2025.6.28
admit は14世紀初出の動詞で、「(入ること・地位などを)認める」、「同意する」、「(真実であることを)認める」を意味する。『英語語源辞典』によるとラテン語の admittere 「…に送る、ある場所に来る/行くことを許す」から直接借用され、中英語期の語形も admitte(n) であった。admittere は接頭辞 ad- と「送る」を意味する mittere を組み合わせたもので、mittere の過去分詞 missus から派生した missiō(n)- を語源に持つのが英語の mission である。
admit に話を戻すが、『英語語源辞典』を見る限り、admit はラテン語から ad- を含む形で初めから借用した語と考えられる。しかし、OED によると後期中英語期に <d> を持つ綴字の他に <amytt> や <amitte> など <d> を持たない語形も使われていたと書かれている。『英語語源辞典』には比較参照として、ラテン語の admittere から発達した古フランス語の語形 amettre が記されており、後期中英語期における <d> のない綴字はフランス語の影響によるものである可能性が考えられる。『英語語源辞典』と OED ともに admit はラテン語から直接借用されたと記述していること、OED における初出例は <d> を持つ綴字であることを考えると、admit については英語における語源的綴字によって <d> が後から挿入されたというよりも、初めから借用元であるラテン語の語形を反映した <d> を持つ綴字が用いられ、フランス語の <d> のない綴字と多かれ少なかれ競合しつつも、最終的に定着したのはラテン語由来の <d> を持つ綴字であったと考えるべきかもしれない。
参考文献
「Admit, V.」寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』研究社、1997年。
“Admit, V.” Oxford English Dictionary Online, www.oed.com/dictionary/admit_v?tab=forms#11012433. Accessed 28 June 2025.
キーワード:[etymological spelling] [ad-] [Latin] [French]