9月6日(日)12:30~15:15
会員による研究成果の発表や事例紹介を通じ、問題点や課題点を共有し、大学職員としての見識を高める場です。
当日お聞きになりたい研究発表・事例報告を、定期総会・研究集会参加申込みと同時にWebにてお申込みいただきます。発表時間帯と発表内容について、下記の一覧および次頁以降の発表概要をご確認の上、お申し込みください。同一時間帯に行われる発表は、ひとつしか申し込みできませんのでご注意願います。
なお、事前申込みは、あくまでも会場設営等の目処をたてるためですので、当日の変更は自由です。
一部内容に変更が発生する場合がありますので予めご了承ください。
今年は原則「対面」での実施に変更いたします。各時間区分で参加申込の多い1件のみをハイブリッド形式で実施します。
対象となる発表は参加申込締切後に確定してご案内いたします。
研究発表・事例報告に関しては、事前申込とは別の発表を聴講することを認めております。発表によっては、対面参加であっても会場の収容定員の関係から対面での聴講が出来ない場合があります。
【Ⅰ-1】大学職員組織における「ジョブ・クラフティング」の実装
【Ⅰ-2】中堅層の大学職員向け研修プログラムの効果に関する研究
【Ⅰ-3】主体的な業務遂行を実現する職場環境構築の実践~アカンパニメント手法の応用~
【Ⅰ-4】日本語教育の参照枠導入と大学の入試・教育対応
【Ⅰ-5】大学関連法人・外部化法人による大学知活用モデルの予備的考察
【Ⅰ-6】日本人学生の日常的な留学生支援を実現するための「やさしい日本語」活用に関する提案
【Ⅰ-7】大学は学生をどう支援しているか:支援方針の4象限マッピングから
【Ⅰ-8】改正私立学校法を契機としたガバナンスの強化-内部統制システムを中心とした実践報告
【Ⅰ-9】大学におけるインド研修事例報告と異文化理解講演
【Ⅰ-10 】学びの総合窓口「Campus HUB」におけるDX内製化と今後の展望
【Ⅰ-11 】付属校における大学マネジメントスタイルの実践~志願者数189%が意味するもの~
【Ⅰ-12 】地域系学部の設置の動向と特徴
【Ⅱ-1】学生に「何が響き、何が響かなかったか」:人材マネジメント論の現象学的分析
【Ⅱ-2】大学事務職員の資格・検定は必要なのか ~キャリア形成を視座に~
【Ⅱ-3】大学職員求人サイト『Uni-Core』の開発とその意義
【Ⅱ-4】大学再編期における学科新設と学生受入に関する報告―心理学科開設を事例として―
【Ⅱ-5】計画と創発を両立する大学中長期計画の実践 ―物語とデータによる未来構想―
【Ⅱ-6】新たな認証評価制度への期待と課題 ―「新たな評価の在り方WG」の議論から―
【Ⅱ-7】経営は「人」なり ―「時間」を活かし価値を生む組織へ―
【Ⅱ-8】監査部門でのガバナンス改革の取り組み:学校法人追手門学院の内部監査の事例をもとに
【Ⅱ-9】海外オフィスを軸とした国際展開~国際化のシンボル的存在を超えて何ができるか?~
【Ⅱ-10】DXを誰かの仕事にしない―当事者意識を醸成するDXパートナー制度の設計と実践
【Ⅱ-11】少子化を見据えた規模別キャシュフロー改善策の提言
【Ⅲ-1】大学等事務職員の他大学への「出向」の効果-本人・同僚・人事部門の観点から
【Ⅲ-2】大学職員の模範的フォロワーシップ習得プロセス
【Ⅲ-3】専任URA制度による研究力強化の実践と課題
【Ⅲ-4】「大学名・学部名」はどのくらい影響するのか?-看護学科志願者の選択行動調査から-
【Ⅲ-5】年間180件超の社会連携実践事例~真に地域と繋がる大学を目指して~
【Ⅲ-6】内部質保証活動の実践事例報告
【Ⅲ-7】災害時に外国人留学生を守る大学職員の役割
【Ⅲ-8】理事会の実効性の「見える化」~ガバナンスの実質化に関する調査研究から~
【Ⅲ-9】地方における自己研鑽活動を支える次世代人材育成① ~北海道地区のネットワーク継承
【Ⅲ-10】時代の変化を味方につけて実現!研究費事務における4部署横断での窓口一本化
【Ⅲ-11】中長期財務計画における財務指標に関する事例報告
【Ⅲ-12】保護者ポータルの活用分析と情報発信改善の展望
【Ⅳ-1】発表無し
【Ⅳ-2】大学職員による知識創造の実践―龍谷未来塾をナレッジマネジメントの観点で振り返る―
【Ⅳ-3】教学IRを“知ってもらう”から始める―遊び心あるアウトリーチ活動の試み―
【Ⅳ-4】大学通信教育における併修制度と越境的展開―「留学」なき国際化と大学マネジメントー
【Ⅳ-5】キャリア開発とリカレント教育~リカレント修了生追跡調査結果より~
【Ⅳ-6】酪農学園大学におけるデータの活用について -データから仮説を導く-
【Ⅳ-7】産地学官連携における組織運営体制と人的要素に関する考察
【Ⅳ-8】私立学校法改正に伴う理事会・評議員会の権限設計に関する実証的研究(中間報告)
【Ⅳ-9】地方における自己研鑽活動を支える次世代人材育成② 〜北海道地区の継承者編
【Ⅳ-10】願いごとを、神頼みからAI頼みへ!?学生のあふれる願いを楽曲化したAI活用事例
【Ⅳ-11】関西圏における小規模私立大学経営についての一考察
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区分:事例研究発表【個人発表】
氏名:村山 孝道(京都文教大学)
概略:
ジョブ・クラフティングとは、従業員が自らの仕事の意義や業務プロセス、周囲との関わり方を主体的に見直し、再構築する手法である。単に与えられた役割をこなすのではなく、自ら仕事の価値を捉え直す点に特徴がある。非定型業務や知的生産が中心となるホワイトカラー組織において、この手法は極めて有効である。個人の内発的動機づけやワーク・エンゲージメントを強力に高め、「やらされ感」を払拭する効果を持ち、結果として、従業員の自律的な業務改善やスキル開発が促され、組織全体の創造性と生産性の持続的な向上をもたらすことがわかっている。本発表では、職員のジョブ・クラフティングを促進させることを目的に構築した人事制度について紹介し、現時点における効果の感触及び課題について報告を行う。
