OPT北海道2025 札幌に参加して
この度、OPT北海道2025札幌に参加させて頂き、貴重な経験を得ることができました。札幌でのサテライト開催ということで、開催地域以外からも受講できるのか不安に思い、少し尻込みしていましたが、結果的に参加を申し込んでとても良かったです。3月とはいえ、北海道大学のキャンパスにはまだまだ多くの雪が残り、道外から参加した自分にとっては白い世界への憧憬と少しばかりの転倒への不安を感じさせてくれました。
私は現在、ポスドクとして研究活動を行うなかでショウジョウバエ初期胚を使ったライブイメージング解析に顕微鏡を用いています。顕微鏡を使った研究はポスドクから取り組み始めたのですが、実機操作や画像解析など徐々に習熟してきたかなと感じていた状況でした。ですが、最近は自作顕微鏡の構成をモヤモヤと考えているうちに、普段ユーザーとして使用するときには細かなパーツ構成やその原理をいかに考えずに作業してきたのか痛感してしまいました。OPTのコースの特徴として自ら光学系を組んで理解することがあげられており、受講によって基礎的な知識・原理をしっかりと学びたいと思い、本コースの参加を希望しました。
今回、参加したコースは事前のオンデマンド講義と現地(北海道大学 電子科学研究所)での実習の大きく2つのパートから構成されていました。講義部分では、そもそも顕微鏡の仕組みや知識に至る前に「光の性質」から丁寧に、かつ押さえておくべき点を絞って学習できるように設定されていました。講義時間は10時間程度はありますが、その内容が基礎知識から超解像顕微鏡まで、かなり多岐にわたることを考えると非常にコンパクトにまとめられた教材だったなと思います。オンデマンド講義だったので、講義途中でも「もう少しこの部分を調べてから聞きたいな」など柔軟に聴講を進めることができたのも助かりました。現地実習では、実際に参加者自身がさわって顕微鏡光学系を組み立てるという経験ができました。自分で光学レール上のパーツを動かしてみることで「こうしたらどうなるか?ここがどうなっていれば狙った光学系になるのか?」考えながら取り組むことができました。ごくごくシンプルな系であってもハマってしまうと全く求める像が得られないまま調整を繰り返すことになり、頭を悩ませつつも(学習というよりも楽しんで)熱中してしまいました。普段からルーチンで顕微鏡を使っている人でも「無限遠補正」「クリティカル照明とケーラー照明」など、すっぽりと抜けてしまっている知識やその特性を実感なく使用していることがあるのではないでしょうか?心当たりがある方は受講を考えてみてはいかがでしょうか?自分は強くお勧めします。
一方で、実際にコースに参加してみて、現地・協力スタッフの方々の大変なご尽力で開催されていることも痛感しました。実習指導をはじめ、ものすごく丁寧に教材・備品の事前準備がされていて様々な形でたくさんのサポートしていただきました。今後の研究活動を通じて今回得られた経験を自分もたくさんの人に伝えていければと思います。最後になってしまいましたが、先生方、スタッフの皆様にこの場をお借りして心より感謝申し上げます。
写真1 組み立て実習(LED励起光源のコリメーション)の様子[中央が川崎さん]
写真2 OPT北海道2025札幌の受講生とスタッフ(名札は修正しています)
世話人(亀井)追記:東京からの参加ならびに感想文をありがとうございました。私は北の大地の洗礼を受けました(転倒)。一方で北の大地の恵み(ジンギスカン)もお楽しみました。裏方の苦労も感じていただきありがとうございます。ホストチームの冨菜さん、進行・運営全般をありがとうございました、小林さん、中野さん、安井さん、良い環境作りをありがとうございました。小林さんが撮影した写真を使わせて頂きました。最後に、教える側になることは自身のより深い学びになると思いますので、是非とも後輩に教えることを実践してみて下さい。