lexと歴史

この項では、三代目リパライン語におけるlexについて調査し整理したものである。語源、用法の変化によって三代目リパライン語のlexについて理解を深められたら幸いである。尚、以降三代目リパライン語を現代語と表記する。

☆語法

・一代目の状況

前期古理語にはlexは無かった。lexの三代目の三つの要素を元に説明すると、助動詞の動作範囲指定はなく、文脈的にそれを読み取っていたと思われる。正確にはこの時代のリパライン語(以後後期古理語)においては、入れ子構造の文を出来る限り作らないという傾向があったため、その点が発達しなかったという原因もある。動詞の修飾は次の例文のように動詞 - 名詞の順で並べるだけで修飾できたと思われる。

  1. Mi ler hoote husfafgh's ccclk niv.

文意は「私から離れる心は見えない。」である。mi(私は)で現代語のmi(私)と同じである。、lerは標準語と同じ奪格に近い用法を持つ後置詞、hoote(離れる)は動詞原型で現代語ではhartkarfel(伝える)のhartの部分に当たる。husfafgh(心)は心で現代語のfusaf(心)に当たり派生語としてvsfafgh(心の行為を行う)などがある。

mi ler hooteとhusfafgh'sは後に主格が明示されている。現代語では"mi ler lex lern fusaf"になる。殆ど構成が同じである。現代語での関係詞zuなどの用法はzuの古理語 tsuには無く専ら動詞 - 名詞の形の修飾を行った形跡がある。lex Vの語の位置はこの動詞 - 名詞に影響された可能性が高い。

    1. Mi aloaj sososlunu lex eo's shone.

作者自身では気づかなかったが、すでに後期古理語にはlex/elxが造語されていたのが分った。lexの語が作られてから少しの期間の間、関係詞のような用法だったが、その後の段階では、lexは文の切れ目に配置されeoによってlex以前の文を指し示し引用できるといったものであった。eoはこの時はそれを受ける名詞であった。elx自身は現代語のeo lexと同じ用法だったと思われる。

・二代目の状況

二代目では、この時期のlexの説明から始める。

    1. ponpen's cuzila'i chokki'd poket ler xucuo'i xel than alicu's lex liaxi runnelinge.

上の例文は二代目(以下中理語)のlexの使われ方の一文である。リパラインノーツには「elx」の説明が事細かに書いてあるが、基本は現代のeo lexと同じである。elxは枠構造であり理由は不明であるが助動詞の力が強くなったことによる後期古理語lexの分業化を計り作られたと思われる。さて、上記の文をもう一度見て欲しい。文意は「ウサギがチョッキのポケットから時計を落とすのを見るとアリスは走り始めた。」である。lexはここでは文を受けるのではなく助動詞を切っている。前期中理語ではlexは前文引用でありelxは助動詞制御とリパラインノーツでは定義されているが文章データでelxを使ったものは見つからなかった。後期中理語では、elxが殆ど文章に出てこなくなったためにlexがelxの語法を吸い込んだ可能性がある。

・三代目の状況

現代語lexは二代目のlexを吸い込み、まず全文引用と助動詞制御の分業化を行った。三代目は単語ごとの明示を大切にするためここで名詞化前置詞la、意味強調冠詞eoが付いた。la lexが前文参照となり、eo lexが助動詞制御の用法となった。後にlex Vの用法が出来るが、これは後期中理語のlex 助動詞 動詞と言う並び方がそのまま動詞連体形の明示に利用された。