私たちの母語である日本語は、比較的「フラット」な言語と言われています。ここでいう「フラット」とは、単語内の一つ一つの音にあまり強弱をつけず、一本調子で話すということです。日本語は、音が高くなったり低くなったりすることはありますが、音の強弱はあまり重要視されていません。一方で英語は、単語を聞き分けることにおいて、強弱のアクセントが非常に重要である言語です。日本語と英語ではリズムが異なります。
ワ タ シ ハ サ ン ド イッ チ ガ ス キ デ ス
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I like sandwiches.
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英語の「アクセント記号」は一つの単語のどの部分が強く発音されるかを示しています。アクセント記号を理解し正しいアクセントで発音することで、より相手に伝わりやすい英語を話すことができます。
以下、アクセント記号を正しく読み解くために、押さえておくべき三つの表記です。
音節:一つの単語を母音の単位で区切ったもの
(受講の手引き内の表記「.」 )
第一アクセント:最も強く発音される音
(受講の手引き内の表記「ˈ」)
第二アクセント:二番目に強く発音される音
(受講の手引き内の表記「ˌ」)
※ 音節で区切られた塊に、1つまたは2つにアクセントが入ります
※ 文字数が短い場合は、おおよそ1つのアクセントになります
例
necessary ( [形] 必要な)という単語のアクセント表記・音節の区切りを見ていきましょう。
[ˈnes.əˌser.i]
音節:4音節
第一アクセント:ˈnes
第二アクセント:ˌser
このように、necessary という単語は4つの音のまとまりに分けることができ、nesの部分が最も強く、次にserに部分が強く発音されます。
※第一・第二アクセントには音節の位置も含む
以下、母音(Vowels)と子音(Consonants)の各音素の発音の仕方です。
iː
唇を左右に引いて、歯と歯の間は少しだけ開けて「イー」と発音します。日本語の「イ」に近い読み方です。
sheep
ɪ
日本語の「エ」を発音する時の口の形で、日本語の「イ」よりも軟らかめに発音します。
ship
ɑː
口は自然に開き、長めに「アー」と発音します。
father
æ
口を縦に大きく開け、唇は横に引くようにして「エ」の口の形を作り「ア-」と発音します。アがつぶれたような音をイメージします。
hat
ʌ
口をあまり開かず半開きの状態でリラックスした状態にします。喉の奥を開くイメージで短く「アッ」と発音します。
cup
ɔː
口を縦に開け、唇を前に突き出し軽く丸め 「オー」を発音します。
horse
ɒ
口をやや開け、唇は丸めた状態で、日本語の「オ」の発音をするように「ア」と発音します。
sock
uː
唇を丸め、口をすぼめた状態で「ウー」と発音します。
blue
ʊ
唇を前に突き出し、日本語の「ウ」を発音する時よりもやや口先をとがらせて発音します。日本語の「ウ」と「オ」の中間音をイメージして発音します。
foot
e
口を軽く開き、舌の位置を低めにしリラックスさせた状態で、日本語の「エ」とほとんど同じイメージで発音します。
head
ɜː
口を軽く開いて自然な位置に舌を置き、声帯を絞るようにして「ア」になりきらない音を伸ばして発音します。「ア」の音を少し震わせながら伸ばすイメージです。
bird (UK)
ɝː
口を軽く開き、舌を奥に引っ込めて舌先を立てた状態で、一つ上の「ɜː 」の音を発声します。「ɜː 」と「ɝː 」は、発音の仕方は似ていますが、舌の位置や形が違います。
bird (US)
ə
喉の奥と口の中をリラックスさせた状態で、「ア」と「オ」の中間の音を短く弱く発音します。 力を抜いて喉の奥を鳴らすことで音を出すイメージです。
above
ɚ
口を軽く開き舌を喉の方(奥)に寄せ、舌を盛り上げるようにしながら、曇ったアとオの中間的な音を発音します。弱くて短い音です。
mother
eɪ
/e/ から /ɪ/ へと、なめらかに舌を移動させながら「エィ」と発音します。 /e/ が強く、 /ɪ/ が弱くなります。
day
aɪ
口を広く開け /a/ から /ɪ/ にかけて、口を狭くして「アィ」と発音します。柔らかく「ア」を長めに、「ィ」を短めに発音します。
eye
ɔɪ
口を広く開け、唇を丸くして前に突き出し /o/ から /ɪ/ にかけて、口を狭くして「オィ」と発音します。柔らかく「オ」を長めに、「ィ」を短めに発音します。
boy
əʊ
口を軽く開き、ため息を吐くように /ə/ (「ア」と「オ」の中間の音)を発音した後に、 /ʊ/ にかけて、口をすぼめて「ゥ」の音を発音します。
nose (UK)
oʊ
唇を強めに丸めて「オ」の音を作り、 /o/ から /ʊ/ にかけて唇の丸みを緩めて「ゥ」の音を発音します。
nose (US)
aʊ
口を広く開けて「ア」の音を発音し始め、 /a/ から /ʊ/ にかけて唇を丸く前に突き出して「アゥ」と発音します。
mouth
ɪə
