2025.6.4
accurse は「のろう」の意味の動詞で、後期古英語から用いられている(『英語語源辞典』では廃語となっているが、OED によると現在も使われている)。英語本来語の接頭辞 a- と古英語の cursian から成り、古英語では ācursian 、中英語では acursen であった。
上記の通り、語源に沿っていれば<c>は1つのはずであるが、現代英語では<c>が2つになっている。OED によると accurse における <acc-> の語形は中英語期から見られるようで、接頭辞 ac- の項によると、ラテン語の ac- とは語源的に関係のない語であっても、類推的に<c>が追加されたものもあるという。「31. accompt とaccount」で紹介したのは、ラテン語接頭辞 ac- と同じ語源の ad- に遡る a- から ac- への変化であったが、今回の accurse は語源的には ac- (ad-)と関係ないにもかかわらず、語形が類似していることから<c>が追加挿入された例ということになる。
参考文献
「Accurse, V.」寺澤芳雄(編集主幹)『英語語源辞典』研究社、1997年。
“Ac-, Pref.” Oxford English Dictionary Online, www.oed.com/dictionary/ac_prefix?tab=etymology#1570214. Accessed 4 June 2025.
“Accurse, V.” Oxford English Dictionary Online, www.oed.com/dictionary/accurse_v?tab=etymology#34315197. Accessed 4 June 2025.
キーワード:[analogy] [etymological spelling]