GIAモデルによる地球物理学的研究
【GIAモデルによる南極氷床変動の推定】
【GIAモデルによる南極氷床変動の推定】
GIAモデルでは、過去の氷床変動を考慮した地殻の粘弾性応答を計算することで、現在観測されている地殻変動からその原因となる氷床質量変化を推定します。この際、以下の観測データが不可欠です。
GPSや絶対重力による現在の上下変位速度
過去の相対的な海水準変動の痕跡(地形・地質・年代データ)
広域の重力場や地球自転の変化(衛星観測)
【南極域におけるGIAモデル化の課題】
【南極域におけるGIAモデル化の課題】
南極域では、複雑な氷床史、不均質な地殻・マントル構造、海水準変動のグローバルな影響などから、GIAのモデル化が困難です。そのため以下の点が重要となります。
南極域への精密な観測網の展開
南極周辺の地形・海水準変動の地質・年代データの取得
南極氷床の質量収支変動に関わる観測
地殻構造の不均質性を考慮したモデル構築
グローバル観測データとの統合解析
【GIAモデルの貢献と展望】
【GIAモデルの貢献と展望】
GIAモデルと観測データの統合解析により、過去数十万年の南極氷床変動の姿が次第に明らかになってきました。今後も観測データの蓄積や観測技術の発展と並行して、GIAモデルの高度化が進めば、より精緻な南極氷床変動史の復元が可能になるでしょう。南極氷床の変動は海水準変動に直結するため、その実態解明は将来予測にとって喫緊の課題です。GIAモデルはその鍵を握る重要なツールとなっています。