eQuinox2

スペック

公式サイトによる)

口径:114 mm、焦点距離:450 mm、視野:34 x 47 秒角 、重量(三脚を含む):9 kg、経緯台式。

2023年4月27日 連続導入テスト

ガイドツアーや出前等を意識して、eVscopeで1時間あるとどれくらい見せられるのか、のようなランニングテストをやってみました。19:15ごろ屋上に出て、20:30ごろに撤収しました。

説明しながらにせよ人が待てる時間はどれくらいかを想像して、露出時間は2分で統一しました。導入天体はアプリに出ている候補をほぼ上から順に。鏡筒は東西に行ったり来たりするので、順番を考えればもう少し効率は上がりそうです。2分露出では写りが微妙なのものあります。

個人的に新発見は散開星団です。露出が4−8秒溜まって最初に画像出てくると、視野いっぱいにたくさんの星がぶわっと一度に現れます。一人で作業していたのに思わず声が出ました。望遠鏡で星団を見てもらってもお客さんのリアクションが今ひとつなこともあるかと思いますが、ガイドツアーのような限られた時間でもワンポイントとして使えるかもしれません。

(1時間スマホを眺めているのが地味に疲れました。)

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M3(球状星団)

M104(ソンブレロ銀河)

M46(散開星団)

M51(子持ち銀河)

M53(球状星団)

M82(銀河)

アンテナ銀河

Blue Oyster Nebula(惑星状星雲、屋上のポールにかぶって撮影失敗)

M100(渦巻銀河)

M101(回転花火銀河)

M102(銀河?ネットで調べると対応天体が存在しない??)

M105(楕円銀河)

M106(渦巻銀河)

ミザール

半月(明るすぎて撮影失敗)

北極星

M37(散開星団)

M13(球状星団)

2023年4月8日 操作練習会

やった人:中森健之、参加者:会員6名

ガイドツアーの案内人当番ではないという立場でeVscopeを設置し、ツアー終了後は参加者各自の端末で操作してもらう練習会を実施しました。一人が「オペレーター」端末となり望遠鏡を操作し、その他は「オブザーバー」端末となります。全員がリアルタイムで進行する同じ撮影データを手元で見ることができます。オブザーバーは自分の端末に撮影画像を保存できます。天体の変更等はオペレーター端末で行います。天体の変更やライブスタック撮影終了時にオブザーバー端末は自動で画像が保存されるようです。

雨上がりの夜空で、ところどころ雲はあるものの空気が澄んでいましたが、徐々にうっすらモヤっぽくなっていたように思います。高度の高いM81、高度の低いソンブレロ銀河を撮影しました。1分も経たないうちに姿が浮かんできます。

M81 (露出4分)

ソンブレロ銀河(露出2分)

しし座のトリオ銀河にも向けてほしいと言われたので比較的長時間撮影してみました。M65, M66, NGC3628という銀河が集まっている領域で、アプリからM65やM66に向けるだけでは3つの銀河が視野に収まらなかったので、手動で望遠鏡の方向を調整しました。露出時間の短いものと長いものを並べました。短時間で銀河の姿が見えることがわかると思います。

トリオ銀河(露出2分)
トリオ銀河(露出50分)

2023年4月1日 ガイドツアーと並行して使うテスト

やった人:中森健之

半月を過ぎた月が明るかったですが快晴だったのでテストをしました。ガイドツアー開催日だったので、お客さんに映像を見せることも同時に狙いました。満充電のeVscopeと満充電のiPad Proを夕方から用意し、星が写るようになるまで日没と薄明を待ちました。年季の入ったiPad側のバッテリがやや心配でしたが、3時間は問題なく駆動しました。

電源投入後、最初にwifiを接続した後にアプリ側で望遠鏡を認識するのに毎回手間取るように思います。iOS/iPad OS側でwifi接続が確認できた状態でもアプリ上では望遠鏡を認識しなかったりします。その状態で、iPad本体のwifi自体のoff/onをすると望遠鏡を認識しました。これ以降は接続上のトラブルはおそらくありませんでした。

