2040年問題とkazaplaが推し進める処方箋案



2040年、生産年齢人口一人当たりの医療介護給付費は単純計算で現在の2.3倍となる(図1右)、しかし、生産年齢世代の負担を現在の2.3倍に単純に転嫁する政策は回避されると考えられるので、医療・介護保険のサービスレベルの引き下げ、あるいは、利用者の自己負担率の引き上げが予見される。加えて、75歳以上の後期高齢者ひとりあたりの生産年齢人口は、2020年の4.0人対して2040年は2.7人まで減少する(図1左)。




したがって、医療介護業務にフルタイムで従事する人材市場の需給バランスは切迫ことになりサービス単価は高騰する(図2Ⓑ’)。よって、利用者は、現在と同等のサービス量を、現在と同等の利用負担水準では調達できないことが予見される。この予見をもとに、2020年と2040年との生活・介護支援サービス需要供給のバランスの差異をPQダイアグラムで概念的に比較し、介護保険制度の持続可能性の論点を図2に示した。縦軸はサービスの平均利用価格(P)、横軸は必要生活・介護支援サービス量(Q)である。Ⓐは利用者のサービス需要曲線とサービス供給曲線との均衡点である。Ⓑは、2040年の利用者負担水準を2020年と同等とし、サービス量(Ⓠ)は高齢者人口の伸びに比例させた場合の需給均衡点である。しかし、2040年には、自己負担率上昇と人手不足を反映したサービス単価高騰によりサービス供給曲線(2040-S)の価格弾性が強まるので均衡点はⒷ’となる。しかし、少なからずの世帯が高い利用者負担水準でのサービス調達を回避することによる需要減が予見されるので、2040年の均衡点はⒷ’ではなくⒸに帰着する。正味需要は増加するが家計事由でサービス需要が抑制され地域福祉便益の棄損(図2中央の△(ⒸcⒷ)領域が示す必要であるが調達できないサービス便益相当)が発現する。


2040年に発現が予見される地域福祉便益の棄損を回避する有効な手段のひとつは、地域住民主体の超高齢化社会対応力の改善である。kazaplaは、地域の超高齢化社会対応力を改善し、地域福祉便益の棄損が伴うⒸ点での均衡から棄損が伴わないⒹ点での均衡に帰着させる改善への処方箋として以下を推し進める。

処方箋I.未病改善による生活支援・介護サービスの正味需要の削減(図3:QⒷ→QⒹ)

処方箋II.サービスの互近助化による利用者の負担水準、担い手の対価水準の適正化(図3:サービス供給曲線2040-Sを下方の2040-互近助化まで適正化させる)

地域住民が主体となり同施策を実現させる協働プロジェクトの実行により、予防的に均衡点ⒸからⒹへの帰着を試みることが、超高齢化社会対応力の改善に繋がる。