区分:研究発表【個人発表】
氏名:佐藤 浩輔(大阪体育大学)
概略:
近年、少子化の影響による学生数の減少、地方の大学や中小規模大学の経営基盤が弱まり、統廃合や学部再編の圧力が高まるなど、大学を取り巻く環境は大きく変化し、厳しい社会状況を生き残るために大学職員が求められる役割も大きく変わった。実際に職員が担っている役割は、事務処理レベルを越え、大学の未来がかかった政策立案や教育・学生支援など高い専門的な力量と改革案の企画・実践力が求められている。(篠田2020)つまり、これまでのとおり事務処理を行うだけでなく、教育研究の発展や大学経営の強化に必要となる専門的な力量を向上させて、より高度な役割を担うことが求められている。
本研究は、昨年度に実施した中堅層の大学職員を対象とした研修プログラムを通じて、分析から得られた知見を整理するとともに、データ分析の方向性を示す。最終的には受講者にどのような意識変容や行動変容が生じたのかを明らかにする。
区分:事例報告【共同発表】
氏名:鎌田 雅子(順天堂大学)
野間川内 一樹(岡山理科大学)
概略:
私たちは、学生の自己理解を促し、自己肯定感を持って人生を歩めるような「気づき」を引き出すことを目的としたサポートを「アカンパニメント(伴走型自立支援)」と名付け、2023年3月に協会を立ち上げました。当協会では、日々の実践を形式知化することや、アカンパニメントを通じて社会を元気にするための活動(本の執筆やYouTubeによる動画配信)を行っています。アカンパニメントにおいては、日常の支援を通じて学生と「信頼関係」を築き、心がオープンになる状態を大切にしています。今回は、この手法を職務遂行に応用した事例分析と理論に基づき、教職員一人ひとりが主体的に業務へ取り組むための職場環境づくりと、コミュニケーションのあり方について一例を示します。
区分:事例報告【個人発表】
氏名:前田 和則(熊本国際日本語学校)
概略:
本報告では、「日本語教育の参照枠」の導入に伴い、大学に求められる入試制度および教育体制の見直しについて検討する。参照枠では、日本語能力を「読む・聞く・書く・話す(発表)・話す(やり取り)」の言語活動別に捉え、CEFRを参考に段階的に示している。これにより、従来の日本語能力試験等の結果のみでは把握しにくかった、大学での学修に必要な実践的な日本語運用能力を評価する視点が重要となる。特に留学生入試では、合否判定における日本語力の確認方法、面接や小論文の位置づけ、入学後の日本語支援との接続が課題となる。本報告では、参照枠を踏まえた入試評価の観点整理、初年次教育や専門教育への接続、学修支援体制のあり方について、大学行政の視点から事例的に報告する。
区分:事例研究発表【個人発表】
氏名:大木 洵人(慶應義塾大学)
概略:
近年、大学は産官学連携、研究成果活用、社会人教育、大学運営支援、スタートアップ支援等を担う関連会社法人・外部化法人を設立・活用し、大学知の社会的活用や新たな収益源の確保を図っている。本発表では、公開情報をもとに国内の大学関連法人・外部化法人等をロングリスト化し、VC型、TLO型、大学運営支援型、大学知研修・講座型、産官学連携外部法人型等に予備的に類型化する。そのうえで、各類型が大学本体とどのように役割分担し、企業・自治体・他大学・学内組織等の多様な需要に対して、大学の知・資源・機能をどのように提供しているのかを比較する。さらに、大学行政管理の観点から、機能設計、自走的な収益モデル、今後の検討課題について予備的に考察する。
区分:事例報告【個人発表】
氏名:福田 浩三(関西国際大学)
概略:
多くの大学において留学生の比率は高まる一方であるが、これら留学生に対する支援を教職員だけで行うには限界がある。そこで日本人学生と留学生のコミュニティー作りを促進することで、周囲にいる日本人学生からの日常的な支援を進める必要がある。しかし、日本人学生の中には、『前知識が無ければ、英語圏の留学生とそれ以外では親近感に差が見られる』『留学生の留学に至るバックボーンなどの理解が乏しい』『留学生同士で作られたコミュニティーへの抵抗感をもつ』などの問題も存在する。そこで、日本人学生に対する入学時ガイダンス等で「やさしい日本語」に触れる機会を設けることで、日本人学生の大学内における多文化共生への意識を高める事を報告者は提案する。報告内では、高校生を対象に行った「やさしい日本語」実践において、高校生の多文化共生に対する理解の深まりを紹介することにより、日本の若者が「やさしい日本語」を学ぶ有用性を説く。
区分:研究発表【個人発表】
氏名:葛西 崇文(愛媛大学)
概略:
大学へ入学する学生が多様化する中、学生支援のあり方はどの大学にとっても重要な課題である。本研究では、各大学がウェブサイトで公開する学生支援方針のテキストマイニングを通じ、その特徴を2軸4象限モデルで可視化した。縦軸には「支援のプロセス」を設定し、手厚い指導・教育介入から学生の主体性を引き出す伴走・環境整備への傾斜を測定した。横軸には「志向するキャリアの空間的視野」を設定し、地域社会への定着・貢献からグローバルな越境・多様性包摂への広がりを分析した。
ユニバーサル化が進む現代の高等教育において、各大学が学生をどのような主体として捉え、いかなる「活躍の場」へ送り出そうとしているかという、支援の本質的なパラダイムの差異を客観的に明示し、今後の大学経営や支援実践に向けた示唆について考察する。
区分:事例報告【個人発表】
氏名:岩城 健児(創価大学)
概略:
2025年4月施行の改正私立学校法への対応において、制度整備に留まらず、いかに実効性のあるガバナンス強化へ繋げるかが重要な課題となっている。