まだまだ明るいと思っている時間帯でも、星を検出して自分の向いている方向を認識しました。その後M42に向けると夕暮れの中でも写りました。

4秒以上の露光とライブスタックするアプリ上のボタンの存在にようやく気づきました。M42は高度がかなり低いせいか、ときおり画質が低下するという警告メッセージがでていました。そのせいなのかどうかはまだ理解できていませんが、画面上に表示される総露出時間が順調に伸びて行かないような挙動でした。右の絵は2分の露光と表示されていますが、20分ぐらいは観測していました。

観測前にピント調整は行っていますが、露出を続けてくうちにどうしても追尾や大気の揺れのせいで、合成画像上でも星像がぶれる傾向があるように感じています。

眼視やドームの望遠鏡によるガイドツアーを実施している間、eVscopeとiPadを放置して露出を続けさせておき、ツアーの道中で見てもらうという運用を試してみました。

左の絵はM82で69分という長時間露出になっているのはそのせいです。数秒で「何かいる」というもやっとしたものが写り始めましたので、単にM82を見るだけならここまで長時間露光は必要ないと思われます。月明かりの下でもこれだけ映るんだな、ということが実感できました。また、M42とは違い高度が高いせいか、実時間程度の露出として使われているように思いました。


お子さんが吸い込まれるように画面を見ていたのが印象的で、眼視にはできないことが提供できることがよくわかりました。と同時に、アンケートでは眼視でみた望遠鏡の方が強く印象にのこったようで、自分の目で覗いてみるという体験は大事なんだろうということも再認識しました。

2023年2月27日 晴れたのでテスト

やった人:中森健之

半月が出ていましたが快晴だったので再びテストをしました。バッグから鏡筒を取り出して、三脚に乗せるとき(そして下ろすとき)がとても緊張します。眼視はできないモデルなので、開けた場所なら三脚の足を伸ばさないで使うのが良いかもしれません。鏡筒を留めるネジは2箇所。

今日はiPadの大きな画面で操作することにしました。iPhoneとほとんど同じはずなんですが、画面の幅が広いと印象が変わります。電源を入れてアプリを立ち上げ、wifiでeVscopeに接続。アプリから望遠鏡の向きを動かそうとすると動いてくれたのと、望遠鏡カメラに写っている星空が表示されたので、通信も大丈夫そうです。

トラブル:早速望遠鏡の位置を認識させるボタンを押しますが、処理に失敗というメッセージが出ました。もう一度ボタンを押しても動いていないようで、望遠鏡の首振り指示を出しても動きませんでした。iPadのwifiを一度落として再接続することで解決しました。

Tips:位置認識ができたので、目標天体メニューからM42 オリオン星雲を選ぶと望遠鏡が動き始めました。見た目の印象とは違い、仰角方向に首が回る方向が決まっていて、南の空に向くために方位角の反転を待つ必要がありました。設置時に意識しておくともしかして便利なことがあるかもしれません。

望遠鏡の移動中は、画面上では「M42へスルー」という(趣旨の)メッセージが出ています。スルー(slew)は望遠鏡を目標に転回するという意味です。鏡筒の動きが留まったかなと思ってもまだ画面上にM42は見えず、微調整を自動的に行なっているような雰囲気でした。やがて画面にM42が写りました。待つだけなので楽ちんですね。

「編集」ボタンを押すとゲインと露出が調整できます。これに気づくのに結構時間がかかりました。もともとは英語のソフトでしょうけど、「編集」という和訳はもっと良い単語がある気がします。

