2025.6.10
「ドングリ」を表す acorn は後期古英語から æcern として用いられており、異説もあるようだがゲルマン祖語の *akranam に遡り、さらに印欧祖語で「果実、実」を意味する *ōg- に遡る。
古英語の æcern は中英語の akern に発達したが、さらに現代英語に連なる akorn に変形したという。この e から o への変化は、『英語語源辞典』によると、æcern は音法則的には akern、atchern などに発達するはずだったが、14世紀後半以来、通俗語源によって oak と corn が組み合わさったものと解されて、17世紀以降に今の形が一般化したものである。ドングリがなる木である oak はゲルマン祖語の *aiks から古英語の āc に発達した英語本来語で、「穀物」などを表す corn は印欧祖語の *gr̥ə-no- を起源に持ち(同族語のラテン語は grānum であり、それが英語に入ったものが grain である)、ゲルマン祖語の *kurnam から古英語の corn に発達したもので、語源としては acorn との関係はない。acorn がオークの木にできる実であるがために oak + corn と連想され、語形の変化が引き起こされた。
参考文献
「Acorn, N.」寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』研究社、1997年。
「Corn (1), N.」寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』研究社、1997年。
「Oak, N.」寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』研究社、1997年。
キーワード:[folk etymology] [doublet]