以下では若手研究者の参考になると思った書籍等を、独断と偏見に基づいて紹介します。
Daniel Bolnick のブログポスト (2022)
The things we wished we had known
若手PIのための「知っておきたかったこと」集。日本のアカデミアには謎の「海外は天国」幻想がありますが、そんなことないことがよくわかります。就職すると(しても?)色々なことがありますが、みんな苦労してると思えると少しは気が楽になるものです。若手PIには超おすすめ。
Karen Kelsky (2015)
The Professor Is In: The Essential Guide To Turning Your Ph.D. Into a Job
Crown
アメリカの人文系(元)研究者が書いた「どうやってアカデミック就職するか」の本。アメリカの大学を想定してはいますが、応募書類の書き方などはとても参考になります。これから就職戦線に向かおうという人には超おすすめ。
Burrough Wellcome fund Howard Hughes Medical Institute (2006)
Making the Right Moves: a Practical Guide to Scientific Management for Postdocs and New Faculty
Burroughs Wellcome Fund
アメリカの HHMI が出している若手研究者のための指南書。就職のためのアドバイスもあるが、重点はむしろ採用されてからどう研究室を立ち上げ、予算を確保し、チームをマネジメントするか、あたりに置かれています。アメリカの研究機関を想定していますが、参考になる部分はとても多いです。無料でPDFが公開されています。かなりおすすめ。
Kim Scott (2019)
Radical Candor: Fully Revised and Updated Edition: How to Get What You Want by Saying What You Mean
Pan Books
管理職のためのビジネス本。チームマネジメントの仕方について色々と書いてあります。アメリカ企業を想定しているので日本のアカデミアとはもちろん事情は違いますが、参考になる部分はとても多いと思います。著者はGoogleの日本法人での経験もあり、そのあたりの逸話も書いてあります。
Hanna Kokko (2007)
Modelling for Field Biologists and Other Interesting People
Cambridge University Press
理論家が書いた進化生態学の数理モデル入門書。モデルとは何か、何のためにモデルを作るのか、から始めて、色々なモデリングアプローチについて分かりやすく解説しています。数学の知識がほとんど無くても読めるように書いてあります。数値計算用 Mathematica のコードも載っています。学部専門科目程度の難易度。
Stuart West, Lindsay Turnbull (2023)
Scientific Papers Made Easy: How to Write With Clarity and Impact in the Life Sciences
Oxford University Press
生態学者が書いた「論文の書き方」本。目新しさがあるかというと微妙ですが、「今どきの書き方」が書かれているので参考になります。リバイス対応について書かれていないのが玉にキズ。