者無料送迎サービスをおこない、高齢者の送迎をしながらニーズや困りごとについて色んな話を聞いた。その中で分かったことは、通いの場はあるが、働く場所はないということ。高齢者は年金だけでは生活できない。年金に加えて月3万円くらいプラスアルファの収入を得ることが出来る仕組みとして、ばあちゃん食堂の着想に至った。ばあちゃん達の得意&特性に沿った働き方として適していると思っている。ばあちゃんは作業をするのが得意。じいちゃんの特性はばあちゃんと違うように感じている。

最近は、畑で朝ヨガ会をして終わった後にばあちゃん達と野菜収穫したりする企画もやっている。これは、世代間の争いを解消することにも寄与すると考えている。多世代型協働の仕組みによって、少数の若者が多くの高齢者を支えるという構図をひっくり返したい。地方創生や国家プロジェクトは、聞こえはいいが期限付き。1年経ったら中央に撤退してしまうので残るものが多くない。皆で課題解決するという「地元創生」を推進し、足らない所を中央に手伝ってもらうのが良いのではないかと考えている。

収入を得たばあちゃんが孫に自転車を買ってあげた。わずかながら地域経済もまわすというところにも繋がっていると思っている。


第二部:全体討論

  などの質問/意見が参加者より挙げられ、これらについて活発な討議がおこなわれた。 

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2021/10/25 19:00-21:00   於:オンライン(Zoom), 大熊 充 先生(うきはの宝株式会社 代表取締役), うきはの宝における高齢者就業~地域のばあちゃん達の活躍と可能性~.

  ◆第38回研究会   2021/08/30 鈴木 亮平 先生

「スケッターが目指す令和の互助インフラ」

第一部:セミナー

既存の仕組みでは、福祉業界内で介護人材を回しているだけであり、担い手不足の根本的解決には至らないと考えている。そのためには、"業界の外"に居る人たちを巻き込む必要がある。Sketterは介護ではない文脈・切り口からケアに関わるための接点を作ることに寄与したい。そのために、無資格・未経験者でも可能な「業務の切り出し」を提案し、介護業界以外からの潜在労働層の巻き込んで問題解決を目指している。「介護の関係人口を増やし、人手不足を解決する」ことをMissionとしている。

運用状況としては、月に100人のペースで登録者が増えており、現在2,300名以上の登録者がいる。その約6割は30代以下の若年者である。当初は若い人の流入を想定していたが、運用をする中で中年~高齢者層の登録も徐々に増えてきた。Sketterを使うメリットとしては、有償で単発の業務(助っ人)なので、パートやアルバイト、正規職員として働くまえに、どんな事業所かを知るきっかけにするこ都も出来るし、色々な事業所の案件にコミットすることで最近の福祉業界について広く見るという使い方も出来る。

単発業務として、何を任せるかという点に関して、あらかじめ周辺業務を切り出したうえで「お手伝いカタログ」を作成している。事業所との面談でこのカタログを用いてどんな業務を切り出して、Sketterの案件に出来るか打合せを行っている。参加者は業務終了後に体験レポートを書くので事業所にとっては、口コミを集めることが出来、広報にもメリットがあると考えている。


第二部:全体討論

  などの質問/意見が参加者より挙げられ、これらについて活発な討議がおこなわれた。 

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2021/8/30 19:00-21:00   於:オンライン(Zoom), 鈴木 亮平 先生(株式会社プラスロボ CEO), スケッターが目指す令和の互助インフラ.

  ◆第37回研究会   2021/06/21 石橋 智昭 先生

「シルバー人材センター会員高齢者の勤務状況や労働安全に関する動向について」

第一部:セミナー

ヘルスサービスリサーチの一環として、シルバー人材センターについて研究を始めたのが10年位前。高齢者がシルバー人材センターを通じて生きがい就労をすることが健康に良いのではないかという仮説をもとに調査・研究を進めている。TMIGとも協働することも多い。

シルバー人材センターは60歳以上の住民であれば誰でも入会可能で、知事の指定により自治体ごとに1つの設置が出来る。運営費は、「運営補助金(国・自治体)」「事業収入」「会員の年会費」で賄っており、会員による自主性運営が原則。全会員(社員)が出席する総会が最高の意思決定機関。雇用関係が発生しない請負や委託が中心。月10日以下、週20時間以下の臨・短・軽の仕事がメイン。

会員に対する安全管理は、健康診断の奨励・健康に関する講習会など開催・健康状態の把握の3つについて主にやっている。ただし、これは各センターに任されており、統一された基準はない。新規入会者の高齢化が進み、1人あたりの就業可能な期間(就業余命)を延伸しないと、さらなる会員現象が予想される。そのためには、会員個々人の健康度の変化に応じて、活躍の場を移していくことが重要である。つまり、加齢変化に応じて、無理なく安全に働ける仕事の選択と負担軽減策がこれまで以上に求められる。心身機能の低下に伴う事故と防止策を体系的に蓄積し、ノウハウを共有する仕組みの整備が急務である。


第二部:全体討論

  などの質問/意見が参加者より挙げられ、これらについて活発な討議がおこなわれた。 

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2021/6/21 19:00-21:00   於:オンライン(Zoom), 石橋 智昭 先生(ダイヤ高齢社会研究財団 主席研究員), シルバー人材センター会員高齢者の勤務状況や労働安全に関する動向について

  ◆第36回研究会   2021/04/19 服部 真治 先生・中村 一朗 先生

「地域施策としての高齢者就労支援の現状と就労的活動支援コーディネーターの好事例について」

第一部:セミナー

講師二人とも、現在は研究機関で勤務しているが、これまでに自治体職員や厚労省職員として勤務した経験もあるため、制度的な面も含めて紹介したい。今回のテーマである地域施策としての高齢者の就労支援といえば、生活困窮者自立支援制度があり、様々な地域での実践例がある。ただしこの制度は高齢者のみがターゲットではなく、若者・障がい者なども含めた「困窮者」が対象である。生活に困っているわけではない、一般の地域高齢者の就労あるいは就労的活動(例:有償ボランティア)の支援という文脈では、介護保険制度の生活支援体制整備事業がある。この事業は市町村や各日常生活圏域に「生活支援コーディネーター」を配置し、高齢者の生活支援の充実のための体制整備に加え、高齢者の社会参加を推進するものであり、社会参加の1つとしての就労や、高齢者の生活支援の担い手としての活動など就労的活動も推進している。

また、一般介護予防事業に関する検討会の中でも、社会参加・就労的活動を行う高齢者は自立度が高いことが示されており、ますます高齢者の就労や就労的活動の促進について関心が高まっている。このような社会情勢を踏まえて、令和二年度に介護保険法改正がなされ、生活支援体制整備事業の中で、さらに就労的活動支援コーディネーターを配置できるようになった。予算規模は一市町村800万円で、コーディネーターの人件費と活動費を賄うことが出来る。ただし、地域支援事業であるため、必ず配置しなければいけないという縛りがなく、実践例はまだほとんどない。

加えて、総合事業は第一号事業(介護予防・生活支援サービス事業)と第二号事業(一般介護予防事業)で構成され、住民主体の支援に対する補助としてB型・D型がある。このB型、D型についても制度改正があり、有償ボランティアを奨励するために、総合事業から活動者に謝礼金を支払えるようになった。しかし、B型・D型自体、実施市町村は少なく、これも活用例は少ない。B型・D型の活用が低調であることの理由については、市町村が補助条件として注文をつけ過ぎて委託事業のような格好になっており、活動団体が補助を受けようにも受けられないといった現実がある。

就労的活動の支援のためには、制度の正しい理解と活用が求められる。

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取組①:(稲城市等)介護支援のボランティアに対して、ボランティアポイントを付与する取組みがある。保有するポイントに応じて、商品交換や換金をする。全国の515自治体がこのような取組を実施している。さらに制度改正で、地域医療介護総合確保基金を活用した「介護人材確保のためのボランティアポイント」が創設された。国が3分の2、都道府県が3分の1を拠出することになっており、自治体の負担はない。しかし活用例は少ない。

取組②:(町田市のDAYS BLG!等)介護サービス事業所が通所サービスの一環として有償ボランティアを行う例が増えてきた。毎朝、利用者がその日自分がやりたい(やれそうな)活動を選択できる。自動車ディーラーでの洗車作業、粗品や景品等の封詰め作業などが知られている。

