薬学部

OB・OGからのメッセージ

イムス札幌消化器中央総合病院 勤務 (札幌市)

大久保 利成 さん

【2008年卒業、2010年大学院修士課程修了】

今の仕事内容は?

調剤、服薬指導、感染症対策、ポリファーマシーに関する業務を経験し、薬剤部長として後輩の育成や統括業務を行っています。大学での授業が間違いなくすべて役立っており、特に薬理学や微生物学はもっと勉強しておけば…と思っています。

仕事のやりがいは?

目の前で患者さんが日に日に良くなっていくことに、やりがいや喜びを感じます。医療はチームで行います。その中で、薬剤師にしかできないことがたくさんあります。チームで協議し、決定した抗菌薬の投与で治った際などは、薬剤師をしていて本当に良かったと思う瞬間です。

※この取材は2022年に行ったものです。

株式会社サンクール あしたば薬局 勤務 (札幌市)

宇髙 伸宜 さん

2002年卒業、2004年大学院修士課程修了】

今の仕事内容は?

地域密着型調剤薬局を運営する会社で薬剤師として患者さんに関わりながら、札幌エリア2店舗と旭川エリア5店舗のエリアマネージャーとして事業部内店舗をサポートしています。薬局薬剤師は一番気軽に健康相談ができる医療職だと思いますし、薬局薬剤師の魅力だと考えています。

今後の目標は?

調剤薬局運営には、AIやICTの導入が必須です。変化を拒まず取り入れ、周りに広めていくことが、私たちに求められる役割だと考えています。また、北海道医療大学では卒業生向けの勉強会なども開催してくれているので、今後も先生や卒業生との繋がりを大事にしていきたいと思います。

※この取材は2022年に行ったものです。

西北地域県民局地域健康福祉部保健総室五所川原保健所 勤務 (青森県)

工藤 佑衣 さん

【2013年卒業】

今の仕事内容は?

保健所生活衛生課に勤務し、食品衛生関係及び生活衛生六法、水道、温泉等の監視指導をしています。最近では新型コロナウイルスの疫学調査や濃厚接触者早期把握、鳥インフルエンザに関する予防投与の服薬指導も担当しました。

今の仕事に就いてよかったことは?

公務員薬剤師の仕事は、より広く人と関わりを持てるのが面白いところです。薬剤師免許を活用したたくさんの仕事があり、衛生学や微生物学をはじめ、大学で学んださまざまな知識を仕事に役立てることができます。また、産休・育休などの休暇取得もしやすいところも魅力です。

※この取材は2022年に行ったものです。

旭川市保健所医務薬務課 勤務 (旭川市)

安藤 元子 さん

【2005年卒業】

法律に基づく指導から野生大麻の抜き取りまで、暮らしを守る仕事です。

旭川市保健所には現在4名の薬剤師がいます。医療機関や薬局・薬店で医薬品が正しく管理されているかを確認する薬事監視指導、農薬など毒性の強い化学物質が事件・事故につながることを防ぐ医薬用外毒物劇物監視指導や、市民の相談を受ける医療安全支援関係、献血推進などが主な業務です。薬物乱用防止のために街頭での啓発活動のほか、作業着姿で山に入り野生大麻や不正けしの抜き取りも行います。仕事は広範で、薬機法や毒物及び劇物取締法に関連する事故や向精神薬、麻薬関連の事故の対応にはスピードも求められます。国内のどこかで事故が起これば、同様の事故を防ぐため先回りして確認し、対応することも大切な役割です。時事的な案件を取り扱い、社会の安心・安全を未来へ継続させるのが行政の仕事。担うものの大きさが魅力です。

※この取材は2021年に行ったものです。

株式会社サンクール 事業本部 勤務 (札幌市)

大澤 祐貴子 さん

【1995年卒業】

在宅医療は経験を積むほど面白くなる仕事。学びたい気持ちに限界はありません。

新卒で就職し12年間勤めた調剤薬局が在宅医療の原点となりました。患者さんが服薬の自己管理で困っていることの発見・解消に、薬剤師の訪問は非常に有効でした。結婚後はパート勤務をしましたが、2013年、調剤薬局を展開し在宅医療に力を入れている当社入社をきっかけに「在宅をゼロから学びたい」という思いに動かされ、受けられる研修はすべて受け、学会にも参加、猛勉強を始めました。いまも一歩進めば学びたいことが現れ、モチベーションを刺激されます。母校で「在宅領域」の授業の担当教員の一人にもなりました。訪問薬剤師に欠かせないバイタルサイン(血圧、脈拍など)測定、フィジカルアセスメント(問診、聴診など)を指導しています。訪問薬剤師の技術、ハートと一緒に、仕事の魅力を熱く後輩に伝えることも自分の役割だと思っています。

