到達目標: 卒業時に、数学の専門書の内容が正しいかどうかを、自分ひとりで検証できる。(ひとりで数学力を向上させられる。)
小さな内容でも一歩一歩着実に数学の内容を検証できる能力があれば、社会に出てからも必要に応じて、他者の力を借りずに自分ひとりで数学を勉強できるようになります。また、チームで数学が必要になったときに、皆で勉強するときの力になれます。人生100年時代、社会に貢献し続けるために、ただひとりで勉強できる能力が重要です。
テキストの候補(以下は使用実績あり)
[1] 梶原健, 代数曲線入門 はじめての代数幾何, 日本評論社, 2004.
[2] 宮西正宜, 増田佳代, 代数曲線入門, 共立出版, 2016.
[3] S. Iitaka, Algebraic geometry, An introduction to birational geometry of algebraic varieties, Graduate Texts in Mathematics 76, Springer-Verlag, 1982.
研究室配属のための説明 , 3年生向け
内容: 大学院修了までの3年間を想定し, 大学院で代数学の研究を進めてもらうために, 可換環論を中心とした「代数」的論述力を4年生の卒業研究で鍛えます (*4年生で卒業される方を排除するつもりはありません). そのための題材としてヒルベルトの零点定理を目標にします. [1][2][3] どれもこの題材を扱っています. 標準的には [1] または [2] になると思います. 誤解を避けるために言えば, 4年生で (卒業して) 数学に一区切りつける意味でも適切な内容であると思います.
代数幾何は「いくつかの多項式の共通零点集合」を研究する分野です. 円や2次関数のグラフがその最も基本的な例です. 実際には「代数」(3年生の代数学に関する講義の延長と思ってもらって良いです) の議論が中心となります. それを使って「幾何」を調べます. 卒業研究では「代数で議論する能力を養成する」と考えてもらうと良いと思います.
コメント:(1) セミナーの進め方:各人2週に1コマ (または毎週 0.5 コマ) 程度, 勉強してきた内容について黒板を使って発表してもらう予定です. 聴講者の質問に答えられない場合または答えに時間がかかる場合は, その内容を宿題とします. 進度にもよりますが, セミナーは11月末くらいまでとなります (4月スタートの場合). 卒論については, 遅くとも11月ころにはTexに触りはじめて, 12月中または1月の頭には卒論の内容を一通り書き終えてください. 1月は卒論のブラッシュアップの期間です. とびぬけて優秀な学生さんを除く多くの場合, テキストのセクションごとに担当者を割り当てます. 最近の感じでは, 1年間で2つのセクションを終える, くらいがやや優れた学生さんの分量になっています. (これだと, 目標のヒルベルトの零点定理にはあまり届いていないのですが.)
(2) 深澤の希望:代数が好きな人が望ましい. 例えば, 部分群の条件やイデアルの条件を丁寧に確かめることが苦でない人が望ましい.
(3) 深澤研究室への配属を強く希望される方には, 基本的に教育方針に同意いただきたく存じます. 諸事情により配属された方や同意できるかすぐに判定できない場合は, ゼミを進めながらでも構わないので, どの程度同意できているか日々チェックして頂きたいと思います。