取組③:(山口県防府市)H30年度に専門職に対して「困りごと(ニーズ)」を集め、切り分けられそうな業務(=周辺業務)の集約を行った。そこで挙がった業務について、地域の高齢者との間でマッチングを行っている。ただし、全てが解決できるわけではなく、高齢者も民間企業も双方が困りごとを持っていることも明らかになったため、支える側にも支えられる側にも高齢者と民間企業が存在する困りごと解決ネットワークを作った。その仕組みの下では、97歳の女性が手芸品を作って売ったり、教えたりという例も見られる。副次的に、住民主体の通いの場を創出することにも繋がった。


第二部:全体討論

  などの質問/意見が参加者より挙げられ、これらについて活発な討議がおこなわれた。 

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2021/4/19 19:00-21:00   於:オンライン(Zoom), 服部 真治 先生(医療経済研究機構 主席研究員), 地域施策としての高齢者就労支援の現状と就労的活動コーディネーターの好事例について

  ◆第35回研究会   2021/02/01 河本 歩美 先生

「sitteプロジェクトの戦略~デイサービスにおける社会参加活動等の取組を中心に~」

第一部:セミナー

京都市右京区にある高齢者福祉施設西院の所長をしている。施設の基本姿勢として、地域の多くの人に開放された居場所づくりを掲げている。居場所には、「役割がある場所」という概念が含まれていると感じており、そこから、デイサービス利用者を対象にした就労的活動としてのSitteプロジェクトをはじめた。

Sitteは西院の独自ブランドである。高齢者施設がブランドを立ち上げることで、高齢者の社会参加活動の価値を高め、また世間に対する発信力の向上も狙っている。具体的な活動として、カッティングボード、まな板、ドリア皿等の木製品の製作活動を実施した。地域の企業とのコラボにより、京都市内の繁華街にあるショップで販売したり、カフェで使用してもらうなど、製品を通じた施設と社会との繋がりを重視した。また、発信力のあるプロモーション会社との連携もしている。

木工製品の磨きや蜜蝋塗りなど、出荷前の最終工程を担ってもらっている。エプロンを着てもらったり、出勤簿を付けてもらうなどして、よりリアルに就労を意識できるようなプログラムになっている。また、モチベーションの維持向上を狙って、売っている商品を見に、皆でショップへ行く機会も設けている。当初は、謝礼代わりに、製品を置いているカフェでケーキを食べていた。その後、厚労省からの通知を踏まえ、謝礼を出せるようになったので、地域との繋がりという観点から近隣商店街で使用できる金券を渡している。

ものづくり以外の活動として、自動車会社とのタイアップで、男性利用者を中心に中古車の洗車活動をしたり、民間企業の社内封筒の作成をしたりと、活動の幅が広がっている。行政とは、自治体と協働してツボ押し棒を作るような機会もあった。最近では、林福連携として山間部の高校との協働により高校生との製品開発もおこなった。

プロジェクトを広めるうえで、様々な場所に行ったり、メディアで露出して、”ごいごい声を掛ける”という姿勢を重視してきた。昨今は、コーディネーターの必要性と、就労的活動を行う福祉施設への積極的アプローチが重要だと感じ、戦略的にそれを実践している。

第二部:全体討論

  などの質問が参加者より挙げられ、これらについて活発な討議がおこなわれた。 

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2021/2/1 19:00-20:30   於:オンライン(Zoom), 河本 歩美 先生(高齢者福祉施設 西院 所長), Sitteプロジェクトの戦略~デイサービスにおける社会参加活動等の取組を中心に~

  ◆第34回研究会   2020/12/07 小川 敬之 先生

「寄り添う、支えるの先に向けて―高齢者・認知症の人に優しい街づくり」

第一部:セミナー

もともとは、作業療法士として病院や施設で臨床を15年ほどやってきた。急速な高齢化の進展により、認知症の方も増えている。認知症の中心的な症状のとらえ方が、従来の記憶障害から社会的認知の障害(関係性の障害)へとシフトしている。では、何が人を元気にするのだろうかという思いから、研究と実践を行ってきた。現時点では、本人ができる事をどんどんやることではないかと考えている。

最近の取り組みとして、高齢者に簡単な作業をしてもらい、完成した製品を販売するということを行っている。国が昨今推進している、いわゆる「就労的活動」の範疇に含まれるものである。具体的には、しゃもじや絵馬、まな板などの木製品のやすり掛けと包装作業を切り出して、高齢者に担ってもらっている。作業を通じて本人が社会の一員であるという実感を持てる事、作業工賃としてお金を手にすることで本人が社会貢献しているという実感を持てることにより、心身の健康の維持にも良い影響があるように感じる。記憶障害や幻視があっても自然に受け入れて笑い飛ばせる雰囲気も出てきた。

京都のSitteプロジェクトでは、デイサービスでまな板づくりをしているが、デイサービスに「ケアを受けに行くのではない!働きに行くのだ」という意識を持った高齢者が見られる。デイサービスの活動として、実際に売り場を見に行くという企画もあり、モチベーションにも繋がっている。

第二部:全体討論

  などの活発な討議がおこなわれた。 

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2020/12/7 14:00-16:00   於:東京都健康長寿医療センター研究所/オンライン(Zoom併用), 小川 敬之 先生(京都橘大学健康科学部作業療法学科 教授), 寄り添う、支えるの先に向けて―高齢者・認知症の人に優しい街づくり

  ◆第33回研究会   2020/10/12 立川 寛之 先生

「八王子市における高齢者の就労支援」

第一部:セミナー

都心部の企業等で働く方が八王子市に住居を構えるケースが多く、ベッドタウン機能をもつ都市であるため、一定のスキルを持った方が市内に多く存在しているという特徴がある。そこで、就労セミナーで学んだことを地域で活用してもらうというスキームで高齢者就労を後押しすることが出来る可能性があると考えた。八王子介護サービス事業者連絡協議会というNPOがあり、横の繋がりが密であるため、パイロット事業として介護助手の導入に手を挙げた。ただし、介護助手というと重いイメージなので、”介護サポーターHACHIOJI”という柔らかい名称を用いて人材募集を行った。市の説明会経由、施設独自リクルートで合計43名の就職者が決まった。その半数が高齢者。

実際に仕事が決まった介護サポーターからの声として、週3~4日程度、半日以内の勤務というのが、自分の心身に負担なく継続して働けるとの意見が挙がっている。この辺りの求職者のニーズに沿って募集していくことが大事だと考えている。業務内容は、専門職の補助業務を中心に行っている。特に、個々人が持っているスキルをレクレーションの時間に披露してもらうことによって、それを単なる趣味から仕事へと価値付けることにも繋がっている。また、介護サポーター用の制服を作った施設では、高齢者が誇りをもって仕事ができるという声も聞かれ、社会に必要とされているという意識を持たせる仕掛けが重要。

第二部:全体討論

  などの活発な討議がおこなわれた。 

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2020/10/12 14:00-16:00   於:東京都健康長寿医療センター研究所/オンライン(Zoom併用), 立川 寛之 先生(八王子市福祉部高齢者いきいき課), 八王子市における高齢者の就労支援

  ◆第32回研究会   2020/07/27 森田 健一 先生

「元気シニアの就労形態としての介護助手」

第一部:セミナー

介護人材不足が叫ばれる中、合掌苑はいいサービスを提供していると思っていた。しかし、実際には離職率が高く、部署によっては十分な公休も取れていないというケースもあり、辞めた職員の評判もあまりよくなかった。そこで、組織の経営品質改善に乗り出した。その視点として「お客様の評価(CS)」「職員の評価(ES)」「マネジメント評価」の3本柱を重視して、評価をおこなっている。特に、新卒入社の女性社員が子育てしながら働ける環境づくり、話し合いが出来る環境づくりに力を入れている。また、高齢スタッフに対しては、定年制を廃止し、60歳まで昇給、65歳まで給与水準維持、70歳までは一部手当の不支給を除き本俸額の維持をして、70歳以降には限定正職員として雇用している。このような職場環境の改善策により、職員全体の平均給与額も年々増加している。アメーバ的経営を念頭に置いている。

第二部:全体討論

  などの活発な討議がおこなわれた。 

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2020/07/27 14:00-16:00   於:東京都健康長寿医療センター研究所/オンライン(Zoom併用), 森田 健一 先生(株式会社日本経営 ※元社会福祉法人合掌苑マネージャー), 元気シニアの就労形態としての介護助手

