2024年かんむり座T星
2024年の2月から9月の間に新星爆発の予報が出されている「かんむり座 T星」(T CrB、CrB Tなどとも書きます)。世界中の天文学者とアマチュアが明るさの変化に注目しています。やまがた天文台でもモニタリングしています。
最新の光度曲線
T CrB light curves -- Credit: T. Nakamori/K. Hashiyama/YAO (中森健之/橋山和明/やまがた天文台)
かんむり座T星について
かんむり座T星の位置
春の星空でひときわ明るく見えるのがうしかい座のアークトゥルス。春の大曲線や春の大三角の一角を担う一等星です。その脇にかんむり座があります。王冠の宝石になぞらえた2等星アルフェッカが目印です。
かんむり座T星はその端のほうにあり、通常は肉眼では暗くて見えません。
FAQ
なぜ爆発するの?
恒星(赤色巨星)と白色矮星の連星系。白色矮星に恒星のガスが降り積もって、たまりすぎると暴走的に核燃焼が進行して爆発する。
なぜ爆発することが分かるの?
1946年(約80年前)と1866年(約160年前)に爆発している。その数ヶ月前に、前兆となる現象があった。2023年にもその前兆が確認されたため、今年爆発すると考えられている。
爆発したらどうなるの?
2等星ぐらいまで明るくなるという予想があり、肉眼でも見える可能性が高い。その後数日であっという間に暗くなっていくと予想されている。爆発によって降り積もっていたガスはなくなるが、また約80年後に爆発すると予想される。
爆発前にも明るさの変化はあるの?
爆発のときのような目立った変化はないと思われます。
日々の変動があったら何が分かるの?
勉強します
観測について
機材等
やまがた天文台ニクニドームに併設された、スライディングルーフにある35 cm反射望遠鏡(Meade F8ACF)で観測しています。
冷却CMOS:ZWO 294MM Pro
Gain 120、露出20--30秒x5枚程度、4ビンまとめ、0℃程度に冷却
フィルタ:ZWO LRGBフィルタ
フィルタホイール:ZWO EFW7
撮影ソフトウェア:ASI Image
撮影データ例
2024年5月24日 Lフィルタ, 20秒
参照星
Aladin liteを見ながらGaia DR3のRP, G, BP等級をそれぞれR, G, B測光で参照している。Lについては5/21の最初のフレームの光度を基準として、相対変化を計算している。
どのバンドの20秒の露出でも測光値(ダーク・フラット補正+スカイ減算後)が10^4程度あってゆらぎの少ない恒星を参照星とした。それぞれの等級からT CrBの等級を求め、標準偏差をそのフレームの測光誤差としている。