口をあまり開かずにリラックスした状態で「イ」と発音し、/ɪ/ から /ə / にかけて少し下顎を下げて口を開き、弱く「ァ」と発音します。
ear
eə
口を軽く開きリラックスさせた状態で「エ」と発音し、/e/ から /ə/ にかけて、舌を下顎のほうに下げてながら、弱く「ァ」と発音します。
hair
ʊə
唇を丸くし日本語の「オ」に近い口の形を作ったら、その状態で「ウ」の音を出します。/ə/ にかけて口をリラックスさせ、弱く「ァ」を発音します。「ウァ」と発音するイメージです。
pure
aɪə
口を広く開け /a/ から /ɪ/ にかけて、口を狭くして「アィ」と発音します。そこから /ə/ にかけて口をリラックスさせ、弱く「ァ」を発音します。
fire
aʊə
口を広く開けて「ア」の音を発音し始め /a/ から /ʊ/ にかけて、唇を丸く前に突き出して「アゥ」と発音します。そこから /ə/ にかけて口をリラックスさせ、弱く「ァ」を発音します。
hour
p
上下の唇をしっかり閉じていったん息を止め、そこから勢いよく唇を破裂させるように息を出して発音します。口に何かついてしまったものを「プップッ」と払うようなイメージです。
pen
b
/p/ と同じ要領で、喉を振動させるようにして発音します。
book
t
舌先を上の前歯の生え際につけていったん息を止め、舌先を離して勢いよく息を出すと同時に発声します。
town
t̬
/t/ の音が弾音化した音(フラップのt)です。息を出すと同時に舌先で上の前歯の歯茎を弾くようにして発声します。日本語の「ラ行」と「ダ行」の中間音、又は、 /t/ と /d/ の中間音とも言われます。
cutting (US)
d
少しだけ口を開き、前歯の間も閉めずに隙間を作ります。そのまま上の前歯の生え際に舌先をつけ弾かせながら後ろに引き、 喉を振動させながら発声します。
day
k
舌先の少し手前部分を口蓋(口の中の天井部分)にあてて息を止め、舌を放して息を出す勢いで発声します。
cat
g
/k/ と同じ要領で、喉を振動させるようにして発音します。
give
f
上の歯を下唇に軽く当て、その隙間から息を漏らすように空気を出して発音します。
fish
v
/f/ と同じ要領で、喉を振動させるようにして発音します。この時、唇と歯も同時に震えるイメージです。
very
θ
舌先を上の歯の先に軽く当て、その隙間から息を漏らすようにして発声します。
think
ð
/θ/ と同じ要領で、喉を振動させて音を濁らせて発音します。
this
s
唇は少し開き前歯を閉じた状態で、舌先を前歯の裏につくかつかないかのところまで近づけます。できた隙間から「スー」と空気を漏らすようにして発声します。
say
z
/s/ と同じ要領で、喉を振動させるようにして発音します。
zoo
ʃ
唇を丸くして突き出し、日本語の「ウ」の口を作ります。舌先を前歯の裏につくかつかないかのところまで近づけます。歯の隙間から空気を漏らすようにして「シャ」と発音します。
she
ʒ
/ʃ/ と同じ要領で、喉を振動させるようにして発音します。
vision
tʃ
口を自然に開き、上下の前歯は軽く合わせます。舌先の少し手前部分を上の前歯の歯茎につけて息をとめた後、息を前に押し出すようにして舌先を突き放します。
cheese
dʒ
/tʃ/ と同じ要領で、喉を振動させるようにして発音します。
jump
m
上下の唇を閉じて内側に巻き込み、上下の前歯は閉じずに開いた状態で鼻の奥から発音します。この時、喉を震わせて声を出すと鼻が振動します。
moon
n
唇は自然に開き、舌先の少し手前を上の前歯の歯茎にしっかりつけます。その状態で鼻の奥から息を出すイメージで喉を震わせて発声します。
name
ŋ
/n/ と /g/ が合わさったような音です。舌の根元の方を口蓋(口の中の天井部分)につけて、鼻の奥から息を出すようにして「ン」の音を作ります。/g/ の音に移行するにかけて口蓋から舌を離すと「グ」のような音になります。これら一連の動きをすることで /ŋ/ の音を発音します。
sing
l
舌先を上の前歯の根元あたりに押し当てます。その状態で喉を震わせながら舌の両側から音を出し、舌先を歯茎から離します。
look
r
口先を「ウ」と言うときのように軽く丸めます。舌先は喉の方に向かって巻き込むようにし、口の中のどこにもつけずに「ウ」と言うつもりで喉を震わせて発音します。
run
w
唇を丸くすぼめた状態で喉を震わせながら息を吐きだし、それと同時に唇の力を一気に緩めます。「ゥーワッ」と発声するイメージです。
we
j
日本語のヤ行に近い音です。舌先の手前部分を口蓋(口の中の天井部分)に近づけ、喉を震わせながら「ヤ」と「イ」の間のような音を発声します。
yes
h
口を開け、喉から空気を出すように発音します。 走った後に「ハァハァ」と息をするときと同じ発声です。
hand
Other sounds その他の音
i
日本語の「イ」よりもやや広めに口を開き、「イ」と「エ」の中間の音を発音します。
happy
u
口を丸めてリラックスさせた状態から、「ウ」と発音しながら口強くをすぼめます。
situation