  ◆第31回研究会   2020/05/18 檜山 敦 先生

「GBER等のテクノロジー活用と高齢者の就労支援について 」

第一部:セミナー

超高齢社会の現代日本において、ICTによってシニア層の活力を支援するイノベーションを実現することにより、社会の活力として多くの「元気高齢者」の活躍を期待している。特に、高齢者の持つ時間・空間・スキルを組み合わせる「モザイク型就労」を推進するため、GBER(Gathering Brisk Elderly in the Region)というオンラインプラットフォームを構築し、すでに複数の地域で運用している。これにより、就労・生涯学習・ボランティア・ローカルイベントなど、広く高齢者の社会参画の”機会創造”が可能になった。また、災害時にはライフラインとなる情報インフラとしても活用されるという。ICTを活用することで、地域の「元気高齢者」がリアルにもバーチャルにも社会で活躍できる仕組みづくりを目指している。

第二部:全体討論

  などの活発な討議がおこなわれた。 

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2020/05/18 14:00-16:00   オンライン(Zoom使用), 檜山 敦 先生(東京大学先端科学技術研究センター) , GBER等のテクノロジー活用と高齢者の就労支援について

  ◆第30回研究会   2019/12/16 遠座 俊明 先生

「参加ハードルを下げる宝塚市でのプチ就労の取組み ~行政・市民協働の現場から~」

第一部:セミナー

宝塚市では「健康・生きがい就労トライアル」の取組みが、高齢者就労の入口として推進されている。1日2~3時間、週1日勤務も可能(プチタイム就労)とし、3か月間パート契約のトライアル期間を設けることで、参加者意識のハードルを下げるだけではなく雇用・就労側双方のミスマッチを回避することに寄与している。この活動組織は、市の地域福祉課が主となり市民協働活動組織から発足した「健康・生きがい就労部会」と協力事業者が連携している。ケア・サポーター(介護助手)としてトライアルに参加した高齢者からは、社会参加により健康やいきがいを実感するという声を多数集め、高く評価されている。今後は、活動の質と量の向上をめざし、分野、職種の拡大や他自治体への普及など体制強化が望まれる。

第二部:全体討論

 などの活発な討議がおこなわれた。

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2019/12/16 14:00-16:00   於:東京都健康長寿医療センター研究所, 遠座 俊明 先生(大阪ガス株式会社 エネルギー・文化研究所 主席研究員), 参加ハードルを下げる宝塚市でのプチ就労の取組み ~行政・市民協働の現場から~

  ◆第29回研究会   2019/10/07 宇佐川 邦子 先生

「シニア就業の現状”課題と解決のヒント”~からだ測定でみえてきたこと~」

第一部:セミナー

シニア就業の現状は厳しく、企業の7割はシニア雇用に非積極的であり、働きたい意欲のあるシニアの約半数は就業できていない。シニア雇用促進に向けた解決には、職種のマッチングだけではなく、勤務地、勤務日数や時間に対する柔軟な働き方(業務分解・プチ勤務)や体力への不安の払拭(からだ測定)が重要となる。プチ勤務は、シフトの細分化と業務の細分化により創出可能となる。からだ測定は、体力・処理力・個性の3つの測定を30分で楽しく行っており、結果から個人の強みを活かして適正な仕事をマッチングさせている。この効果として、勧めた仕事への納得感、満足度、就労意欲はともに高い評価であり、体力の維持・増進に対する意欲の向上もみられ、健康増進効果の可能性も明らかになっている。鳥羽市や岩手県での取組み事例では、からだ測定を地域のイベントとして実施することで、働く意欲のある住民にも就労支援や社会参加の促進に結びつけることができている。今後は、からだ測定を活用し、シニアが働くことは認知機能低下の抑制や転倒予防、あるいはリハビリ等の健康維持増進に寄与する可能性を検証し、シニア雇用や社会参加がより促進できるように展開することも検討している。

第二部:全体討論

などの活発な議論がなされた。

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2019/10/07 14:00-16:00   於:東京都健康長寿医療センター研究所, 宇佐川 邦子 先生(株式会社リクルートジョブズ ジョブズリサーチセンター長)/松本 洋平  先生(株式会社リクルート), シニア就業の現状“課題と解決のヒント”~からだ測定でみえてきたこと~

  ◆第28回研究会   2019/08/05 真下 聡 先生・宮原 直務 先生

「介護施設ワークサポート事業について」

第一部:セミナー

介護人材不足の課題やシルバー人材センターの会員不足が懸念される一方、元気高齢者が地域で社会参加をすることは介護予防に繋がることとして期待されている。文京区は、東京都の「元気高齢者地域活躍推進事業補助金」を活用し、シルバー人材センターと連携して「介護施設ワークサポート事業」を平成29年から推進している。元気高齢者を対象に介護施設で周辺業務を行うための人材育成として介護施設就業体験セミナーを実施し、介護施設お助け隊を養成している。体験セミナーは、講義(無償)とインターン実習(有償、区が負担)で構成され、受講者はシルバー人材センター会員として働く希望者(定員15名)とした。介護施設お助け隊は、シルバー人材センターから介護施設に派遣され、施設の周辺業務を行う。支払は区補助(令和元年から介護施設も負担)で賄われている。

事業開始後3年目の現在では、介護施設お助け隊登録者は増加傾向にあり、活動実施数も初年度の特別養護老人ホーム5施設から高齢者在宅サービスセンターを追加し13施設に拡大し、シルバー人材センターの会員増、介護人材不足への側面的支援や、元気高齢者の社会参加促進等の良好な効果がみられている。今後は、補助制度の見直しや介護施設の拡充に向けた検討が必要である。

第二部:全体討論

などの議論が活発にかわされた。 

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2019/08/05 14:00-16:00   於:東京都健康長寿医療センター研究所, 真下聡 先生/宮原直務 先生(文京区福祉部高齢福祉課), 介護施設ワークサポート事業について

  ◆第27回研究会   2019/06/18 橋詰 信子 先生

「竹箒の会における高齢者の就業・起業支援の取り組み:NPOとして出来ることの試行錯誤」

第一部:セミナー

元気な高齢者が、竹箒を持って公園の清掃を通じて地域福祉に貢献しようという考えから、2000年8月に都の認可を受けてNPO法人竹箒の会が発足した。高齢者の知識と経験を生かした活動の場を拡充し、次世代にそれを伝えることを活動の基本として貫いてきた。

具体的な取り組みとして、2004年から杉並区の敬老館(通称:ゆうゆう館)で、高齢者向けの有料職業紹介事業をおこなっている。認可の都合上、有料職業紹介所という形式になっているが、実質的には求職者からも求人企業からもお金を受け取らずに無料で相談を受けている。1回45分の個人相談以外にも、会社説明会や就職講座等も実施している。前職意識が強かったり、理想が高すぎたりする求職者の対応に苦慮している。高齢者就労が上手くいくポイントは、(1)収入や業種に拘り過ぎずに仕事に飛び込めること、(2)明るく健康であって身だしなみが整っていることである。

最近では、東京都元気高齢者地域活躍推進事業による介護・保育現場での就労支援をしたり、文京区でのミドルシニア講座による講演活動を通じた地域活動のきっかけづくりをしたりしている。高齢者はますます増加すると推計されており、継続的に行政への支援要請をおこないながら、相談者にあった就業先・活動先の提案をしている。

第二部:全体討論

といった議論が活発にかわされた。 

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2019/06/18 14:00-16:00   於:東京都健康長寿医療センター研究所, 橋詰 信子 先生(NPO法人竹箒の会 副理事長), 竹箒の会における高齢者の就業・起業支援の取り組み:NPOとして出来ることの試行錯誤 

  ◆第26回研究会   2019/04/15

※プロジェクトメンバーにより研究ミーティングを実施

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2019/04/15 14:00-16:00   於:東京都健康長寿医療センター研究所

  ◆第25回研究会   2019/02/18

※プロジェクトメンバーにより研究ミーティングを実施

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2019/02/18 14:00-16:00   於:東京都健康長寿医療センター研究所

  ◆第24回研究会   2018/12/03

※プロジェクトメンバーにより研究ミーティングを実施

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2018/12/03 14:00-16:00   於:東京都健康長寿医療センター研究所