露出の最大は4000 ミリ秒のようでした。適当にゲインを落として白潰れしすぎないようにしたのが左の絵です。ライブスタックしてないのでこんなもんでしょう。

ライブスタックのやり方が現場でわからなかったんですが、そのまま待っていればよかったような気がします。

Tips:取った画像は操作している端末の写真フォルダに格納されるようで、望遠鏡本体に記録されるわけではなさそうです。アプリを立ち上げている端末のwifiは望遠鏡につながっているので、取った画像をその場ですぐにSNSなどへ放流したい場合は別の経路が必要です。私はiPhoneにAir dropで送りました。


シリウスにも向けてみました。目標天体リストにあるんでしょうけど、パッと見つけられなかったので検索しました。英語名で探す必要があります。

トラブル:シリウスに向けるボタンを押してもアプリの反応がありませんでした。またwifiを切ってつなぎ直して回復しました。別のwifiにつながっていた、ということでもなかったので、不具合の原因はわかりません。


このあたりで寒さに耐えられなくなりました。タブレットを操作するため素手で冬の屋外は結構厳しいです。持っているiPadもまた冷たい。無事にシリウスを導入でき、明るいので十字形の回折光がきれいに写ったので良しとして撤収しました。

wifiが届くような距離間で、温かい室内から操作する、みたいなのが良いのかもしれません。。少なくともタッチパネル対応手ぶくろは用意したいところです。


次はライブスタックされた絵を撮ってみたいと思います。

2023年2月16日 ファーストライト

やった人:佐藤凜・中森健之

電子観望専用の自動導入望遠鏡、Unistellar社の eQUINOX2 を導入しました。空のほとんどがベタ雲に覆われていましたが、隙間から星が見えるのを待って動作テストを行いました。

梱包から出して、一通り組んだあとに専用のリュックサックに収納したようす。軽くはないですが背負ってしまえば安定してそこまで重く感じません。

マニュアルはQRコードだけがついていて、オンラインで見る形式でした。クイックガイドとフルのマニュアルの2種類が日本語で用意されています。

望遠鏡の操作もスマホ/タブレット端末で行うため、マニュアルをプリントしてバッグにも入れておきました。

iOS/Android用の専用アプリを端末にインストールし、望遠鏡本体が張っているWifiに接続して使います。複数台の端末を接続することはできるようですが、操作をする端末は1つに決めておいた方が混乱がなさそうだと思いました。

雲の隙間に期待しつつやまがた天文台へ。

電子観望専用モデルなのでアイピースやのぞき穴はありません。設置位置はスマホのGPSで取得して望遠鏡に送っているように思います。

星が何も見えないので、まずはスマホから望遠鏡の向きを動かす操作ができることを確認。手動導入がこれでできそうなことはわかりましたが、ファインダもないのであまり現実的ではなさそうです。とりあえず雲がカメラに写ってそうだったのでファーストライト(?)をパシャリ。

カメラの四角い視野の画像とともに、円で囲まれた絵も生成されます。Unkown Ra/Dec と書かれていて望遠鏡はまだ自分がどこを向いているのかを把握できていません。38°N 140°Eは北緯38°東経140°という現在地で、GPSの位置情報が望遠鏡に伝わっていることがわかります。

しばらく我慢して待っていると、天頂付近の雲の隙間にカペラが見えるときがありました。手動で向けようとしましたが、視野が狭くよくわかりません。とはいえ、肉眼では雲しか見えないのですが、望遠鏡のカメラには複数の星が写っていました。

スマホ画面を見ながら、鏡筒の底にある円盤を回してピントを合わせました。その状態で、望遠鏡の向きの自動検出機能を実行すると、見事に検知することができたようです。そしてカペラに導入する命令をスマホから送ったところ、無事にカペラの姿を捉えることができました。今度こそ正真正銘のファーストライトです。天候の回復が期待できないので、これで良いことにして撤収しました。

アプリの使い方はもっと慣れないといけなさそうですが、おおよその流れがわかりました。もっと晴れたときにいろいろと試してみたいと思います。