第2章 独占,他民族,手を出したのは法律で.
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第2章 独占,他民族,手を出したのは法律で.
分かりにくくて申し訳ありませんが,実は松本は1章4節の時点で死んでいるんですよね.
よってここからは新主人公の視点となります.
舞台は「清瀬」です.
全てはたった一揺れから始まったねえ〜.
姥冗3年6月16日 午後2時7分
マグニチュードは7.2.余震にしては大きい方だったなあ.
お隣さんでは被害が大きかったらしいけど,清瀬の方ではそんなに影響が少なかった姥冗3年春日地震.普通に授業が行われていたんだけど,この地震で被害は出てしまった.臨時休校にするしかないのかなあ.
こちらの会社の方でもプリンターが壊れるし,椅子のキャスターが取れるし,まあ終わりそうだね.
そうこうしているうちに会社にいるのは1人になっっちゃった.帰りかけますかあ.
実は地震が起きた時真っ先に帰るのは間違っている.その中で体力を消耗したり,道が混雑してしまったり,助かる命もたすかんなかったり,と悪いことが多い.有名な話だけどね.
さてそんな中で,みんなパニックになったのか家に帰っちゃった.どうして?会社の中をとりあえず探してみようかと思ったけど,廃墟化しているし,探すのは明日にすることにした.
そんなことよりも…
あったあった.こういうときのためにカバンに色々詰め込んでいてよかった.非常食とか,バッテリーとか,その他諸々…そしてこの部屋にも非常用電源ってあったっけ?確か課長席の近くに…
うん,たしかこれだ.法律でソーラーパネルを設置すると言われたときはお金がかかるなあ,って思ったけど,この会社は追加で非常用電源を投資してソーラーパネルに繋いだんだよね.法律って本来は国民を救うためにあるような一面もあるし,今回は本当に助かったなあ.
今日のお昼,いただきます.
姥冗3年6月16日 午後6時21分
あれから好奇心のほうが勝って,会社の中を覗いてみた.各部屋の所にはちゃんとした非常時マニュアルが置いてあるから,それをちゃんと持った.外に出てみると,電源に困っている人がいたから非常用電源を貸す代わりに食料をもらった.最終的には電源を奪っていった人もいるけど,まあ仕方ない,こういうことをやっているとそういう人もいる.
そうして今日を終わろうとしたその時,階段から人がやってきた.
「末柄先輩もこの会社に残っていたんですか」
「落石くんこそ残っていたんだね」
名前を言うのを忘れていたね.僕は末柄 堅一郎っていうんだ.そして彼女は落石加羅.同じ経理部ではあるんだけど,僕は税金関係のことを担当していて,落石くんは経費関係のことをやっているから,関係は薄いんだよねえ.
まあそれでも残る確率は殆ど変わらないから.そう割り切っておこうかな.
「確か会社の就寝室って3階でしたよね」
「就寝室…そんなのあったっけ?」
「やだなあ先輩.先輩の持っているマニュアルの26ページに書いてありますよ」
「あー,非常用電源のところしか見てなかったわ」
とりあえず就寝室の所に向かうことにした.
「落石くんはなんで会社に戻ってきたの?確か出向いていたんじゃなかったけ」
「なんで課が違うのに知っているんですか?まあいいや,確かに出向いてはいたんですが,そこで地震が起きて,一度は帰ろうかと思いました.ただ私の帰り道って会社の前を通るので会社の前を通ったら非常用電源の貸出をしている末柄先輩の姿があって,そこで会社に忘れ物をしたことに気付いたんです.せっかく会社の前を通ったのでついでに荷物を取りました.そこでマニュアルの存在に気づいたので,内容を見たら帰るのが面倒になりました.で,なんで課が違うのに知っているんですか?」
「うちの部って場所確認のホワイトボードあるでしょ?そこを見たら分かるんだよね」
「なるほどそういうことですかあ…」
デジタルでもいいけれど,場所確認はアナログのほうが視覚的にわかりやすいから良いんだよね.
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「末柄先輩,これから私達はどうなるんでしょうか?」
「どうなるんでしょうか,といわれてもなあ,これからのことはまだ想像ができないなあ」
にしても誰かのうめき声で眠れないよ.いくら災害時だからといってこんな風に声を上げるのは違うよねえ.
「…末柄先輩,私ちょっと抜けます」
「落石くん!?どうしたの!?夜の災害時は危険じゃない!?」
それでも行くと言っているので,行かせることにした.
姥冗3年6月17日 午前6時30分
災害時の朝は早い.朝のうちのほうが涼しいから,作業にはうってつけなのだ.
「…遅いなあ」
あれから落石くんが会社に戻ってきていない.もしかしたら死んでしまった……?
いや,そのまま帰ってしまっただけかもしれない.とりあえず,食料を調達しに行こう.
会社から250mほど離れた所に会社の畑がある.結構大きい畑で,ここで取れた野菜は社食で買い取ってくれるんだ.
野菜が美味しくてたくさん取れるほどポイントが溜まって,社食で使える.この畑は社長が「畑仕事という土と対話することは仕事の集中力につながる」として会社から離れた所に土地を買って全員分均等に畑を分けて使わせている.
最初は意味がわからなかったけど,こういう災害時にはうってつけだね.まじサンクス社長!
そうして収穫して…6月だからそんなに取れるものがないけど.
よし,会社に戻って調理だ!
と思ったのに.
「建物内立入法によってこの建物への立ち入りが禁止されました.以後この建物には絶対に入らないでください」
嘘だろお!?寝床なし!?
え,てことは倒産,終わった.
仕方ないのでそこら辺を歩いて寝床を見つけることにした.それとマニュアルはなんか役に経つような気がしたので取っておいた.
何なんだよお〜,住居を奪うのがそんなに楽しい〜?
って,え?
…そこにはなんかよくわかんない生物がいた.色は#999999.タコみたいな生物なんだけど,目が1つ.体が僕の5倍ぐらいはある.
疲れてんのかな,寝よう.おやすみ.
「っておい,よくこんな状況で寝れるよね.それは鋼のメンタルかな?」
「けっこう練習すれば良いんだよ,大変だけどね.」
「メ,メンタルの練習って何?というより君はこうゆう状態になにか変なことを感じないの?」
「さっきの会社に入れないほうが謎の生物より変だから,変なことにあっても間隔が麻痺してるんだろうね.」
「………じゃあ言うけどね,君,このままだと死ぬよ.あの生物はクラーケン.触覚から人間のエネルギーを吸い尽くしてその人間は死んでしまうんだ」
「へー,面白い生物だね.どんな生物なのか少し興味があるなあ.」
「状況わかっていっているの?死ぬんだよ?大丈夫?助かる方法があるっていうのに」
「あやつを倒せ,ってこと?」
図星,だったかな.
「あやつ自身が人間を殺そう,と考えている確率は少なくない?あやつだって生きるためにああいうふうにしているとは考えない?生物にとって,生きるためにはエネルギーが必要でしょ.人間側の不都合で殺すのはおかしいと思うな」
「…そっか,じゃあ君を会社に戻してあげるよ!お大事に!!」
え,なんで会社の場所を知ってるの,って聞こうとしたときは遅かった.僕はさっきの張り紙が貼られた会社の前にいた.
「引っかかんなかったか…」
さっきの末柄というものを戦闘士の依頼に失敗したそいつがこういった.
この生物が持っている手帳にはこう書かれている.
「政府の許可なく未知の生物を殺した場合,その加害者を殺人罪と同じ扱いとする.」