  ◆第23回研究会   2018/10/15 柳沼 亮一 先生

「高齢者就労の現状の課題について」

第一部:セミナー

三幸福祉会では、三大介護(排泄・入浴・食事)以外のケアを行なう者を「ケア・アテンダント」という立場で働いてもらっている。必ずしも福祉関連の資格を必要とせず、時給制の雇用。業務範囲が広がれば時給もあがる仕組みである。本人が働ける時に働いてもらうという事を意識しており、本人が働ける時間を提示してもらい、極力その時間での雇用を目指している。それにより、本人のライフワークにマッチングした雇用が可能になる。このようにワークシェリングとタイムシェアリングの両方の視点が必要である。

現状では、雇用しているのは全て女性であり、ケア・アテンダントなら出来そうだということで入ってくれている。継続して就業している人の話を聞いてみると、①自らの存在意義の模索、②再度働きたい、③感謝されたい、④社会と繋がっていたい、⑤周辺業務なら迷惑をかけずに自分にも出来るという5つの点が動機としてよく話題に挙がっている。また、独自にケア・アテンダント認定資格を導入して、シルバー層の就労支援を促進している。ケア・アテンダントとして働くシニア層は生き方や仕事への向き合い方の面でプロ意識が高いので、若い世代の職員たちにも良い影響を与えている。このような世代間交流がこの業界を変えていく可能性もある。

第二部:全体討論

といった議論が活発にかわされた。 

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2018/10/15 14:00-16:00   於:社会保険出版社, 柳沼 亮一 先生(社会福祉法人三幸福祉会 杜の癒しハウス文京関口 施設長), 高齢者就労の現状の課題について 

  ◆第22回研究会   2018/10/01 大川 直人 先生・千葉 真由子 先生

「高齢者就労の現状の課題について」

第一部:セミナー

<講演>

池上長寿園では、経営理念のひとつに<SHST>というものを定めている。Safety(安全)、Hospitality(おもてなし)、Smile(笑顔)、Team work(チームワーク)の頭文字をとったものであり、これにより外国人や高齢者であっても理念をすぐに理解して業務に取り組める。現状、職員の内訳を見てみると、正規と非正規がおおむね半々で在職している。介護職員は60歳で一度定年退職をするものの、5年間は再雇用により、その後は非正規雇用により引き続き働く場を提供している。男女とも60歳代のうちは何らかの形態で続いて働いてもらっている状況である。また、雇用継続について内部で調べてみると、10年以上の人が約25%もいる。たまがわ事業部においては約40%が長期にわたり就業している。このようなスタッフの多くは、比較的近隣に住んでおり、週に3日程度4時間のシフトに入っている。朝や夕など、専門職の手だけでは回らないような忙しい時間帯に食事の介助や環境整備、営繕、見守りなどを担ってもらっている。直接の介護はないので、体力面もさほど心配なく働いてもらっている。人間関係がすでに構築されている住み慣れた近隣地域で短時間働いてもらうという「安近短」を実践することで、高齢者就労を通じた豊かな人生の実現の手伝いをさせてもらっている。

<就業者の話:女性/13年目>

第二部:全体討論

などの議論が活発にかわされた。  

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2018/10/01 14:00-16:00   於:社会福祉法人池上長寿園 たまがわ, 大川 直人 先生(社会福祉法人池上長寿園 経営本部経営企画課 課長)/千葉 真由子 先生(社会福祉法人池上長寿園 たまがわ事業部門 統括事業部長), 高齢者就労の現状の課題について 

  ◆第21回研究会   2018/09/10 中井 祐輔 先生

「短時間・業務特化で介護業界で働く!介護シェアリングで働く人材を確保するために」

第一部:セミナー

日本は、今後ますます少子高齢化が進み人口が減っていくと予測されている。他の業界では、人口が減ればそれに伴って需要量も減るものだが福祉(介護)の業界においては正反対の増加が見られる。そこで、介護業界で進む深刻な人材不足の解決方法として株式会社リジョブは「介護シェアリング」という雇用形態を提唱している。これは従来型の勤務時間(シフト制)に基づく働き方ではなくて、シフト内の業務の切り分けを行い、それらを複数人で分担するという働き方である。一般の企業も創業期は社長などが自らすべての業務をやっている場合でも、組織の成熟とともに業務分担するスタッフを雇うようになる。介護シェアリングはこれと似たようなもの。「介護スタッフ」でなく「福祉施設の食事の際のホールスタッフ」とすれば、飲食店で働こうとしていた人たちを介護事業所に呼び込めるかもしれない。実際にさまざまな施設で介護シェアリングを導入した事例について報告が上がっている。早番1名分の人件費削減に成功したり、業務特化で短時間勤務という働き方は拡大しており、グループ内の100を超える事業所でスタッフの業務シェアが行われているという話も聞く。今後とも、いかに業務を切り分けていくか試行錯誤が必要である。

第二部:全体討論

などの議論が活発にかわされた。 

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2018/09/10 14:00-16:00   於:社会保険出版社, 中井 祐輔 先生(株式会社リジョブ 介護Div.チームマネージャー), 短時間・業務特化で介護業界で働く!介護シェアリングで働く人材を確保するために

  ◆第20回研究会   2018/07/09 石本 淳也 先生

「高齢者サポーター ―見解や課題―」

第一部:セミナー

直近の政府データによると、介護業務に従事している人は190万人ほど居るが、実際の現場では介護福祉士などの国家資格保有者、ヘルパー1~2級取得者、無資格者とが混在している状況である。そして、有資格者とそれ以外の者が担うべき役割やスキル、さらには処遇などの「評価」について、それぞれの「差」がはっきりしていない。制度上の位置づけや整理が不十分なまま、人材の養成や確保が進められてきたことが原因なのかもしれない。そのため、抜本的な「機能分化」の重要性が叫ばれている。

また、訪問介護事業では、家事的スキルを介護従事者に求めた結果、若い世代の人材確保やその定着が根付かなかった。介護従事者側も介護サービス利用者側も「介護=お世話をする」という価値観からの脱却が必要である。その上で、社会資源として広く様々な人を介護人材として受け入れることの意義や意味を繰り返し教育していく必要があると考えている。

第二部:全体討論

などの議論が活発に行われた。

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2018/06/01 18:00-20:00   於:社会保険出版社, 東 憲太郎 先生(公益社団法人 全国老人保健施設協会 会長), 介護助手育成の取り組み

  ◆第19回研究会   2018/06/01 東 憲太郎 先生

「介護助手育成の取り組み」

第一部:セミナー

日本の高齢化率は年々高くなっており、2025年には30%を超えるだろうとの予測もされている。一方で、介護人材は大幅に不足している状況である。団塊の世代が75歳以上になる2025年を見越すと「効率的かつ質の高い医療提供体制の構築」と「地域包括ケアシステムの構築」は急務の課題。このため、平成26年度から、消費税増収分等を利用した財政支援制度「地域医療介護総合確保基金」を創設し、各都道府県に設置。当法人(医療法人緑の風)ではこの基金を活用し地域の「元気高齢者」を「介護助手」として登用し、介護職の業務から比較的簡単な作業(周辺業務)を担わせることで、介護の専門職化を目指している。現場へのインタビューなどから一定の効果が出てきていることを実感している。

第二部:全体討論

などといった議論が活発になされた。

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2018/06/01 18:00-20:00   於:社会保険出版社, 東 憲太郎 先生(公益社団法人 全国老人保健施設協会 会長), 介護助手育成の取り組み

  ◆第18回研究会   2018/03/12 藤本 真 先生

「60歳以降の雇用をめぐる実態 企業による継続雇用・人事管理の取組みと労働者の意識」

第一部:セミナー

2015年に労働政策研究・研修機構が実施したアンケート「高齢者の雇用に関する調査」に回答した60歳定年制企業4903社のうち、業務の変化について、定年前と同じ業務だが責任が変わる企業(責任変化型)が46.2%、全く同じ業務(無変化型)34.5%、定年前と異なる業務(業務変化型)は10.3%であった。定年後の給与については、定年時を100%とした場合、無変化型は78.2%、責任変化型は67.3%、業務変化型は64.3%となっていた。被雇用者から見た課題としては、雇用形態や収入について雇用者側と被雇用者側にずれがあることだ。定年後も正社員で働きたいという人が44%だが、実際は契約社員となる。また、全体の3割の人が定年到達時と同程度の給与を希望し、2割が定年到達時の8~9割以上の給料を望んでいるものの、実際の給料はそれほど高くないといった現状にある。