本報告では、法改正を機に内部統制システムの基本方針を整備し、年度運用計画の策定・遂行を通じて主体的な改善サイクルを確立した実践を紹介する。特に初年度は、本学構成員への意識啓発に注力するとともに、役員の職務と権限の明確化および浸透を図り、組織全体のガバナンス意識の向上に努めた。
あわせて、関係部署と連携し、内部統制の運用とガバナンス・コードの遵守を両輪で推進する仕組みについても触れ、実行にあたっての工夫と課題、およびガバナンスの実質化に向けた取り組みについて事例を報告する。
区分:事例報告【個人発表】
氏名:中路 良恵((株)ソフトブリッジグローバルスタディーズ)
概略:
インドは14.6億人を擁する世界最大の民主主義国家であり、多民族・多宗教・多言語が共存する多様性に富んだ国です。IITやIIMなど世界的に優秀な人材を輩出する大学がある一方で、教育やインフラ格差貧困などの社会課題も抱えています。
(株)ソフトブリッジグローバルスタディーズは2012年より、現地大学と連携し、日本の大学向けに研修・インターンシップを実施してきました。
インド研修事例の報告と、インドから異文化理解に関する講演(日本語)を行います。
区分:事例報告【共同発表】
氏名:橋本 昌樹(龍谷大学)
水野 哲八(龍谷大学)
杉山 聖子(龍谷大学)
概略:
龍谷大学では2025年9月、教学全般の窓口を集約した「Campus HUB(キャンパスハブ)」を新設しました。特に深草キャンパスでは、6学部・約12,000名の学生対応を1部署で担う体制を構築しています。従来、学部ごとの教務課に分散していた履修・試験・学籍等の共通業務を一元化し、対応差異や業務重複を解消することで、標準化・効率化を推進しました。これにより、学生の利便性向上や支援の均一化を実現し、学業・生活両面の課題に対する総合的支援窓口として機能しています。また、各種手続きのペーパーレス化・オンライン化をDX内製化により実現し、24時間365日利用可能なサービス基盤を整備しました。
本報告では、2025年度第2学期の履修登録および2025年度末から2026年度初めにかけての繁忙期を経た運用実績に基づき、DX内製化で取り組んだ成果や課題、今後の展望について発表します。
区分:事例報告【個人発表】
氏名:久志 敦男(学校法人龍谷大学)
概略:
発表者は龍谷大学で学部、施設、学生、入試、グローバル等の部署で勤務した後、付属校勤務となった。付属校の龍谷大平安では進路、入試広報等を担当。当時同校特進コースの志願者数は募集定員100名に対し志願者数169名、入学者数28名(定員充足率28%)と瀕死に近い状態であった。この状況を打開するため、全く前年度全く開催されていない特進コースWGを立ち上げることを管理職会議に提案し承認され、2023年5月~約2年間で46回開催し、3つの改革(特進コース生のための付属校入試導入、カリキュラム改革、入試改革)を提言し承認を得た。2025年4月から入試広報に注力、学校案内・募集チラシなどのアナログ戦略で生徒・保護者の認知度を高め、2026入試では志願者数前年比189%、入学者数は前年比243%と特進コースに名称変更してから過去最高の数値を残すことができた。発表では実施した改革を紹介しながら、なぜ大学マネジメントスタイルが中高の現場に効いたのかを検証する。
区分:事例報告【個人発表】
氏名:岩崎 保道(高知大学)
概略:
本発表は、大学が設置する地域系学部 の動向に注目するものである。この分野の学部の設置状況を整理するとともに、その特徴を交えながら外観するものである。地域系学部の開設は2015年頃からであるが、近年、この分野の学部の設置が相次いでいる点に留意する。具体的な発表内容として、地方創生と大学の地域貢献を整理したうえで、先行研究より地域系学部が教育研究において、どのような特色を持っているのか紹介する。次に、地域系学部等の動向をグラフ等を用いて概観する。「地域」の表記がある学部・学科が設立されている大学の設置年度を4年ごとに集計すると、2015-2018年度と2023-2026年度の二つの期間に大きな設立の波があることが分かる。また、「地域」の表記がある学部・学科が設立されている大学は、東日本が22校、西日本が19校と、前者がやや多い。これを地域区分で見ると、北海道・東北が10校、関東が12校、九州・沖縄が8校と他の地域に比べて多かった。以上のように、いくつかの観点で地域系学部の設置の動向と特徴について検討した。
区分:事例研究発表【個人発表】
氏名:村山 孝道(京都文教大学)
概略:
本発表は、2025年度「人材マネジメント論」受講生のミニッツペーパー約16万字を対象に、現代学生の組織や働くことへの意識を現象学的に観察・分析した結果を報告する。大学のアドミニストレーターや人事担当者にとって、若者のリアルな労働観やマネジメントへの期待を理解することは、適切なキャリア支援や採用活動、若手職員の育成において不可欠である。本研究では、先入観を一時停止し、テキストに現れる「主観的な意味や経験」を直接記述・分析する現象学的アプローチを採用した。客観的事実の測定ではなく、各トピックに対し学生が一人称視点で「どう感じ(何が響き)」「どう経験したか(何が響かなかったか)」に焦点を当てる。これにより、定量データでは捉えきれない学生の微細な感情や価値観の揺らぎを可視化し、これからの人事マネジメントに資する実践的な示唆を提示したい。
区分:事例報告【共同発表】
氏名:寺尾 謙(神奈川工科大学)
門馬 利光(東北福祉大学)
水野 麻美(東北学院大学)
寺尾 健志(寺尾コンサルティング/東北大学)
概略:
本事例報告は、2026年6月27日に東北学院大学で開催したプレ研究会を基に、大学事務職員の資格・検定制度はキャリア形成においてどのような意味を持ち得るのかを報告する。
