2025年5月21日(水)16:35〜18:05(6111)
清水慧人 (京都大学)
宇宙の端の対称性
日常生活を送る中で、「全く同じもの」を目にすることはないでしょう。一見同じに見えるものでもよくよく調べれば少しずつ異なっています。しかし現代では、どんなものも細かく砕いていくと最終的にはいくつかの構成要素──素粒子──から成り立っているということが知られています。それだけではなく、それら素粒子たちの運動を定める自然法則──素粒子標準模型──が「対称性」によって特徴づけられるということも分かっています。
さて、素粒子標準模型に含まれる対称性は時空の場所ごとに異なる変換を許しているのですが、中でも特に宇宙の端を変化させる対称性変換が物理的に重要であると近年になって分かってきました。本発表では電磁気学の対称性を例にそのことを説明し、閉じ込め現象との関連についての最近の研究についても紹介します。
2025年5月14日(水)16:35〜18:05(場所未定)
飯田暢生 (東京女子大学)
Seiberg-Witten理論の数学と物理
アブストラクト:Seiberg-Witten理論は物理においては4次元N=2 超対称ゲージ理論の低エネルギー有効理論を記述する理論として、数学においては、4次元多様体を調べるための道具として知られている。これについて、学部の数学と物理程度の予備知識を仮定して入門的な説明を行う。時間があれば講演者の研究についても紹介する。
2025年5月14日(水)16:35〜18:05(場所未定)
野尻美保子 (KEK)
素粒子物理における深層学習の応用
この講演では、素粒子物理学が数理科学とデータサイエンスを どのように融合させて発展してきたか、をお話しします。 宇宙の観測や、粒子と粒子の衝突の測定から、私たちは 我々が存在している空間や、我々を構成している物質の 成り立ちを、数理的に記述できるできるという確信を 持つようになりました。物質の構成要素でである素粒子 の性質や、宇宙初期に起こったことを解明するのが素粒子物理学です。 今世紀に入って、素粒子物理は、莫大な実験 データと、それを計算機で解析する数理科学的手法、精密 な理論計算の相乗効果によって劇的に発展しました。 現在、スイスジュネーブにあるCERNという研究施設では、 陽子と陽子を衝突させて、宇宙の真空を安定化 させるメカニズムの解明や、暗黒物質の発見を目指した LHC実験が今行われています。この実験解析をさらに発展 させるため、AI(深層学習)の活用が注目されています。 この講演では、素粒子の性質の探究にAI がどのよう に活躍しているかを概観するとともに、言語モデルに使われている トランスフォーマーの素粒子物理への応用についてお話しします。