第二部:全体討論

などといった議論がなされた。

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2018/03/12 14:00-16:00   於:桜美林大学 四谷キャンパス, 藤本 真 先生(労働政策研究・研修機構主任研究員), 60歳以降の雇用をめぐる実態 企業による継続雇用・人事管理の取組みと労働者の意識

  ◆第17回研究会   2018/01/15 大川 直人 先生

「高齢者就労の現状と課題について」

第一部:セミナー

社会福祉法人池上長寿園の歴史は古く、前身は1962年(昭和37年)に、戦後の混乱期に窮迫していた高齢者の生活を支援するために、大田区内の婦人団体が2年間にわたり、募金・バザーなどの「草の根」の運動を展開し、養老施設池上長寿園が開園した。「未来への創造」歴史を紡ぎ“今”に挑戦するという経営理念を掲げ、福祉の未来・地域の未来・利用者の未来・自分自身(職員)の未来を考え創り上げようと活動をしている。高齢者就労支援という視点から見ると、正規職員・非正規職員合わせて850名の内、212名(約27%)が60歳以上の職員であり、最高齢は80歳3名であった。212名の60歳以上の職員の内、52名(24.5%)が10年以上勤続しており、そのように高齢者が働き続けている理由には、9職種16類型という働き方の多様化、同区内在住であるといった要因が想定され、ヒアリングを通して、介護分野への高齢者就労支援には、「安近短(安心、近い、短い時間)=豊かな人生の実現」に繋がるという発想、そして法人がその人のキャリアデザインを支援するという視点が必要である。

第二部:全体討論

現在働いている高齢者は65歳以上が多いが、長期的に働いている人は女性の方が多い。そこから見えてきたのは、高齢男性は、65歳以上に新規に雇用されている人がほとんどであるという事だ。逆に、55歳から65歳の人の就労が難しいと感じるかもしれないが、55歳~59歳だと正規職員の枠での雇用というケースもあり、総合職ともなれば夜勤なども必須となる。ただし、夜勤がないという条件で採用の場合は、一般職という形態もあり、昇給も転勤もない雇用となる(現時点での人数配分は総合職約300名、一般職約100名)。法人の高齢者には、職員以外にも有償ボランティア(陶芸など趣味活動の先生)や無償ボランティアもいる(多い施設で延べ2000名程度)。無償ボランティアは洗濯物たたみ、掃除、見守りなどをしてもらっている。介護分野はまだ人手不足で、やはりシニア層に期待する部分が多い。介護の現場では、(職員を)育成という認識が多いが、高齢者雇用に関しては、そもそも持っている力を活用する必要があり、その力を発揮できるよう環境を整備していくという「開発」の発想を持つ必要があると感じている。

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2018/01/15 09:30-12:00   於:桜美林大学 四谷キャンパス, 大川 直人 先生(社会福祉法人池上長寿園 本部・人財課課長), 高齢者就労の現状と課題について

  ◆第16回研究会   2017/11/13

※プロジェクトメンバーにより研究ミーティングを実施

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2017/11/13 14:00-16:00   於:東京都健康長寿医療センター研究所

  ◆第15回研究会   2017年夏頃

※プロジェクトメンバーにより研究ミーティングを実施

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2017年夏頃 14:00-16:00   於:東京都健康長寿医療センター研究所

  ◆第14回研究会   2017/07/10 上田 研二 先生

「株式会社高齢社における高齢者雇用の取り組み」

第一部:セミナー

会社設立以前から、自分自身を含め、定年後の人たちに「働く場」と「生きがい」を提供したいと考えており、2000年1月1日に株式会社高齢社を設立した。何しろ一度聞いたら忘れられない社名で、高齢社ビジネスモデルとしてカンブリア宮殿(TV)にも取り上げられた。その特徴は、①登録時の年齢が60歳以上75歳未満である事②定年制なし③リストラなし④年金併用型で勤務は週3日が標準(働く人の都合優先)⑤1人分の仕事を2人で担当するという「ワークシェアリング方式」の採用⑥期末手当・業績手当の支給⑦経営内容のオープン化⑧人件費に占める変動費の割合が高い(赤字になりにくい)⑨休日割増はつかない⑩就労率の高さ⑪社会貢献活動⑫アットホームな会社(16:00からビールなど)という12が挙げられる。高齢者が働く上での課題と障害には、①健康問題②マッチング問題③社会や受け入れ企業の年齢に対する先入観④各種労働法規と実態の乖離という4点がある。最高顧問である上田氏は2004年からパーキンソン病と戦いつつ、夢と生きがいに満ちた生涯現役人生(一生修行・臨終卒業)を実践している。

第二部:全体討論

特徴の中に、ワークシェアリングを導入しているとあったが、常に2人一組のワークシェアリングというわけではない。働き方は、働く人(高齢者)が、派遣先の企業に提案している。つまり、週3日の人もあれば、社会保険の適用される日数(時間)働いてもらうケースもある。高齢社に仕事を発注してくれる企業で、一番多いのが東京ガスグループとなっている。高齢者は毎日が日曜だから、土日に働いて休日割り増しが付かなくとも不満は聞こえてこない。そのような働き方だからこそ、子育て世代や若い世代とも仕事が分担していけるのではないか。今後の活動目標の1つに、家事代行サービスの会社を買収し、女性会員を募っている。現段階では200名が登録しているが、500名を確保し、女性版高齢社を目指したい。目標の2つ目に、まだ企画の段階だが、農業ビジネスにも手を広げていきたいと考えている。

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2017/07/10 14:00-16:00   於:東京都健康長寿医療センター研究所, 上田 研二 先生(株式会社高齢社 最高顧問), 株式会社高齢社における高齢者雇用の取り組み

  ◆第13回研究会   2017/05/15 堀 恵子 先生

「介護・福祉への高齢者支援研修と実践、その後の経過」

第一部:セミナー

東京都大田区の65歳以上の高齢者人口は増加傾向で(高齢化率は22.9%)、平成29年度には16万4千人を超えると予測されている。元気シニアを応援するため、大田区10か年基本計画として、高齢者の就労支援、地域活動・交流の場の確保、介護予防等の推進の3本柱で取り組みを進めている。就労支援はシルバー人材センターやいきいきしごとステーションで推進しており、元気高齢者就労サポート事業としては、保育施設や介護施設への就労を希望するシニアに対して、実践的な技術や知識の習得のための講習等を行っている。講習終了後には、就労面接会を実施して、講習から就労に至る総合的な支援を行っている。平成28年の介護補助員の講習・実習(高齢者施設での福祉の仕事体験セミナー)には13名、合同就職面接会には46名の参加があった。保育施設に就労を希望する高齢者向けの保育補助員の養成講習会は6日間(講習4日間・実習2日間)行われ、男女18名が参加した。

このように、高齢者が地域で活躍することは、大田区の地域力の更なる活性化につながるものである。生涯現役を応援する社会を形成し、地域包括ケア体制の構築に向けた大きな原動力につなげていくため、より一層力を入れて事業を推進していきたい。

第二部:全体討論

雇用者側の求人と高齢者求職者側(以下、求職者側と表記)の求職のミスマッチという問題がある。例えば、夜間の警備や介護の求人は多くあるが、求職者側は体力的にきつい仕事を敬遠する傾向にある。雇用側の姿勢として、高齢者を安い労働力とみなしているわけでもない。事実、求人条件における賃金は若い層と比較しても遜色ない。よく、年齢制限があるのではないかと言われるが、それはハローワーク等であって、概ね55歳以上からの就労を支援しているいきいきしごとステーションでは、独自の求人を生み出す努力もしており、そのような関係性の元求人を出して下さる事業者側からは、元気に働ける人なら80歳でもOKだと言われている。現場からの感覚だが、少子化の影響で若手が少なくなってきているため、シニアの方を活用していかないと労働力不足に陥る危険性がある。特に、警備や清掃などは、2020年の東京オリンピックを控えて何万人も必要だとされており、その人材を集めることは不可能かもしれないというぐらい危機感を持っていないといけないと日々感じている。

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2017/05/15 15:00-17:00   於:大田区シニアステーション糀谷, 堀 恵子 先生(大田区福祉部副参事), 介護・福祉への高齢者支援研修と実践、その後の経過