大学設置基準改正により「包括的なSD」が義務化される中、大学における職員育成の体系化とキャリアの見通しをどのように結び付けるかが課題となっている。今回は、「そもそも資格制度は必要なのか」という根源的問いを起点に、積み上げた議論や民間の人材育成制度との比較を踏まえ、参加者との対話を通じた期待・懸念・制度設計上の論点を抽出した。それらの議論過程と結果を整理し、資格・検定を職員のキャリア形成の中でどのように位置付け得るのかについて報告する。
※本事例報告は、2027年度設立を目指す「大学職員育成プログラム研究会(仮称)」の研究の一環として実施するものです。
区分:事例報告【共同発表】
氏名:藤本 正己(山口大学)
葛西 崇文(愛媛大学)
概略:
高等教育機関における大学職員の流動化(他大学への転職)は毎年一定数確認されており、その多くは公募によるものである。現在、多くの求職者は各大学のウェブサイトや既存の求人をまとめたサイトから情報を収集しているが、ユーザーインターフェースや情報の網羅性の観点から、より利便性の高い環境の構築が求められると考える。
そこで本発表では、大学職員に特化した求人サイト『Uni-Core』の開発とその意義について報告する。具体的には、開発に至る背景やシステム構築のプロセスを辿るとともに、第三者へのインタビュー調査から得られたフィードバックとそれに基づく機能の改善について説明する。さらに、本サイトの構築・運営が大学職員に資する意義について考察する。
区分:事例報告【個人発表】
氏名:中原 正樹(京都産業大学)
概略:
京都産業大学では、京都ノートルダム女子大学の学生募集停止を受け、心理学分野における学びの機会を広く維持する観点から、同大学の心理学科を母体とした新たな学科の開設を決定した(2027年4月開設に向け構想中)。現行制度では、大学や学部単位での設置者変更は可能である一方、学科単位では認められていないことから、本件においては学科新設として設置準備を進めた。本報告では、大学再編期における他大学の学科を母体とした学科新設事例として、制度設計、教学体制、教員配置、学生支援等の検討項目およびその論点を整理する。
区分:事例報告【個人発表】
氏名:進藤 弘樹(龍谷大学)
概略:
AIの進展により、知識の獲得や業務の効率化が進んでいる。一方、大学は歴史的に、既存の知識や正解を継承するだけでなく、未だ価値の定まらない問いを探究し、新たな知や社会の可能性を切り拓く役割を担ってきた。こうした大学の本質的機能を持続的に発揮するためには、中長期計画も実効性を確保しつつ、目標管理や実行計画にとどまらない創発的な挑戦を促すものであることが求められる。
龍谷大学では、中期計画(2024-2027年度)の策定にあたり、「両利きの経営」を参照するとともに、計画に「物語(ナラティブ)」の要素を織り込んだ。また、全学的な対話を重ねることで全員参加型の策定プロセスを構築するとともに、現場の創意工夫を促す余白を意識したアクションプランを設計した。本報告では、その原案策定や実務を担当した立場から実践を振り返り、ひいてはAI時代の大学の価値について、参加者とともに考察する契機としたい。
区分:事例研究発表【個人発表】
氏名:杉原 明(日本私立大学協会(工学院大学より出向))
概略:
新たな認証評価制度の検討が進むなか、大学には制度改正の趣旨を理解するとともに、自大学の準備を具体的に考えることが求められている。本発表では、「新たな評価の在り方WG」での議論を踏まえ、新制度が何を目指しているのか、現行制度からどのような点が変わろうとしているのかを整理する。特に、大学全体の内部質保証、学部・研究科等における教育の質の確認、評価資料やデータの扱い、評価機関・評価員の役割など、大学実務に関わる論点を取り上げる。あわせて、制度を単なる負担増として受け止めるのではなく、多様な大学の特色を支え、高等教育の質向上につなげるために、各大学がどのような準備や視点を持つべきかについて、参加者と共有したい。
区分:事例研究発表【個人発表】
氏名:重冨 洋二(学校法人福岡大学)
概略:
「自分の大学は存続できるのか」「業務ばかり増えて手が回らない」「調整や意思決定に時間が掛かりすぎる」。こうした不安や悩みはないだろうか。負のスパイラルから脱却するには何が必要なのか。少子化や競争環境の変化により、日本の大学にもイノベーションと価値創造が求められている。「労働生産性の国際比較2025」(日本生産性本部)によれば、OECDデータに基づく2024年の日本の時間当たり労働生産性は28位、一人当たりは29位と低迷が続く。一方、デンマークは日本より238時間短い年間1,379時間でありながら、国際競争力や幸福度で上位に位置する。これは何を示しているのか。大学職員が主体性を持ち、組織に活力と創造性をもたらすには何が必要なのか。「人」と「時間」を活かす大学の組織変革の方向性とその第一歩を共有できればと考えている。皆さまにとって解決に向けた何らかの一助となれば幸いである。
区分:事例報告【共同発表】
氏名:北谷 仁宏(学校法人追手門学院)
辰巳 早苗(学校法人追手門学院)
概略:
私学法改正に伴い、学校法人のガバナンス改革は急務である。学校法人追手門学院では、「グローバル内部監査基準(以下GIAS)」が示す、組織価値を創造・維持する「戦略アドバイザー」への進化を目指し、新たな監査体制を構築・実践している。具体的には、従来の準拠性重視である「スタンダード監査」と、将来の課題を見通し持続的成長を支援する「プロアクティブ監査」を両立したハイブリッドモデルである。企業での知見を踏まえた本モデルは、規模を問わず他法人でも再現可能な、大学経営に資する共通の思考の枠組みになり得ると考える。本発表では、まずGIASに基づく学校法人追手門学院の内部監査の取り組みを報告する。その上で、本来「守り」を担うとされる監査部門がいかに「攻め」の機能を発揮し、学校法人のガバナンス改革に貢献していくか、報告を踏まえ、参加者の皆様と建設的な意見交換を行いたい。
区分:事例研究発表【個人発表】
氏名:若山 周平(立命館大学)
概略:
