研究プロジェクト

研究テーマ①

南極沿岸域の陸上地形地質と,湖沼・海洋堆積物による古環境と南極氷床融解メカニズムの研究.

研究テーマ②

南極内陸域での調査をベースにした南極氷床・氷河地形・永久結氷湖の研究.

研究テーマ③

南極氷床変動や地球の内部構造を対象とした,数値モデルによる地球物理学的研究.

基盤研究(S)課題(代表 菅沼悠介)【研究分担:石輪 健樹

2024年度–

基盤研究B【研究代表:石輪 健樹,研究分担:奥野 淳一

陸上堆積物試料分析とGIAモデル解析の融合による間氷期の南極氷床融解史の解明

2021年度–

南極氷床融解による海面上昇は人口が集中する低地帯に影響を及ぼすため,社会的に解決すべき喫緊の課題である.南極氷床融解の予測に用いる気候モデルシミュレーションでは,地質学的データから復元される過去の南極氷床変動の記録は制約条件として用いられる.本研究は陸上ボーリング堆積物試料から最終間氷期と完新世の海水準記録を復元する.そしてGlacial Isostatic Adjustmentモデルによる詳細な解析により,温暖期における南極氷床の融解のタイミングとその規模について定量的な復元に挑む.

基盤研究A【研究代表:菅沼 悠介,研究分担:奥野 淳一,石輪 健樹

東南極沿岸での海域-陸域シームレス掘削による最終間氷期以降の氷床変動史の復元

2019年度–

近年,南極氷床の融解や流出の加速が相次いで報告され,近い将来の急激な海水準上昇が社会的に強く懸念されている.そこで本研究は,世界で初めて南極沿岸の湖沼から浅海・深海において時空間的に連続な地層を採取する「シームレス掘削」を行い,海水準上昇の将来予測の高精度化に不可欠な,最終間氷期(約12.5万年前)以降の東南極氷床量変動の定量的復元と,融解開始年代の決定を行う.本研究で確立する国際協力体制と,新開発の地層掘削システムおよび「シームレス掘削」の多方面展開は,南極氷床融解研究における新たな突破口となる.

基盤研究A【研究分担:菅沼 悠介

+5℃まで温暖化が進行する過程における南極氷床融解のふるまいと特性の解明(研究代表 関 宰)

2020–2023年度

南極氷床が温暖化に対して敏感であることが明らかになり,温暖化の進行による海面上昇に対する危機感が高まっている.最新のIPCC特別報告書では将来の海面上昇予測が大幅に上方修正され,最も温暖化が進行するシナリオによれば300年後に海面が数メートル上昇するという.現在「温暖化が進行した場合にどの段階でどのような速度で南極氷床融解が進行しうるか?」が海面上昇予測における核心的な問いになっている.本研究では,現在より全球平均気温が+1℃から+5℃温暖であった時代における南極氷床の融解過程を100年スケールの解像度で復元し,+5℃まで温暖化が進行する過程における南極氷床融解の特性を明らかにする.

基盤研究A【研究分担:菅沼 悠介

過去400万年間に起こった地磁気逆転の年代確定と生物相・気候に対する影響の検証(研究代表 岡田 誠)

2019–2023年度

本研究では,堆積速度が速く安定した古地磁気シグナルを持ち,微化石産出が良好な海成層を用いることで,過去400万年間に起こったほぼ全ての地磁気逆転記録を超高解像度で復元することを目的とする.そのために,1)古地磁気および10Be測定を併用することで地磁気逆転に伴う磁場方向および強度の変化を求め,2)逆転層準を含む周辺層準の連続した酸素同位体記録およびテフラ層の放射年代から地質年代を確定することで,地磁気逆転のタイミング・継続期間を明らかし,3)花粉・海洋微化石群集解析を行うことで,地磁気逆転が当時の生物相および環境に与えた影響を検証する.

