中欧諸国の憲法
ドイツ
ドイツ連邦共和国基本法 (制定:1949年5月23日/最終改正:2022年12月29日)
・Grundgesetz für die Bundesrepublik Deutschland (Deutsch)
基本法第140条の規定により、ワイマール憲法 (Verfassung des Deutschen Reichs) の第136条、第137条、第138条、第139条及び第141条の規定は、基本法の構成部分とされている。
オーストリア
連邦憲法 (制定:1920年10月1日/最終改正:2024年2月26日)
・Bundes-Verfassungsgesetz (Deutsch)
オーストリア憲法の法源は多様である。連邦憲法に加え、多くの憲法法律 (Verfassungsgesetz)、憲法規定 (Verfassungsbestimmung)、憲法上の地位にある条約 (Staatsertrag mit Verfassungsrang) により構成されている。連邦憲法第149条にその一部が明示されており、その中でも下記の「一般的権利に関する1867年12月21日の国家基本法律」と「人権と基本的自由の保護のための条約(欧州人権条約)」は人権カタログのない連邦憲法に代わり、オーストリアにおける基本権の重要な法源となっている。
帝国議会に議席を有する王国及び州のための国民の一般的権利に関する1867年12月21日の国家基本法律
人権と基本的自由の保護のための条約(欧州人権条約)
・Konvention zum Schutze der Menschenrechte und Grundfreiheiten (Europäische Menschenrechtskonvention) (Deutsch)
スイス
スイス連邦憲法 (制定:1999年4月18日/最終改正:2022年2月13日)
・Bundesverfassung der Schweizerischen Eidgenossenschaft (Deutsch)
・Constitution fédérale de la Confédération suisse (Français)
・Costituzione federale della Confederazione Svizzera (Italiano)
・Constituziun federala da la Confederaziun svizra (Rumantsch)
現在の連邦憲法は、1848年に「連邦国家としてのスイス」が成立した際に制定された憲法(1848年憲法)と本質的には連続している。なお、直接民主主義が盛んなスイスにはイニシアティブ(国民発案)の制度がある。このイニシアティブにより成立した法は、一般の法律形式ではなく憲法の形式で法制化される。したがって、スイスにおいては、イニシアティブが可決されると、必ず憲法が改正される。
リヒテンシュタイン
リヒテンシュタイン公国憲法 (制定:1921年10月24日/最終改正:2018年12月21日)
・Verfassung des Fürstentums Liechtenstein (Deutsch)
リヒテンシュタインは「欧州最後の絶対君主制国家」と呼ばれることもあるが、民主制かつ議会制に基づく立憲君主国である。ただし、元首であるリヒテンシュタイン公爵(Fürst) が他の欧州の立憲君主制国家の元首と比較して強い政治権限を有していることは事実である。他方で、国民には公爵を解任したり、君主制を廃止したりするための国民発案が認められている。
チェコ
チェコ共和国憲法 (制定:1992年12月16日/最終改正:2013年6月1日)
・Ústava České republiky (Česky)
チェコ憲法は、隣国のオーストリア方式を採用しており複数の憲法法律により構成されている。特に「自由及び基本権憲章」は、チェコ共和国憲法第3条において憲法秩序の一部を構成していることが明記されている。
自由及び基本権憲章
・Listina základních práv a svobod (Česky)
ハンガリー
ハンガリー基本法 (制定;2011年4月25日制定/最終改正:2023年12月12日)
・Magyarország Alaptörvénye (Magyar)
1989年の東欧革命後に新憲法を制定した他の旧ソ連衛星国とは異なり、ハンガリーは1949年制定の憲法改正で対応してきたが、2011年に新たな憲法として、現在の基本法を制定した。