日本への留学生数は、政府による2033年の受入目標40万人に対して、2025年時点ですでにこの目標を達成したとの発表があった(2026年5月29日)。現在、日本の多くの大学が世界各国に海外拠点(オフィス・事務所)を設けており、その総数は600カ所以上にのぼる。ただし、設置形態や人員体制はさまざまであり、専任職員が海外駐在をしながら本格的に運営しているケースは多くない。海外拠点を設置すること自体が目的化し、十分活用されずに放置されたり、撤退を判断するケースも見られ、拠点数自体も減少傾向にある。立命館大学では2018年にベトナム・ハノイにASEAN事務所を設け、継続して専任職員を常駐させている。発表者は2023年度以降、同事務所で勤務する専任職員であり、実際の活動事例も紹介しながら、海外オフィスが国際化のシンボル的な意味合いを超えて、何に貢献できるのかについて考察をおこないたい。
区分:事例報告【共同発表】
氏名:宇佐美 優里(芝浦工業大学)
澤 虹之介(芝浦工業大学)
松村 美緒(芝浦工業大学)
鈴木 洋(芝浦工業大学)
概略:
芝浦工業大学では、教員の教育・研究時間捻出を目的に、有志職員によるDX推進プロジェクトを結成し、依頼一元化等を可能にするツール(Notion)の全学導入を実現した。しかし導入完了という節目に、2つの危機感があった。ツールを入れても使う職員の意識が変わらなければ成果は出ないこと、そしてプロジェクトが解散すれば取り組みが一過性のキャンペーンで終わってしまうことである。この危機感から「DXパートナー」制度が生まれた。規程において、全部署の業務分掌としてDX推進を明文化し、全部署から選出された約50名の職員を、導入支援者ではなく業務改善の当事者として位置づけた。月例の全部署横断意見交換会を通じてグッドプラクティスを共有する中で、のべ12部署以上から自発的な改善事例が創出されている。本発表では、DXパートナー体制の設計意図と、現場の意識・行動にもたらした変化を報告する。
区分:事例研究発表【グループ・研究会発表】
氏名:財務研究グループ
概略:
18歳人口の減少により、学校法人の収入の多くを占める学納金が減少するのは明らかである。そのため、キャッシュが枯渇し資金繰り難で大学を閉鎖するという選択肢を取らざるを得ない学校法人が出てきている。
そのような事態を避けるため、本事例研究では学校法人における諸活動のキャッシュフローを、活動区分収支計算書を組み替えて明らかにし、現状どの活動でキャッシュが生まれているか実態を把握する。そのうえで将来のシミュレーションを行い、減少が見込まれるフリーキャッシュフローへの収支の改善策を提言する。なお、学校法人の規模により諸活動のキャッシュフローが異なるので、小規模・中規模・大規模毎に分類し、それぞれの改善策を提言していく。
区分:研究発表【個人発表】
氏名:木村 弘志(一橋大学・東京大学)
概略:
近年、大学・研究機関を取り巻く環境が複雑化する中、高度な法人運営を担う事務職員の能力開発が急務となっている。しかし、単一組織内での育成体制には、前例踏襲や視野狭窄といった限界も指摘されており、異なる組織文化や専門的業務を実地で経験する他機関への「出向」を通じた人材育成が注目を集めている。 本発表は、事務職員の他機関への出向がもたらす多様な効果と課題を実証的に検討することを目的とする。調査手法として、出向研修を経験した職員本人に加え、帰任先の直属の上司(同僚)、および制度を運用する人事部門を対象に半構造化インタビューを実施した。得られた逐語録等の質的データに基づき、出向前・出向中・帰任後の一連のプロセスを抽出し、個人の意識変容だけでなく、帰任後の所属部署への波及効果や制度設計上の課題を多角的に分析・報告する。
区分:研究発表【個人発表】
氏名:河合 良彦(日本福祉大学)
概略:
本発表は、大学職員の模範的フォロワーシップの習得プロセスに関して、質的研究の結果と考察を報告します。教職協働が求められるなか、プロフェッショナル型組織(Mintzberg,2023)である大学において、職員はサポート部門から教員集団の合意形成を担います。この人材像は批判的思考と積極的関与を高水準で備える模範的フォロワー(Kelley,1992)と重なります。そして、教職協働を実践する職員はその力を発揮していると考えられますが、それをどのように身につけたのか疑問が生じます。本研究は、探索的な視点に基づいて、模範的フォロワーシップを示す私立大学ミドルマネージャー級職員16名へのインタビューをM-GTAで分析し、その習得プロセスを明らかにすることを試みました。これらの結果をもとに職員育成への示唆を提示し、皆様のご意見をいただきたいと考えます。
区分:事例報告【共同発表】
氏名:一宮 航(神奈川大学)
羽賀 丈雄(神奈川大学)
概略:
神奈川大学は、2028年の創立100周年を見据えた研究力強化戦略の一環として、2024年2月にURAを無期雇用の専任職員として制度化し、安定的かつ継続的に研究推進・支援業務に従事できるポストを整備した。これにより、外部資金に左右されない人材確保と長期的なキャリア形成が可能となり、競争的資金獲得支援や産学官連携、研究戦略立案を含む中長期的な視点からの支援が実現しつつある。また、研究者や事務職員との信頼関係構築と組織学習の蓄積を通じて、個別案件を超えた大学全体の研究力向上への貢献も期待される。一方で、研究支援人材間の役割分担や成果の可視化、キャリアパス設計といった制度運用上の課題も見えてきた。本事例報告では、専任URA制度の設計趣旨と業務事例、これまでに見られた成果と課題を整理し、URAを「プロジェクト雇用人材」から「中長期の経営資源」として位置づけ直すための示唆を提示する。
区分:研究発表【個人発表】
氏名:出光 慎太郎(学校法人常翔学園/昭和医科大学/立命館大学)
概略:
【目的】大学名や学部名に焦点を当て調査を行い、その結果を受験生獲得の方策のひとつとする。
