2025.8.4
ague は1300年頃に古フランス語から借用され、当初の語義は「†はげしい熱」であったが、1611年で廃義となり、現在まで残っている「おこり;悪寒」の語義は1390年頃に初出とされている。中英語でも ague の語形で用いられ、古フランス語も同形であるが、これらはラテン語の acūta に遡り、(febris) acūta(‘acute (fever)’ の意)として用いられていたようだ(ちなみにラテン語の acūtus から直接英語に借用されたのが acute である)
『英語語源辞典』は基本的には各語の発音を記載していないのだが、発音が分かりにくい語などについては発音表記が示されている。ague はその中の1語で、/éigjuː/ と発音される。<-gue> の語尾を見ると league や fatigue など /g/ と発音される語が想起されるが、今回取り上げている ague や、思いめぐらせてみると argue は /gjuː/ と発音される。
Upward and Davidson(p. 113)によると、<-ue> で終わる語の大多数がフランス語に由来し、約3分の2の語では <-ue> は発音されず、特に fatigue や unique のように <g> や <qu> の後に発音されない <-ue> が見られるという。<-ue> が発音される場合は典型的には blue のように /uː/ と発音されるか、value のように /juː/ と発音されるが、<g> の後にもかかわらず <-ue> が発音される語として ague と argue が挙げられている。<-gue> の語尾は /g/ と発音される語が多く、/gjuː/ と発音される例外が ague と argue と考えて良さそうだ。
参考文献
「Ague, N.」寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』研究社、1997年。
Upward, Christopher, and George Davidson. The History of English Spelling. Wiley-Blackwell, 2011.