本プロジェクトでは、以下の3つの課題に取り組んできました。
我が国において現段階で社会参加の観点からの高齢者就業に関する学術的な研究は乏しいです。特に急速な高齢化・格差の拡大が進む大都市に特化した研究は少なく、その多様性に着目した俯瞰的な研究もあまり多くありません。
本研究プロジェクトでは必須領域における基盤研究として基礎的な情報の整備に取り組みます。
就業支援の形態として創出型と調整型について大別し、特に大都市部においては多様な事業所・求人の需給のミスマッチから後者が重要な役割を果たすと考えます。当該システムに対してモニターを個別追跡した上で、有効に補完しうる介入方法についても検討します。
高齢者の就業には、経済的な需給調整といった観点からだけでなく、時代背景に基づき社会的なコンセンサスとなる就業観による調整が期待されます。予防医学・労働衛生・臨床心理・福祉・経済・社会・文化、歴史、哲学など複数の総合的な観点から、世界的に最も高齢化が進んだ我が国において初めて可能な「新しい高齢者像」についての検討を行います。
「人材不足の業種・職種へ流出入するシニア就業者の特性及び機序の解明」(ディップ総研 労働の未来研究助成事業,令和4年度,研究代表者:相良友哉)
「介護助手に焦点を当てた高齢期就労の健康影響に関する包括的エビデンスの構築」(日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究B,令和3年度~令和6年度,研究代表者:村山洋史)
「シルバー人材センター会員に着目した高年齢就業者の安全・健康管理に向けた要因の解明」(日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究B,令和3年度~令和5年度,研究代表者:藤原佳典)
「高齢求職者および就労者の類型化とその特徴の把握:効果的・効率的な高齢者就労支援に向けた研究」(前川ヒトづくり財団 助成事業 特別枠,平成31年度,研究代表者:村山洋史)
「保育領域における高齢者ボランティアの就労ニーズに関する研究」(前川ヒトづくり財団 助成事業 特別枠,平成31年度,研究代表者:相良友哉)
「「より就業に結び付きやすい高齢者就労支援」のモデル検討―好事例の質的分析から―」(前川ヒトづくり財団 助成事業 特別枠,平成31年度,研究代表者:高橋知也)
「大都市求職高齢者の実態解明およびシームレスな社会参加支援に向けた研究」(日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究A,平成28年度~平成30年度,研究代表者:藤原佳典)
「高齢者就業の新たな調整型支援システムの構築に関する総合的研究」(日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究B,平成26年度~平成28年度,研究代表者:藤原佳典)
本研究では適宜、行政機関の協力を得ながら地域コミュニティと連動した就労支援、社会参加支援のフィールド研究に取り組んでいます。
現在、東京都大田区、板橋区をはじめとして、アクティブシニア就業支援センターを中心とした就労支援機関における求職者の皆様、採用企業の皆様等のご協力を得ながら各種調査研究を実施しております。