【方法】日本看護系大学協議会の大学一覧から、大学名と学部名の上位各3つを抽出した。大学名は「〇〇大学」「〇〇看護大学」「〇〇医療大学」、学部名は「看護学部」「保健医療学部」「健康科学部」の順であり、これを計9通り組み合わせ、順位を問うアンケートを作成した。その際、9通りの選択肢は大学名と学部名以外は、すべて同一条件(教育内容や就職先、国家試験合格率など)であると仮定することにより、名称による影響度のみを測定できるように設計した。アンケート対象は、15歳から64歳の550名。自身あるいは家族など身近な者が将来看護師を志望し、大学の看護学科を受験すると仮定した場合において、進学したい(してもらいたい)順位を決定してもらった。
【結果】アンケート回答を分析し、大学名、学部名がどれくらい影響しているのかを定量的に把握した。
区分:事例報告【共同発表】
氏名:勝嶋 慧(神戸学院大学)
瀧口 勇己(神戸学院大学)
清田 千絵(神戸学院大学)
中村 遼太(神戸学院大学)
概略:
本発表では、神戸学院大学社会連携グループが展開する、年間180件を超える(延べ換算で年間400件以上)多角的な社会連携活動の実践事例を報告します。本学は「地域と繋がる大学」を掲げ、行政、企業、市民団体と密接に連携した多様なプロジェクトを推進しています。
膨大な案件数を単なるイベントに終わらせず、学生の成長や学習機会の創出、地域課題の解決といった、大学が地域の価値を創出するための活動と位置付けています。事例共有を通じ、他大学でも応用可能な社会連携のモデルを提示します。
区分:事例報告【個人発表】
氏名:城戸 直也(追手門学院大学)
概略:
追手門学院大学では、内部質保証活動に、教育・研究・組織運営等を全般的に点検・評価する「自己点検・評価シート」とディプロマ・ポリシーの達成度に着目してカリキュラムの点検・評価を行う「カリキュラム・アセスメント・チェックリスト」という様式を用いている。本事例報告では、各学部が行う「カリキュラム・アセスメント・チェックリスト」を主に取り上げ、ピア・レビュー等の運用プロセスやカリキュラム改編など現状での成果、職員の関わり方について報告する。また、第4期認証評価や現在文部科学省の審議会で議論されている新たな評価制度の在り方等をふまえて、教育の内部質保証を今後どのように進めていくべきなのかについて、参加者との質疑応答を通じて検討する機会としたい。
区分:事例報告【個人発表】
氏名:前田 和則(熊本国際日本語学校)
概略:
本発表では、災害発生時における外国人留学生支援のあり方について報告する。外国人留学生は、言語、情報、地域とのつながり等の面で日本人学生に比べてリソースが限られており、災害時には支援を必要とする存在になりやすい。筆者は、熊本地震後に日本語教育関係者および大学職員を対象に、防災に関する意識調査を実施した。その結果、平時からの連絡体制の構築、SNS等を活用した迅速な安否確認、外国人留学生の特性理解、やさしい日本語による情報発信の重要性が明らかになった。大学職員には、制度やマニュアルの整備に加え、災害時に実際に動ける防災意識と実践的な支援力が求められる。さらに、外国人留学生を単に支援の対象として捉えるのではなく、地域や大学における共助の担い手として位置付けるための防災教育や避難訓練の必要性についても提案する。
区分:事例研究発表【グループ・研究会発表】
氏名:大学経営見える化研究会
概略:
本研究会は2002年の設立から現在に至るまで、大学経営課題の可視化に取り組んできた。2025年の改正私学法施行にあわせて、『私立大学新任理事・評議員ハンドブック』を刊行したが、ガバナンス向上には制度設計という「形」の整備に留まらず、理事会が実際に機能する「実効性(実質化)」の確保が不可欠となる。
そこで現在、各学校法人における私学法改正後の寄附行為や民間企業の取締役会資料の分析を進めるとともに、文部科学省所轄の約580学校法人を対象としたアンケート調査を計画・準備している。
本発表では、改正私学法が理事会の実効性に与えた影響や、先進的な取組事例を報告予定である。併せて、民間企業との比較も紹介しながら、今後の私立大学における望ましいガバナンス設計や工夫への示唆を提示したい。
なお、本研究の一部はJSPS科研費(奨励研究)JP26H00034の助成を受けたものである。
区分:事例報告【個人発表】
氏名:鈴木 峰子(北星学園大学)
概略:
大学を取り巻く環境が一層厳しさを増す中、限られた人的資源で組織力を高めるには、職員の能力向上と継続的に学び合う仕組みが不可欠である。一方、北海道では地理的制約や人的流動性の低さ、小規模大学の多さなどから、大学独自の研修機会は多くないのが現状である。本報告では、発表者が中堅時代に北海道地区研究会の活動に参加したことを機に、同世代の職員と学びの場づくりに取り組んできた実践と、それが現在の中堅・若手主体の企画グループへ継承される過程を紹介する。あわせて「場づくり」や後方支援、主体移行の工夫などの経験が、管理職としてのマネジメント能力の醸成にどう繋がっているかを考察するとともに、世代を超えて学びが循環する仕組みづくりのポイントや、学びを個人の努力に留めずにチームとして継続させていく視点を提示する。地方における次世代人材育成の現状を、受け継いだ次世代の報告②とあわせて聴講いただければ幸いである。
区分:事例報告【共同発表】
氏名:千野 雅裕(学校法人上智学院)
追分 翔海(アマゾンジャパン合同会社)
林 美津子(アマゾンジャパン合同会社)
菅谷 紘夢(アマゾンジャパン合同会社)
藤井 詩乃(学校法人上智学院)
概略:
立替精算の削減からペーパーレス化、検収ルールの最適化までをシステム連携をきっかけに着手し、時代に即した業務スタイルに変革。さらに、財務・人事・環境整備・研究推進の4部署を巻き込み、部署の垣根を超えた新しい働き方を確立。これら学校法人上智学院様の挑戦的な取り組みをご紹介します。