  ◆第12回研究会   2016/11/28 小塩 隆士 先生

「高齢者就業についてー年金制度改革との関連ー」

第一部:セミナー

日本の高齢者の就業率は、2000年代に入ってから、男女ともに回復し上昇傾向にある。その背景には、高齢者の高学歴化・ホワイトカラー化・健康状態の改善といった長期的構造の変化に加え、公的年金の支給開始年齢の引き上げなど、年金制度改革が進められてきたことが挙げられる。今後の高齢者の雇用促進の為の最も有効な政策は、おそらく年金の支給開始年齢の引き上げである。しかし、高齢者の労働市場の改革と連動しなければ、この改革は当面、高齢者にとってメリットよりもデメリットの方か大きくなる可能性が高い。しかも、従来型の定年延長・雇用継続アプローチには限界がある。高齢労働者の多様で主体的な働き方を可能にするには、第1に「個人事業主化」という方向性(ヨーロッパの例)、第2に長年の勤労生活で身につけた技能・技術の正当な評価が挙げられる。そのためには、被用者保険の適用範囲拡大や公的年金の支給開始までの3~5年に期間を絞った「つなぎ年金」の創設など、社会保険改革が必要である。

第二部:全体討論

これまで、高齢者の就労は若い人の就業率に影響を与えるのではないかという懸念があり、研究がなされてきたが、結果として、我々が想定しているほど、高齢者の就業と若者の就業には代替関係はないという事が明らかにされている。日本の国民純貯蓄は、今、ゼロになっている。つまり、生産する人が減って消費する人が増えているのである。現状を維持する事も重要であるが、10年位でそのバランスも崩れると想定される。年金を減らし、公的制度を無くすという議論がされているが、それでは全く改革にはならない。単純に生産する人(働く人)を増やしていく事が重要である。高齢者就労支援の方向性としては、平均余命からみると、健康状態が良くなっているのに働いていない高齢者もいる。国が「一億総活躍社会」を謳っているように、定年延長よりも、高齢者から主体的に労働市場へ参入していくことが重要である。

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2016/11/28 14:00-16:00   於:東京都健康長寿医療センター研究所, 小塩 隆士 先生(一橋大学 教授), 高齢者就業についてー年金制度改革との関連ー

  ◆第11回研究会   2016/09/12 南 潮 先生

「ESSENCE研究の進捗状況報告」

第一部:セミナー

高齢者就業支援の在り方について、これまでの経緯を踏まえて以下の提言を行う。第1に、就業支援という業務に拘らず、社会参加支援として長期的な視点で柔軟に求職者と関わる必要がある。本研究で明らかとなったように、経済的な理由で就業を行う高齢者は、それができなくなった途端に社会的孤立、生活困窮に結び付く危険性も高い。たとえ就業がかなわなくても自助組織など他の形態で社会参加を促すことができれば、精神面、身体面で状況が大きく改善する場合もある。また、就業支援施設を利用する求職高齢者は、男性で社会・経済的にハイリスクの人が多いため、地域保健従事者が主催する保健事業に積極的に参加することも期待し難い。これらの人達に、求職活動を入り口として保健部局や地域包括支援センターへ繋ぎ、生活相談・健康相談に至る道筋を創る事が今後期待される。第2に、活力のあるキャリア層を取り込む魅力的な仕組み作りをすべきである。高齢者の就業が、生活のための稼得というイメージに固定してしまうと、こうした層の参入が得にくくなる可能性がある。有償ボランティアやNPO等とも組み合わせて多様な形態での生きがい就業として、社会と本人自身にとって価値ある活動を実現する場の設定が必要である。第3に、子ども・子育て世代や現役世代を側方から支援する、保健福祉の業種に積極的に参入を促す事への可能性を挙げる。具体的には要支援・要介護高齢者に対する生活支援サービスや、共働き・ひとり親世帯に対する子育て支援サービス、障害者福祉施設での補助業務などを想定する。現代の高齢者は、一方的に支援される側に位置づけられるのでなく、未だ社会に貢献する気力・体力を持ち合わせている。高齢者がこうした業務に従事することにより世代間対立の緩衝や、健康格差の是正に寄与しつつ、本人にとっても生きがい・安心が担保される可能性がある。

第二部:全体討論

シルバー人材センターでは、土日祝の朝に体育館を開放し、夜に閉めるという仕事や、会員さんからの要望で、内職などの就業開拓を行っている。ESSENCE研究のフィールドとなっているアクティブシニアも、シルバー人材センターと同じように、高齢者を雇用してくれる企業の開拓をそれぞれの地域で行っている。実際に、それぞれのアクティブシニアが独自に開拓した求職先に就業する率は高い。我々が想定している以上に、シルバー人材センターやアクティブシニアの取り組みは多種多様である上に、各事業所自らが就業開拓を行う積極的な取り組みをしている。しごと財団では、企業の意識を変えてもらうような事業を昨年度から始めており、体験型のコース「しごとチャレンジ65」は今年度からスタートした。インターンシップではないが、体験してもらう事によって最終的には継続雇用や今後の引き受け先になってもらう事を目標としている。このところ話題となっている待機児童の問題についても、高齢の子育て支援員を養成していくといった想定がなされている。今後は、しごと財団の「しごとチャレンジ65」の経過報告と高齢者就労支援研究会で見いだされた知見を一緒にしたシニア就労版コーディネートマニュアルの作成に取り組んでいければという抱負を共有した。

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2016/09/12 13:30-15:00   於:東京都健康長寿医療センター研究所, 南 潮 先生(鳥取短期大学 助教), ESSENCE研究の進捗状況報告

  ◆第10回研究会   2016/07/11 杉 啓以子 先生

「江東園における高齢者活用の方策」

第一部:セミナー

江東園は高齢者福祉施設(養護老人ホーム・特別養護老人ホーム・通所介護)と児童福祉施設の保育所、そして、障害者福祉施設(知的障がい者生活介護)と地域支援事業など幅広い世代に対応する施設を運営する社会福祉法人である。様々な業務分野において高齢者をボランティア(有償・無償)や就労の担い手として積極的に採用し、活用している。世代間交流を基本理念とする江東園では、複合施設の利点を生かし、高齢者が保育園児の日常生活をサポートするボランティア的役割を持って活動する交流事業をはじめとして、施設利用者が散歩を兼ねた「子供見守り隊」をシニアボランティアがサポートして地域の見守りを実施している。施設の専門職を地域に派遣して行う「栄養指導」や小学校での高齢者体験事業も活発に行われている、更には、自主運営のシニアボランティアである「江戸川見守り隊」による独居等高齢者の地域見守り活動や地域サロン「地域のお茶の間」の運営への支援を進めている。更には、様々な障がいの垣根を超えて生き生き暮らせる街を考える「江戸川さんしょうがいフォーラム」の設立など、積極的に地域に根差した活動を行い、地域福祉の拠点となっている。

江東園の杉本部長は、30年間の世代間交流の実践から見えた高齢者の特性である「自分の体験や経験を次の世代に伝えたいと思う存在」そして「何かの役に立ちたいと思う存在」を高齢者の様々な働き方の基本に据えることを提唱した。

高齢者を活用する際の三つのポイントとして、5人の実例について解説され、①2日間の実習により業務の適性レベルを評価すること、②責任者(杉氏)自ら入念に面接を行うこと③個々の職歴・経験・体力を十分考慮して最適な業務を割り振ることの重要性が指摘された。

第二部:全体討論

高齢者の介護職・支援員職の採用の際には入浴・排泄・食事の実習により、レベルをA~Dに分け、A、Bを職員採用し、C、Dは希望すればボランティアとして採用している。その際、利用者への接遇態度、気遣い、疑問な点を放置せず、自分より若い先輩・同僚から直ぐに学ぶ姿勢があるかといった点が重要だと強調された。地域住民を巻き込む秘訣について、杉氏自身が地場に根付き、地場で子育てをしながら、様々な団体との人脈を作り上げてきたことを挙げた。最後に、杉氏の理念に賛同して職員一丸となれる秘訣として、江東園TQMが考案する研修プログラムが多世代型アプローチの有用性や介護福祉士資格を取得できるカリキュラム等から構成されていることが示された。

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2016/07/11 14:00-16:00   於:東京都健康長寿医療センター研究所, 杉 啓以子 先生(社会福祉法人江東園TQM [Total Quality Management] 本部 経営企画管理室 本部長), 江東園における高齢者活用の方策