新学術領域研究(研究領域提案型)【研究分担:菅沼 悠介,奥野 淳 一】

熱ー水ー物質の巨大リザーバ:全球環境変動を駆動する南大洋・南極氷床(研究代表 川村 賢二) / 固体地球と氷床の相互作用(領域代表:福田 洋一) HP

2017–2021年度

本領域は,東南極を主なターゲットとし,これまでのこの地域における日本の先見性を活かし,現場観測とモデル研究を融合させ,南極とその周辺における底層水・周極流・生態系・氷床・固体地球の実態と変動の素過程,およびそれらの相互作用を明らかにする.特に,氷床-海洋の相互作用や,過去の南大洋と南極気候・氷床変動の復元,生物動態等の変動の解明を目指す.これらを通して,ミッシングピースであった東南極の環境システムモデルを構築し,南大洋と南極氷床が種々の相互作用を通じて全球環境変動に果たす役割とそのメカニズムの解明に迫る.本領域研究は,気候の将来予測や社会影響など,多くの分野への波及効果も期待される.多階層の数値モデルによるシミュレーションと現場観測データとの融合,分野横断による現場観測や,無人探査技術の工学的発展など,学際的側面の意義も大きい.さらに,本領域で得られる成果を基に,東南極を研究対象とする各国と連携し,日本発の国際共同研究の発展に向けた土台を創生する.

研究活動スタート支援【研究代表:入江 芳矢】

衛星重力データと固体地球応答モデルを用いた南極域バルジの形成・崩壊の検出

2020年度–

南極氷床は,近年の地球温暖化により,融解が加速している.その氷床変動は,重力観測衛星(GRACE)によってモニターされているが,重力変動から南極氷床変動を評価する上で,氷床変動に伴う固体地球の粘弾性応答(GIA)が問題となっている.南極周縁の海洋域に形成されるバルジ(隆起域)の重力変動は,現在の南極氷床の質量変動には依存しないため,GIAを高い精度で決定できる可能性がある.現在はこのバルジの沈降により重力変動が生じるはずであるが,これまでそのような観測結果は報告されていない.そこで,本研究ではGIAの数値モデリングとGRACEのデータ解析を用いてバルジを検出する.

基盤研究C【研究代表:奥野 淳一】

GIAモデリングで探る最終間氷期の氷床量変動 −将来の高精度海水準予測に向けて−

2021年度–

温暖化による極域氷床融解の将来予測には,地球が過去に経験した温暖期における氷床変動の理解が必要である.産業革命前よりも温暖であった最終間氷期(約12.5万年前)は,現在より6-9 m も海水準が高く,グリーンランド・南極両氷床が大幅に縮小していたとされる.ローカルな地形・地質学的証拠に基づく過去の相対的海水準は,アイソスタシーによる固体地球の変形成分が含まれるため,氷床量変動の情報のみを正確に読み取ることは難しい.本研究では,最終間氷期(約12.5万年前)を対象として,高精度なGIAモデルの構築より,固体地球の変形成分を精緻に分離し,過去の温暖期における氷床量変動を決定する.

若手研究【研究代表:入江 芳矢】

固体地球応答モデルを用いた中新世温暖期の南極氷床変動に伴う海水準変動の評価

2021年度–

約1700-1400万年前の中新世温暖期は気温が現在より3-4°C高かったと推定されている.当時の南極氷床変動史を復元することは,近年の地球温暖化により加速している氷床融解の将来予測のために重要である.氷床量変動の情報を含む指標として,シークエンス層序学に基づく相対的海水準変動がある.本研究では,固体地球応答モデルを用いて相対的海水準変動を評価することで,中新世温暖期の南極氷床変動史を復元する.

基盤研究B【研究代表:藤井 昌和】

東南極沖合の現場観測に基づく氷-海洋-海底システムの理解

2022年度–

若手研究【研究代表:梶田展人】

南極沿岸域におけるハプト藻の分布の解明ー新たな古環境指標の確立を目指してー」

2022年度