区分:事例報告【グループ・研究会発表】
氏名:財務研究グループ
概略:
財務研究グループでは、2023年の研究集会において、活動区分資金収支計算書が学校法人の経営判断にどのように利用されているのかを調査し、その結果に基づき考察した。
2020年4月、私立学校法改正により中期計画の策定が義務付けられた。中期計画は、長期計画をベースとしたマイルストーンとして位置付けられ、教学、人事、施設設備整備、財務の各項目を一体化して策定されるものである。
一方、私立学校法改正と時を同じくして、大学数が急増した時代の施設設備が更新時期を迎えている。さらに、日本での少子高齢化の加速化、世界的なインフレ、賃上げ機運の高まりなどを背景とした大学淘汰の時代に、学校法人には単年度収支を主な指標とする経営から、中長期的視点への転換が求められている。
今回は、前回の調査時に既に中長期財務計画を立案していた法人に対して追加調査を行い、中長期事業計画をベースに学校法人の永続性に資する財務指標活用の事例を報告する。
区分:事例報告【個人発表】
氏名:野村 珠美(龍谷大学)
概略:
本学では2023年度、大学と保護者をつなぐ情報基盤として「保護者ポータル」を開設しました。従来、大学から保護者への情報発信は紙媒体やWebサイト等に分散しており、必要な情報が届きにくいことや、閲覧状況を十分に把握できないことが課題となっていました。そこで、学費・履修・学生生活・キャリア支援等の情報を一元的に配信できる環境を整備し、利便性向上とコミュニケーション強化を図っています。
本報告では、保護者ポータルの運用実績をもとに、配信カテゴリ別既読率やアンケート結果の分析を通じて、保護者の関心傾向や情報到達状況を可視化した取組について紹介します。また、分析結果から見えた課題を踏まえ、情報発信方法や導線改善、保護者とのコミュニケーション強化に向けた今後の展望について発表します。
区分:事例報告【共同発表】
氏名:奥 昌浩(龍谷大学)
森本 彩花(龍谷大学)
野村 珠美(龍谷大学)
進藤 弘樹(龍谷大学)
曽田 源(龍谷大学)
概略:
本報告では、有志の事務職員による共同研修企画「龍谷未来塾2025」の活動を、ナレッジマネジメントの観点から振り返る。龍谷未来塾は、高等教育の将来を見据え、大学改革や運営を牽引する職員力の育成、批判的思考力の涵養などの自己研鑽を行う場として活動してきた。
2025年度は、情報分析力や発信力を入口とするイベントや、戦略企画人材を考察するメインイベントを実施し、学外者も含め延べ500名を超える参加者を集めた。龍谷未来塾のメンバーは企画立案だけでなく講師や登壇者となることで自らの研修効果を高めたほか、未来塾内で個人研究と相互フィードバックを実施し、経験を通じた学びを実践知へ転換することを試みた。
本報告では、龍谷未来塾を実践共同体として捉え、研修転移、SECIモデル等を用いて、知の共有・形式知化・実践化のプロセスを整理する。また、このような自発的なコミュニティの持続可能性や他大学での応用可能性についても考察する。
区分:事例研究発表【個人発表】
氏名:井上 一成(神奈川県立保健福祉大学)
概略:
本発表は、教学IRを立ち上げて約1年半の大学において、学内への認知向上と関係構築を目的として実施したアウトリーチ活動の試みを報告するものである。
本学ではこれまで、教学IRに関する組織整備やデータ収集・分析基盤の構築に加え、学生調査やポートフォリオ、ダッシュボードの整備を進めてきたが、教学IRの文化が十分に浸透している土壌とは言い難い状況にあった。そのため、教学IRを学内の教職員や学生に「知ってもらう」段階から取り組む必要性を感じ、前述の各取組と並行して教職員・学生と教学IRをつなぐための様々な取組を試行してきた。
本発表では、比較的低コストで実施可能かつ遊び心を取り入れたアウトリーチ活動として、①授業評価回答促進キャンペーン、②学園祭での出展、③ニュースレター発行の3つの取組を紹介する。
区分:事例研究発表【個人発表】
氏名:寺尾 謙(神奈川工科大学)
概略:
大学通信教育における併修制度は、専門学校等との連携を通じて学位取得の機会を拡張する制度として位置づけられてきた。近年、この枠組みは国内にとどまらず、海外の教育機関と接続する越境的な展開へと広がりを見せている。とりわけ、日本の通信制大学の教育課程を基盤に、現地校と連携して学修や学位取得を可能とする事例は、「留学生の受入れ」を前提としない新たな国際化の形態として注目される。一方で、通信制大学の制度設計は必ずしもこうした越境的学修を想定しておらず、在留資格、著作権、個人情報保護、学位の質保証や教学責任の所在など、大学行政上の論点が顕在化している。本発表では、併修制度に関するこれまでの整理を踏まえつつ、通信制大学による越境的展開を「留学」なき国際化として捉え、大学マネジメントの観点から検討課題を提示する。
区分:事例研究発表【個人発表】
氏名:小椋 幹子(京都女子大学)
概略:
リカレント教育修了後のキャリアの変化や有用性等を検証することを目的とし、2025年度に京都女子大学リカレント教育課程修了生の追跡調査を実施した。
対象は2018年度~2024年度の京都女子大学リカレント教育課程修了生351名であり、147名の回答があった。
147名のうち、31名が当時のポジションより昇進しており、昇進した者の91%の昇進時期がリカレント修了後3年以内と回答した。また、役職についていない修了生においては、履修したコースごとに特徴があらわれており、リーダー育成コース修了生においては、100%が係長以上の役職への昇進志向だった。
「リカレントが自分のキャリアに役に立っているか」という質問には100%が肯定(「大変役に立っている」「やや役に立っている」の合計ポイント)であり、一定の成果が見られている。また、毎年1割程度の修了生が大学院に進学しており、学びの発展と循環が見られた。