  ◆第9回研究会   2016/05/17 稲葉 陽二 先生

「経済学から見た高齢者就労」

第一部:セミナー

経済学から見た高齢者就労について5点を示した。①経済原則(賃金=労働の限界生産物の価値)を無視して特定の年齢階層のみを優遇すると、若年層など他の年齢階層へ負の影響が出る。②労働供給を増やすと雇用は増えても賃金は低下し、労働需要を増やすと雇用が増加し賃金も上昇する。つまり、実際の財・サービス市場の拡大が有効である。③高齢者就業の促進策が許容される場合・高齢者が不当に差別されている場合(ex.一律定年制)・高齢者の就労が労働市場の効率を阻害する以上の外部経済がある場合(ex. 高齢者就労による医療の削減など)・全ての年齢階層に提供される教育や制度(ex.同一労働・同一賃金)の改変・労働市場が人手不足の業種(ex. 介護など相互信頼(関係財)で形成するサービスは身体能力の衰えを補完する施策があれば高齢者向き)④高齢者階層の多様性を反映して、高齢者の労働供給も多様となっており、高齢者の就業促進策もきめ細かい対応が求められる。⑤人口減つまり、生産年齢人口大幅減の日本は基本的に労働不足経済となっていく。労働不足を補完するためには高齢者の就業率を上げることも政策課題である。ただし、人工知能(ロボット)の普及による生産性向上は雇用削減効果ともなり、それによってさらに格差を拡大させると想定される。結果として、困窮高齢者が増える可能性は大きい。

第二部:全体討論

昨今、話題となっている人工知能に代替しない高齢者就労の在り方について話し合った。介護や保育など、現在、人手不足の分野に高齢者就労を方向付けていくというのであれば、人工知能にも代替不可能な上に若者の雇用の妨げにならないのではないか。体力的な問題はあるが、就業時間を若い人と交代で行うという事であれば、高齢者にも若者にも意味のある就労となる可能性がある。体力を補うといったロボットの開発が進めば、高齢者が介護や保育をする問題の解決となるのではないか。近年、コンビニエンスストアやファーストフード店等で、早朝の時間などに高齢者を積極的に活用している。時間の住み分けといった意味では、コンビニエンスストアやファストフード店で働くという事も1つの解決法だが、介護や保育といった分野での成功事例からも、意味のある就労の形として今後検討していくべきだろう。最終的には、Generativity(次世代の価値を生み出す行為に積極的にかかわって行くという考え方や行為)を育てることに繋がっていくのではないか。

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2016/05/17 13:30-15:30   於:東京都健康長寿医療センター研究所, 稲葉 陽二 先生(日本大学法学部 教授), 経済学から見た高齢者就労

  ◆第8回研究会   2016/03/28

※プロジェクトメンバーにより研究ミーティングを実施

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2016/03/28 14:00-16:00   於:東京都健康長寿医療センター研究所

  ◆第7回研究会   2016/02/01 松田 文子 先生

「高年齢労働者を対象とした心身機能測定と職場改善の実践」

第一部:セミナー

大原記念労働科学研究所は、1921年倉敷紡績の敷地内に設置された研究所で、働く人の安全、衛生、環境を主に研究している。近年の高年齢労働者の被災した事故の半数が、「挟まれ・巻き込まれ」や「転倒・転落墜落」となっており、大原記念労働科学研究所では、「心身機能測定」により、高年齢労働者の特性を明らかにし、予防策や対応策を講じている。特に、個人と企業に対するフィードバックを行う事により働く人の安全、衛生、環境に貢献している。個人に対しては、事前の自己評価と測定結果をフィードバックすることにより、1人1人の事故防止への動機づけを促している。企業に対しては、認知機能と睡眠との関連を示した上で、記憶力維持への対策を示したり、転倒経験群の100m歩行のつま先高さが有意に低い事を明らかにした上で、つま先高い群は運動日数が多いという事象と関連していた事から、見えづらい段差をなくす環境整備と体を動かす機会の増加を対応策としてフィードバックしている。「職場改善」の具体的な実施には、これまでに手掛けた中から3つの事例を挙げ、高年齢労働者に健康かつ安全に働いてもらうために、加齢による生理面や心理面の変化に配慮した職場環境づくりがその能力発揮に必要であり、その試みは、本人にも企業にもプラスになるものであるとした。

第二部:全体討論

大原記念労働科学研究所では、企業からの依頼により「心身機能測定」と「職場改善」を行っており、東京都健康長寿医療センター研究所でも高齢者を対象とした健康診断を行っている事から、「心身機能測定」について、実際の測定項目や所要時間、スタッフの人数などを話し合った。「職場環境」については、事例として挙げた工場の「職場改善」だけではなく、シルバー人材や介護ヘルパーといった色々な場所で働く人たちの心身機能測定や職場改善について検討を行った。「心身機能測定」の対象者の雇用形態についての質問があったが、現段階では、企業からの依頼のため対象者はほとんどが正社員であった。今後は、雇用形態の多様化を視野に入れた分析も必要と考えられた。

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2016/02/01 14:00-16:00   於:東京都健康長寿医療センター研究所, 松田 文子 先生(大原記念労働科学研究所 特別研究員), 高年齢労働者を対象とした心身機能測定と職場改善の実践

  ◆第6回研究会   2015/11/02 実歳 美幸 先生

「テンポスバスターズにおける高齢者の雇用について」

第一部:セミナー

株式会社テンポスバスターズは、1997年に業務用の中古厨房の会社として設立された会社である。当初は、高齢者を積極的に採用しようとしたわけではなく、人手が必要だったため、年齢を重視していられなくなったという経緯はあるも のの、現在の社員・パート全体の約3割が65歳以上の高齢者となっている。2005年には定年制を廃止しており、現在のパートの最高齢は81歳、社員の最高齢は72歳である。高齢者を積極的に採用し、活躍してもらうポイントとして、業務により多少の基準は異なるものの、年齢、性別、国籍を問わず一律同じ評価制度を採用していることが挙げられる。そこに示された「歳だから」という発想がないという事こそが、高齢者だけでなく全社員への理解に繋がっている。

第二部:全体討論

テンポスバスターズでは、高齢者の中途離職を防ぐための方策として、入社までに3日間の先行研修を行い、仕事の内容について十分に理解してもらった上で、就労が可能かどうかといった意志の確認をしている。さらに、「育児休業・介護休業取り放題」という制度や、いったん辞めても「出戻りOK」という制度があり、他の企業で問題になっている介護離職はあまり見受けられない。現段階での高齢者の退職理由には、本人の健康問題が圧倒的に多いものの、それに関しても、まだ働けるといった理由で戻って来る方もいる。実際に、一旦離職して、75歳から復帰した例もある。60歳以上の社員やパートを対象にした研修旅行、通称「パラダイス旅行」の際に社員によって考案された、「テンポス精神十七ヶ条~高齢者編~」というものがあり、その中には、働ける喜びとやる気にあふれた言葉が紹介された。

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2015/11/02 14:00-17:00   於:東京都健康長寿医療センター研究所, 実歳 美幸 先生(テンポスバスターズ 前人材事業部部長), テンポスバスターズにおける高齢者の雇用について

  ◆第5回研究会   2015/08/24 渡辺 吉靖 先生

「東京しごとセンターにおける高齢者就労支援の施策と考え方について」

第一部:セミナー

昭和50年財団法人東京都高齢者事業振興財団(以下、財団という)は設立され、時を同じくして江戸川区に第1号のシルバー人材センターが立ち上がった。昭和58年に東京都は「高齢者就業システム開発研究会」を設置し、高齢者の雇用・就業・能力活用を促進する就業センター設置の必要性が提言された。その後、地域に設置された高年齢者就業相談所、及び平成8年に開設された東京都高年齢者就業センターの管理運営を東京都から受託し、財団における高齢者への雇用支援事業が本格化した。 平成16年、東京都高年齢者就業センターは、就職支援の対象を全年齢層へと拡大し、雇用におけるミスマッチ解消と都民の多様な就業ニーズに対応するため、東京しごとセンターへと生まれ変わり、年間8,000人前後の利用登録者が訪れるシニアコーナーは、東京しごとセンターの55歳以上の働きたい都民のための就業支援窓口となっている。

