2025.9.30
also は現在「…もまた、同様に」を意味する副詞である。後期古英語から使用が見られるが、古英語では ealswā, alswā, (e)allswā などの語形が用いられ、all (< eall ) と so (< swa ) から成る。eall は後続の語を強調するのに用いられ、元は「全くそのように」を意味した。やがて al- の強調の意味が薄れて、現代と同じ「…もまた、同様に」を意味するようになった(『英語語源ハンドブック』p. 13)。
中英語期には、古英語の ealswā などから also, alswa, als, as などに語形が発達した。ここから見て取れるように、副詞、接続詞、関係代名詞など様々な用法・語義を持つ as もまた古英語の ealswā を語源に持ち、also などから更に短縮を経た語形である。したがって、also と as は二重語(doublet)の関係にある。also と as は語形の点では短縮の度合いに違いがあることになるが、『英語語源辞典』によるとこの2語の明確な区別は15世紀まで確立しなかった。『英語語源辞典』の as (1), adv., conj., rel. pron. の項における解説を引用する:
OE (e)alswā wholly so, just so は本来 swā so の強意形で指示詞的、先行詞的、関係詞的に用いられたが、指示詞的用法は also の形で表わし、先行詞的、関係詞的用法は縮約形 as が表わすことになった。本来の als(w)o などの形は1400年ごろまで用いられているが、短縮形 as(e) は13C以降次第に優勢になり、15C初には一般化した。(p. 70)
さらに、現在用いられている as ... as の構文の成り立ちについても、『英語語源辞典』で解説されている:
現在の as ... as という構文でははじめの as が先行詞的、後の as が関係詞的と考えられるが、これは OE の swā ... swā にさかのぼる。また OE では先行詞的 swā を強めた alswā ... swā の形が用いられたが、alswā の al- が本来の強意性を失った結果、ME では alswā ... swā と並んで alswā ... alswā という形も生じた。そして、まず関係詞が、次いで先行詞の alswā が弱化して also → alse → als → as となった。(p. 70)
古英語の swā ... swā(現代英語で書き表せば so ... so)の構文から、意味を強める目的で also ... so の形が出たものの、al- の強意の意味が薄れて also ... also の形が生まれ、最終的には語形自体が弱まって as ... as の構文になったということになる。so, also, as の複雑な関係性がこの構文の変遷に見て取れる。
参考文献
「Also, Adv.」寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』研究社、1997年。
「As (1), Adv., Conj., & Rel. Pron.」寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』研究社、1997年。
唐澤 一友・小塚 良孝・堀田 隆一『英語語源ハンドブック』研究社、2025年。
キーワード:[doublet] [shortening] [Germanic]