区分:事例報告【個人発表】
氏名:永田 恭之(酪農学園大学)
概略:
大学経営における意思決定において、教員・職員・役員といった立場の違いを超えた共通言語の構築は急務である。本発表では、大学が保持するデータを視覚化することで、誰もが直感的に「同じ現実」を共有し、フラットな議論の土台を整えるアプローチについて報告する。このような環境整備は、組織の基盤を支え、部門間のハブとなる職員が最も力を発揮できる領域である。
客観的なデータから仮説を導くプロセスは、教職協働における次のアクションへの動機付けとなり、施策を前進させる強力な推進力となる。その実現の鍵は、現場の業務プロセスで日々発生するデータをいかに効率よく拾い上げ、時間をかけずに意味のある形へ統合・整形できるかにある。本発表では、本学の役員会議等で実際に報告されたデータと仮説の事例を取り上げ、今後の検証方法や視覚化の展開についてBIツールを用いて提示する。
区分:事例報告【共同発表】
氏名:寺本 敏紀(国立大学法人奈良国立大学機構)
北角 馨(国立大学法人奈良国立大学機構)
濱村 茂(国立大学法人奈良国立大学機構)
森 一花(国立大学法人奈良国立大学機構)
山咲 博昭(国立大学法人奈良国立大学機構)
田中 智子(国立大学法人奈良国立大学機構)
概略:
本報告では、奈良国立大学機構 奈良カレッジズ連携推進センターが推進する「なら産地学官連携プラットフォーム」における、人材育成・産業振興・地域創生に関する取組事例を紹介するとともに、その運営を支える組織体制及び人的要素について、事務職員の視点から考察を行う。産地学官連携においては、多様なステイクホルダーと大学をつなぐコーディネーター人材への依存度が高く、実務上も重要な役割を果たしている。一方で、コーディネーター個人の力量や関係性に依存し、必ずしも組織として機能していない場面も見受けられる。また、事務職員についても、大学経営や組織運営に関与する一方、対外調整をコーディネーターに依存する場面があり、その役割や当事者性が曖昧となる場合がある。本報告では、こうした問題意識を踏まえ、産地学官連携を持続的に推進するために、コーディネーター及び事務職員双方に求められる能力や組織的役割について考察を行う。
区分:事例研究発表【個人発表】
氏名:鈴木 弘道(駒澤大学)
概略:
2025年4月に施行された改正私立学校法は、学校法人に厳格なガバナンス強化を求めている。制度の枠組みは整備されたものの、具体的な権限設計、とりわけ改正のポイントである「理事選任機関の構成」の実態には多様性がみられる。
本研究は、改正私学法がもたらす実務的影響と多様な実態から、最適なガバナンスモデルを明らかにすることを目指している。その第一段階として、大学の規模や環境等の組織的要因が権限の設計に与える影響を検証するため、全国の学校法人へのアンケート調査を行う。
本発表では、その調査結果から法人の規模や環境に応じた傾向を報告するとともに、特長的な運用事例を紹介し、最適なガバナンス設計のあり方を考察する。併せて、当日の議論を踏まえ、次段階であるヒアリング調査に向けた有益な示唆を得る契機としたい。
なお、本研究はJSPS科研費(奨励研究)JP26H00034の助成を受けたものである。
区分:事例報告【個人発表】
氏名:土橋 幸(北海道医療大学)
概略:
本報告では、前段の報告を受けた「継承」の当事者として、中堅職員の視点からJUAM北海道地区の活動の意義と展開を紹介する。当初、一参加者として加わった研修会で得た視野の広がりは、自身のキャリア観を大きく変える転機となった。その後、企画運営側に参画することで、単なる学びの享受から「場の持続可能性」を模索する意識への変容や異なる組織文化を持つ者同士が協働する難しさと面白さへの理解へと深化を遂げた。本発表では、管理職世代からの後方支援を糧に、いかにして次世代(自世代)が主体となり、組織の壁を越えた連帯をスタートさせたのか、その具体的なプロセスを提示する。前段の報告とあわせ、地方大学における「学びのバトン」の繋ぎ方と、自走するコミュニティ形成の可能性について考察したい。
区分:事例報告【個人発表】
氏名:嶺本 朋希(学校法人常翔学園 摂南大学)
概略:
2025年に開学50周年を迎えた摂南大学。しかし、当初は式典などフォーマルかつアカデミックな記念事業の計画が中心で、一部の学生は参画しているものの学生全体への浸透や盛り上がりに欠け、「主役であるはずの学生が置いてけぼりでは?」という課題が感じられていた。そこで、本学のキーフレーズ「挑む、楽しむ。」を体現する大きなブレイクスルーとなったのが、「生成AI」の活用である。具体的には、学生のあふれる願いをAIで楽曲化した「七夕ソング」をはじめ、イベントを盛り上げた「ハロウィン企画ソング」、学生のリアルな叫びを凝縮した「クリスマス動画」などを次々と展開した。お堅くなりがちな周年行事を、学生が主役となって心から「楽しむ」場へと変貌させたこの試み。今回は、生成AIを駆使して学生の「楽しむ」を軸に展開した、本学のユニークな先進事例を紹介する。
区分:研究発表【個人発表】
氏名:福山 敦(兵庫大学)
概略:
本発表では修学支援新制度が導入された2020年度以降の関西圏の小規模私立大学の経営について、財務指標を組み合わせて、経営安定型、設備負担型、経営転換型、経営悪化型の4つの類型区分を通して、財務状況と学生数に着目して考察を試みる。
分析結果から、(1)小規模私立大学の財務状況は悪化傾向にあるものの一括りに悪化しているとは言えない、(2)経営悪化型の私立大学は経営安定型に比べて人件費比率だけでなく教育研究経費比率も相対的に高い、(3)修学支援新制度導入後の学生数は経営安定型の私立大学では増加し、経営悪化型の私立大学もそれほど減少していないことが確認できた。
そのため財務状況や学生数の増加率から想像すると修学支援新制度の導入効果があったと期待できるのではということである。