第2回
2 Raspberry Pi の使い方
2.1 起動と停止・ログインとログアウト
開発論の課題で試したように、 Raspberry Pi は電源ケーブルを接続すると、自動的に起動してしばらくするとログインを待ち受ける状態になります。また、Raspberry Pi を停止して電源を切断できる状態にするにはログインをした状態で以下のコマンドを打ちます。
$ sudo shutdown -h now
点滅しているランプが消灯したら、電源を切断してOKです。 Raspberry Pi を終了するコマンドは、以下のようにしても入力することができます(どちらでも効果は同じです)。
$ sudo halt
Raspberry Pi は電源ケーブルを接続すると自動的に起動します。キーボード・マウスやディスプレイをつないでいればそれらの入出力装置を使って操作することはできるのですが(このあとこの方法を試します)、そうでなければそのままでは何の操作もできません。
そこで、これから多くの場合では、外部から(Macから)ネットワーク越しにsshログインをします。sshログインをすると、外部のコンピュータ(Mac)から Raspberry Pi の遠隔操作が可能となります。 Raspberry Pi が適切にWi-Fiに接続している場合は、ターミナルから以下のコマンドを打つことで遠隔ログインすることができます。(開発論の課題で行っていたこともこれです。)
% ssh pi@ne331333.local
遠隔ログイン後は、コマンド受付のプロンプトが少し変わると思います。このとき、Macの画面に表示されているものの、実際に操作しているのは Raspberry Pi であることに注意してください。常に、Macを操作しているのか、 Raspberry Pi を操作しているのか、意識して間違えないようにすることが大切です。プロンプト表示をよく見て確認してください(表示をわかりやすくカスタマイズしてもよいでしょう)。
さて、ログインしたあと Raspberry Pi の作業を終了する場合は、先述の通り Raspberry Pi を停止して電源を落とすのが1つの手段ですが、いったん作業は終了するけれど、このあともう1度ログインするつもりがあるという場合が多々あります。その場合、 Raspberry Pi を停止したり電源を落としたりせずに、ログアウトだけすると作業がスムーズに進みます。
ログアウトする場合は以下のコマンドを打ちます。(その後、すぐにログインし直すことができます。) shutdown (halt) と exit 、使い分けられるようになりましょう。
$ exit
2.2 大学のWi-Fiへの接続
開発論の課題では、自宅のWi-Fiを使用してMacから Raspberry Pi への遠隔ログインをしていました。自宅のWi-Fiの設定は Raspberry Pi OS のインストール時に行うことができましたが、大学のWi-Fiへの接続は別途設定しなければなりません。
大学のWi-Fiに接続するための方法は少し特殊ですので、ここではいったんキーボード・マウス・ディスプレイを Raspberry Pi につないで、 Raspberry Pi を直接操作する形で接続の設定をしていきます。教室の人数に対して、キーボード・マウス・ディスプレイの数は少ないですので、順番に交代しながら設定を行います。具体的な設定方法は、別途 Google Classroom に資料を用意しました。そちらを参照してください。
2.3 ソフトウェアのインストールとアップデート
Raspberry Pi を大学のWi-Fiに接続することができたら、インターネットに接続できるようになるので、 Raspberry Pi のソフトウェアを新たにインストールしたりアップデートしたりできるようになります。キーボード・マウス・ディスプレイは次の人に譲って、ここからはもう1度遠隔ログインに戻って作業を続けましょう。
まずはじめに、 Raspberry Pi にインストールされているソフトウェアやライブラリのアップデートを行います。
$ sudo apt update
$ sudo apt upgrade
aptはソフトウェアパッケージ管理ツールです。ソフトウェアのインストール・更新・削除等には、aptを使用すると覚えておくと役に立ちます。apt updateでパッケージ一覧の更新、apt upgradeで更新可能なパッケージを更新します。
以下のように聞かれたらエンターキーを押します。(何も入力しないでエンターキーを押すと、大文字で示されているデフォルト回答(以下の例では「Y」)が入力されたことになります。)
Do you want to continue? [Y/n]
sudo apt upgrade には少し時間がかかります。
2.4 Pythonの準備
Raspberry Pi にはpython3がインストールされています。念のために以下のようにして確認します。3.9.2などと出力されればOKです。
$ python3 --version
pythonのモジュールを管理するためのpipというツールをインストールします。コマンド名はpip3になります。
$ sudo apt install python3-pip
pip3がインストールされたことを確認します。command not foundとならなければOKです。
$ pip3 --version
現在pip3が管理しているpythonのモジュールを一覧表示してみましょう。
$ pip3 list
すでにいくつかのモジュールがインストールされていることがわかります。
これでPythonの準備は完了です。
2.5 Unixコマンドについて
今後基本的には、 Raspberry Pi にSSHログインをして開発作業を進めていくことになります。SSHログインをすると、通常のコンピュータのGUIではなく、コマンドベースのCUIでコンピュータを操作していくことになります。すると、フォルダ(ディレクトリ)の作成・移動・中身表示やファイルの作成・コピー・移動・削除といったことも、すべてコマンドを打ち込んで操作していくことになります。
そのため、コマンドについて習熟することが、何の作業をするにおいても近道です。逆に、ずっとコマンドを覚えずにいると、たいへん非効率です。以下の開発論のページを読んで、ひととおりコマンド操作を身に付けましょう。
2.6 Raspberry Pi のCPU温度の計測
Raspberry Pi のコマンドにCPUの温度を計測するコマンドがあります。
$ vcgencmd measure_temp
現在何度であるかを確認しましょう。コマンドは打つたびにそのときのCPU温度を表示するので、表示は変わることがあります。40°Cを超えている場合には、 Raspberry Pi の表面に実装されている1.5cm四方くらいの銀色のICチップ(BROADCOMと書いてある)に指を当てると、少しCPU温度が下がります。(ここにCPUがあって、指を当てると指に熱が逃げていくということです!)
2.7 実習
実習1
Wi-Fiに接続したあと、10.50.X.Xのアドレスが使えることを確認しました。それでは、10.50.X.Xのアドレスからsshログインができたことを、実習レポートとしてまとめてください。
実習2
vcgencmdコマンドで、CPU温度を表示した結果を実習レポートとしてまとめてください。何度か行って、温度が変化するようなことがあれば(温度を変化させることができれば)、そのこともまとめて考察してください。