OPT受講者の声 (vol. 2) 2024.4.14記
国立遺伝学研究所・小型魚類遺伝研究室/JSTさきがけ
今井 裕紀子
私は、ゼブラフィッシュをモデルとして減数分裂期の組換えを研究しています。これまで、固定細胞の免疫染色を中心に解析を進めていたのですが、最近になってライブイメージングを始めました。そうなると、シグナルが暗い、解像度が低い、褪色が激しい、撮像速度など、これまで配慮の必要が無かったことが問題になってきました。固定細胞ならば、サンプル調製の工夫で乗り切れることも多いですが、生細胞ではそうもいかず、”最適な顕微鏡”を探すうちに、多様な先端顕微鏡法の違いの理解が追い付かず、自分が顕微鏡の仕組みについてほとんど知らないことに気がつきました。
そこで、光学の原理や顕微鏡の構造を理解することで最適な光学系を選べるようになりたいと思い、以前から気になっていたOPT講習に参加させていただきました。オンデマンド受講した講義では、光の性質から顕微鏡光学系や蛍光イメージングの基礎、最新の顕微鏡の原理まで幅広く勉強できました。しかしながら、この講習の一番の醍醐味は、自分の手で顕微鏡を組み立てられる光学系実習です。ところが、実習直前に体調をくずして基礎生物学研究所での実習に参加できませんでした。とても残念な思いをしていたのですが、2か月後に九州大学で実施する実習にお誘い頂き、参加することができました。
実際に手を動かしながらレンズや絞り、光源などを配置し、顕微鏡の光学系がどのようにデザインされているのか、蛍光観察の光学系も含めて体感することができました。また、サポートスタッフの方が質問一つ一つに丁寧に答えて下さり、全ての作業を納得しながら進めることができました。”最適な顕微鏡” についても、こういうレンズが良いのでは?など先生方と議論できました。
この実習を通じて、”普段使っている顕微鏡のアレは、こういうことだったのか!”と、自分がなんとなく顕微鏡を使っていたことに気付かされました。もっと前に知っておきたかったことばかりなので、研究を始めたばかりの学生さんにぜひ受講してほしいです。
世話人追記:2023年11月に基礎生物学研究所における定期開催時に2名ほど体調不良により参加できなかった方の実習機会として、2024年1月にプレ開催(運営スタッフの習熟確認のための開催)に受講生として招待しました。開催場所も遠方で、しかも練習会的側面もありましたが、顕微鏡についてより理解して頂けたようで良かったです。
写真は主催側の資料。(亀井)
写真1 実習の様子(イメージ)
写真2 伊都キャンパス会場でのショット(一番右が今井さん)