第二部:全体討論

社会変化の影響から近年増えてきたのは、継続雇用が適応されはするものの、待遇、条件等の面において今の会社を辞めるべきかどうすべきかで悩んでいる高齢者である。就労したいという人と地域に貢献したいという人では意識が異なるため、NPOや有償ボランティアとマッチングが上手くいかないのではないかと考えている。仕事センターのプログラムや相談事業では、NPOのスタッフやボランティアとして活動することと雇用就労として働くことの違いをきちんと伝え、地域貢献への意識がある人を対象に、そうした機関への就労斡旋を行っている。就労したい人に対しては、しごと財団は職業紹介権は持っていないが、職業訓練やセミナーから、応募や面接に繋がるような取り組みを行っている。

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2015/08/24 14:00-17:00   於:東京都健康長寿医療センター研究所, 渡辺 吉靖 先生(公益財団法人東京しごと財団しごとセンター課高齢者就労支援係係長), 東京しごとセンターにおける高齢者就労支援の施策と考え方について

  ◆第4回研究会   2015/06/22 田尻 孝二 先生

「高齢協が手がける高齢者就労のかたち」

第一部:セミナー

高齢協は、1990 年代中盤に高齢者の福祉を目的とした協同組合を作ろうという動きの中で「寝たきりにならない、させいない」という理念を基に、「生きがい・福祉・仕事おこし」を3つの柱にして発足した。「生きがい活動」という目標を掲げた高齢協の活動は、設立当時からの「仕事おこし」活動と、高齢者自身の特技を生かした文化・教養教室活動とに二分していくこととなる。さらに、「仕事おこし」活動は、2000年頃から開始した「ヘルパー講座」の委託により、事業収入を得るようになり、それが、高齢協の福祉事業の出発点にもなった。その後、介護保険事業への参画が始まるが、これらの事業の開始に伴い「生きがい活動」としての「仕事おこし」活動事業は下火となっている。生活支援事業も始まるこの時にこそ、「高齢協」らしい取り組みとは何かを再考していく必要がある。

第二部:全体討論

現段階で、高齢者就労に関しては、圧倒的な情報不足が懸念される。平成29年には生活支援サービスが始まる事が確定している今こそ、生涯現役のプラットホーム構想を作り上げていかなくてはいけない。そのための第一歩として、高齢者就労のためのガイドブックを考えて行くべきではないだろうか。これまでの研究会での報告は、地区単位の高齢者就労についてのものばかりであったが、地域差を明らかにしてくという視点こそ重要なのではないだろうか。全国で活動している高齢協やシルバー人材センターなどの、地域ごとの取り組みに関する一覧があれば、行政側も自分たちの地域に何が不足しているのかといった事が把握できるはずだ。そのような、ガイドブックがあれば、生活支援サービス開始までに、各自治体にとって何が必要なのかを見出す手がかりとなるに違いない。

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2015/06/22 15:00-17:00   於:東京都健康長寿医療センター研究所, 田尻 孝二 先生(日本高齢者生活協同組合連合会副会長・生活協同組合東京高齢協専務理事),  高齢協が手がける高齢者就労のかたち

  ◆第3回研究会   2015/04/06 河邉 彰男 先生

「高齢協が手がける高齢者就労のかたち 」

第一部:セミナー

高齢者派遣の特徴は大きく二つに分かれる。一つは、定年延長の際、派遣会社を通して再雇用という形式に利用されるタイプ、もう一つは希少な有資格者のような専門性を持つ高齢者を扱うタイプがある。そのため、一般の派遣労働(以下、派遣)に比べ、料金設定の仕方も多様であり、高齢者だから安い、専門性があるので高い等、企業の基準の置き方に左右される。現在では、高齢者派遣における規制の緩和が進んでおり、派遣業界全体から見れば、若年者よりも高齢者の方が優位にある。

⇒人材派遣業界において、高齢者就労の期待が高まる。

第二部:全体討論

55歳以上の派遣労働者の割合が18%と、諸外国に比べて多いが、必ずしも日雇いが多いからというわけでもない。高齢者はフルタイムで働かれている方が圧倒的に多い。日雇いでやる仕事というのは、かなりの単純作業か、専門的な仕事のどちらかしかない。日雇いであれば、例えば、統一地方選挙といった仕事で高齢者の方の稼働している率は多い。

有償ボランティアもシルバーも一定の責務を果たすものでありながら、雇用関係を結んでいない。このあたりは(制度や法的には)もやっとしたまま、実態が動いているという印象がある。雇用のない関係の中で行っている活動が実は沢山あるのが悩ましい点であると感じる。この辺りの整理が急務だと感じている。

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2015/04/06 14:00-16:00   於:東京都健康長寿医療センター研究所, 河邉彰男先生 (一般社団法人日本人材派遣協会統括研究員),  労働者派遣の概要―中高年を中心として―

  ◆第2回研究会   2015/01/28 佐藤 陽 先生

「地域福祉を推進する社会福祉協議会を中心に―他機関との連携、有償活動、生活支援サービスとともに―」

第一部:セミナー

社会福祉協議会(以下、社協)は、『社会的に弱い立場にある人々を社会の一員として、支え合う社会づくり(ソーシャルインクルージョン)』の方向性を持ち、地域のボランティア・行政・専門家を繋げる役割として期待されている。また国側からは、住民参画を得て支え合う社会の実現が求められ、制度では拾いきれないニーズや、制度の谷間にある人への対応等、公的福祉サービスだけでは対応しきれない多様な生活課題に対応するため住民と行政の協働による「新たな支え合い(共助)」の確立が提案されている。

現場では、地域福祉のニーズが増える中で、無償ボランティアだけでなく有償ボランティアをも導入しており、社協から見た、有償ボランティアと無償ボランティアの位置付けや、今後行われる生活支援について示した。

第二部:全体討論

地域福祉において様々なボランティア主体が共存しているが、現在では,問題なく住み分けがなされている。理想としては、社協と包括センターが協力し合い、サービスの充実を図るべきだが、現実には、行政がどこに予算配分するかによって,その主導となる施設が左右されてしまう状況にある。

さらに、有償ボランティアをボランティアと見るか、労働と見るかが未整理な段階で、活動における事故や事件の際への法律や保険が対応しきれていない可能性が高い。今後、社協だけでなく、全てのボランティアやNPOの活動をどのように区分けしていくのかといった整理が急務である。

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2015/01/28 14:00-16:00   於:東京都健康長寿医療センター研究所, 佐藤 陽 先生(十文字学園女子大学 人間生活学部 教授),  地域福祉を推進する社会福祉協議会を中心に―他機関との連携、有償活動、生活支援サービスとともに―

  ◆第1回研究会   2014/12/01 稲葉 陽二 先生

「社会関係資本全国調査の結果と高齢者就労への示唆」

第一部:セミナー

世界でも5番目に高い高齢者就労率である我が国だが、多くの高齢者が仕事をしたいと考えており、その就業活動はスムーズであるとは言えない。そこで、本研究会としては、高齢者就労の現状を把握し、更なる促進を考えるために、全体像を把握しなければならない。

そのための研究会の方向性として、就業促進なのか、孤立防止なのかでは対応が異なる事を念頭に置かなくてはいけない。先行研究では、心の健康は年齢があがるほど改善されており、職場からの解放によって心の健康があがるという事であれば、高齢者の就労はストレスを増やすようなものであり、無意味なのかもしれないという疑問が生じている。

身近な人々との接触が減り、彼ら/彼女らへの信頼が低下するトレンドをどう食い止めるのかがこれからの課題ではないだろうか。

第二部:全体討論

高齢者就労を支援するにあたっては、高齢者自身の就労イメージや目的意識、妥協点を明らかにする必要がある。さらに,そのイメージや目的意識には欲求の階層性があると考えられる。個人の視点では、若いころからの準備や早期転換の視点が必要である。

一方、社会の視点としては、多世代との共存を意識しつつ施策を考える必要がある。その双方向の視点から高齢者就労を考えることによってより良い支援が可能となるのではないか。その際、エイジズム(高齢者への差別や偏見)の様な高齢者就労に対するマイナスイメージの存在があるのではないかと考えられるため、個人の側からの高齢者就労の利点、社会の側からの高齢者就労の利点を示していかなくてはならない。

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2014/12/1 14:00-16:00   於:東京都健康長寿医療センター研究所, 稲葉陽二 先生(日本大学法学部 教授),  社会関係資本全国調査の結果と高齢者就労への示唆