進め方は事情やトラブルの内容によって様々ですが、弁護士に依頼せず、本人訴訟で裁判を行う場合の進め方の一例を紹介いたします。
1.トラブルの発生
2.可能な限り裁判をせずに相手と意思疎通を行い、解決を目指します。
※なお、マンションやアパートの賃貸トラブル、近隣トラブルは状況により、住みづらくなることや、直接的に攻撃を受けてしまう恐れがあるなどの大きなトラブルに発展してしまうと取り返しがつきませんので、管理会社等第三者に相談することをおすすめします。
◎相手との話し合いで解決しない場合や相手が話し合いに応じない場合
3.まず、手持ちの証拠(相手とのやりとり、例えば契約書などの関係する書類)の把握をします。
4.並行して裁判でも後々必要になる場合に備えて、相手への正式な請求(配達証明付き内容証明郵便)を出します(事案によって必ず内容証明郵便による通知が必要な場合とそうでない場合があります。いずれにしても、可能な限りこの郵便を送付してご自身の主張を事前に通知しておくと訴状に記載することや郵便の控えを証拠書類とすることができるなどのメリットがあります)。
◎相手から誠意ある対応がなかった場合
5.裁判に関して流れや必要書類の確認などの情報収集を行います。
☆インターネットに様々な情報がありますので検索して情報を集めることもおすすめです。裁判所のホームページにもリーフレットのデータや手続きの流れなどが記載されています。また、一度、裁判を起こす管轄の裁判所に訪問して説明を受けるという手もあります。特に、簡易裁判所は本人訴訟を想定した裁判所なので、より詳細な説明を受けることが期待できます。
また、自治体の弁護士等の無料相談を利用して自分の主張が法的に有効であるのか、や主張の整理に利用することも検討するとよいでしょう。
6.裁判所に提出する書類の準備をします。
☆訴状・証拠書類・証拠説明書を作成、準備していきましょう。
☆自分の主張や言い分をよく整理しましょう。この点が不十分な状態で思ったことだけを訴状に書いていくと気持ちばかり先行する訴状となり、法的な主張が見えにくくなったり、主張に矛盾が生じ、裁判で不利になってしまうことも考えられます。
☆トラブルの法律関係について、自分の主張がどの法律のどの内容に基づくものなのか、契約書のどの部分を根拠にして主張するのかを一度確認しておきましょう。※本人訴訟に民法などの条文番号を暗記したりする必要は全くありませんが、ご自身の主張の根拠、柱となる部分は必ず理解しておく必要があります。
→状況や相手への請求と根拠理由がはっきりしたところで、書類を作っていきます。
訴状については裁判所に置いてある定型の必要事項を埋めていく形式のものがありますので利用することも可能です。裁判所のホームページからダウンロードすることも可能です。簡易裁判所での裁判の場合はこれを積極的に利用してもよいでしょう。
訴状は簡潔に淡々と書いていく方が好ましいです。感情的なことが多かったり、とりあえず思ったことをダラダラ書いてしまうと要点が裁判官に伝わりづらいものになってしまいます。主張や事実の根拠となる証拠を手元に置いて番号をふりながら訴状にも記載していきます「〇〇である(甲第1号証)。など」。訴状の作成が終わったら、証拠書類に記載した証拠番号に漏れがないかも確認しておきましょう。訴状、証拠の準備が終わったら、証拠説明書を作成して全体の書類の確認して記載ミスや矛盾がないかをよく点検しましょう。
7.書類が整ったら裁判所に支払う収入印紙の代金を訴額(請求する額)から計算して準備しましょう。
→郵便局や法務局で購入することができます。訴状を提出する管轄裁判所に裁判所に訴状を提出する際に一緒に提出する郵券(切手)を聞いておく必要があります。電話で教えてくれます。この金額や切手の内訳は裁判所によって異なりますので必ず確認してください。
8.訴状・証拠書類・証拠説明書・収入印紙・郵券の準備ができたら裁判所の窓口に持参します。なお、郵送での提出も可能です。
※事件番号等を控えておきましょう。事件番号は裁判の“名前”のようなものです。今後書類を作成する際や裁判所に問い合わせる時に使用します。
9.裁判所から裁判の日(期日)の指定を受けます。
※通院等やむを得ない理由により、変更を希望する場合は必ず、すぐ裁判所に相談しましょう。
10.裁判の日まで裁判所は相手に訴状を送付したり、被告が作成した答弁書を受け取るなど必要な手続きをするために少なくとも1ヶ月〜1ヶ月半程度の期間があります。その間、原告としては、裁判の準備として他の証拠の整理や主張の確認をしておきましょう。相手から答弁書が届いたら内容を確認してそれに対する反論や証拠の準備など対応を検討する必要があります。
11.裁判期日(裁判の日)、裁判が始まりましたら裁判官のリードの下、裁判が進行します。
お互いに提出した訴状や答弁書を陳述(口頭で主張すること※なお、実際は書類を読み上げはせず、〇〇のとお
り陳述しますのみ発言することが通常です)します。
裁判官から質問や指示をされ、その場で回答したり、後日書面で提出するなどの口頭でのやりとりを行い、次回の裁判期日を決めてその日は終了です。
12.その後はこのような裁判でのやりとり(裁判所から指示があれば書類を事前に提出→相手からの書類がある場合はこれを受け取る→準備→裁判)を繰り返して裁判の終了に向かっていきます。途中で話し合いで解決させることも可能です(和解)。和解ができなければ裁判官の判断で決着させる判決となります。なお、途中で裁判を取りやめる場合は訴えの取下げを行います。
13.裁判終了後は、その内容に基づく相手の対応により、対応が変わります。
勝訴した(主張が認められた)原告としては、相手がその判決に従って履行されることが一番の解決です。しかし、従わない被告に対しては強制執行(法律による公的な力によって相手の履行を強制する)を行うことができます。
14.判決を不服として上級の裁判所(第1審が簡易裁判所であれば地方裁判所、第1審が地方裁判所であれば高等裁判所)に上訴(控訴する)ことが可能です。