可食エレクトロニクス
当研究室では、食品由来材料を用いたエレクトロニクス・デバイスの創造をめざしています。「可食」とすることで、人や動物が経口摂取するデバイスの安全性を高め、また自然環境中で野生動物が誤って摂取しても安全であることから廃棄も容易となります。さらに、製造業(食品や飲料など)での検討がすすめば、金属片やプラスチック片の異物混入リスクを低減することが可能となります。可食材料は身近に存在していますが、デバイスとしての研究例は非常に少なく、今後有望な研究開発領域となる可能性があります。当研究室ではこの業界を先導することをめざしています。
可食導電素材
経口摂取型センサはカプセル内視鏡などで実用化されていますが、サイズによっては体内に残留し摘出手術となる可能性があります。そこで、デバイスをすべて食品で構成することで残留時のリスクを皆無とすることをめざしています。以下の図は食用銀箔やゼラチン等で構成されたインダクタ部品です。可食の金属箔を加工、配線することで、任意の回路パターンやアンテナ構造を作製することができます。さらに、発電やロボットなどへの適用も検討しています。
Fukada, K*.; Tajima, T.; Seyama, M. Thermally Degradable Inductors with Water Resistant Metal Leaf/Oleogel Wires and Gelatin/Chitosan Hydrogel Films. ACS Appl. Mater. Interfaces. 2022, 14, 39, 44697-44703. (IF=10.4) Suppl. Journal Cover.
https://doi.org/10.1021/acsami.2c12380
Reproduced with permission from the article. Copyright 2022 American Chemical Society.
可食基板
以下の図は、ゼラチン中に撥水性の蜜蝋(可食)を分散配置させた、水透過バリア膜です。可食エレクトロニクスの基板として耐水性を高めつつ、体温によって徐々に分解し破壊することができるため、人体中に残留するリスクを低減できます。当研究室では、身近な食用素材を用いて、従来利用されてきたエレクトロニクス部品の代替をめざしており、人や自然環境に優しいデバイスの創造に取り組んでいます。
Fukada, K*.; Hayashi, K. Thermally Degradable Water Diffusion Barrier Assembled by Gelatin and Beeswax toward Edible Electronics. ACS Appl. Mater. Interfaces. 2024, 16, 31, 41223-41229. (IF=8.3)
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsami.4c08493
Reproduced with permission from the article. Copyright 2024 American Chemical Society.