※この取材は2020年に行ったものです。

札幌東徳洲会病院 薬剤部 勤務 (札幌市)

齋藤 靖弘 さん

【2009年卒業、2011年大学院修士課程修了、2016年大学院博士課程修了】

ER(救急治療室)専従薬剤師のモデルとなり、その存在を欠かせないものにしたい。

手術室専従薬剤師と、ER(救急治療室)専従薬剤師をシフト制で兼任しています。ER専従の薬剤師は日本では聞き慣れない、まだ珍しい存在ですが、これから薬剤師のホットな領域になると確信しています。当院は道内でトップクラスの救急搬送数を受け入れていますが、救急患者さんのほとんどは薬剤の情報がない状態での来院で、薬で体調を崩したという場合もあります。薬剤師は専従することで治療開始ゼロ時点から参画でき、診療と同時進行で薬歴を明らかにし、救急医とともに診断・検査・治療に携わることが可能となります。ER専従薬剤師の有用性は徐々に報告が出始めていて、私もその立証を研究テーマとしています。日本中のERで薬剤師が当たり前の存在として業務を行い、その結果患者さんに利益がもたらされる世の中をつくりたいと考えています。

※この取材は2020年に行ったものです。

日本赤十字北海道看護大学 教授 (北見市)

根本 昌宏 さん

【1992年卒業、1994年大学院修士課程修了、2002年大学院博士課程修了】

いのちと尊厳を守るため、万が一の災害時にも多職種連携は不可欠です。

北見市の看護大学で教員(生化学・薬理学)と、災害対策教育センターの責任者を務め、学生の指導と並行して寒冷地災害に特化した研究を進めています。毎年1月に実施する厳冬期災害演習をテレビでご覧になった方もいるかもしれません。2018年9月の北海道胆振東部地震の現地対応では北海道医療大学の同窓生である薬剤師の方々、歯学部の歯科医療チームとも一緒になり、母校の確かな存在感と貢献を感じ、災害時に健康を保持する予防医療の確立への思いを強くしました。災害時にも「多職種連携」は重要なキーワードです。さまざまな専門職能をもつ人たちが顔の見える関係であることが、いのちを守ることに直結します。どんな場面でもチームの中で専門性を発揮できる後輩が育ってくれることに期待しています。

※この取材は2019年に行ったものです。

時計台薬局 本店 勤務 (札幌市)

鈴木 亜里紗 さん

【2016年卒業】

自信を持って服薬指導できるよう、知識の更新を心がけています。

近隣の耳鼻咽喉科、精神科、胃腸科内科のクリニックの患者さんを中心に調剤、薬歴管理、服薬指導を行っています。患者さんとは通院のたびにお会いしますから、顔色や声、処方薬の種類や量の変化をみながら継続した関わりがもてます。患者さんが快方に向かう姿は、薬剤師にもいちばんのやりがいです。どんな質問にも答えられるよう、処方せんの扱いが多い耳鼻咽喉科、精神科、胃腸科内科関連の勉強会には積極的に参加し、最新情報を得る努力をしています。また、どこで発行された処方せんでも受け付けるために広範な知識を身につけることも意識しています。薬剤師である限り勉強は続きますが、この仕事が好きだから苦になりません。場所柄、観光客の飛び込みの来店も増えていますので、英会話の勉強も考えているところです。

※この取材は2019年に行ったものです。

JA北海道厚生連 帯広厚生病院 薬剤部 勤務 (帯広市)

斉藤 芳敬 さん

【2012年卒業】

薬学教育6年制の1期生として、“周囲の期待以上”をめざしています。

タフな現場でスキルを磨く。

調剤室で外来・入院患者さんの調剤を行っています。1日平均1,000件という道内でも有数の外来調剤件数を手がける職場で調剤スキルを日々高めています。病棟や救急に対応するための日直、当直もあります。まだ勤務1年ですが、チェックにより患者さんの不利益を未然に防げたとき、自分の意見が数分後に処方に反映されたのを見るとき、プロとして認められている手応えと責任を感じます。

将来的にはある領域に特化した専門薬剤師も考えていますが、まずはチーム医療の中で「薬のことは薬剤師に聞けばだいじょうぶ」と信頼してもらえる薬のゼネラリストをめざしています。常に知識のアップデートとブラッシュアップを欠かさず、「さすが6年学んだ薬剤師は違う」と周囲に思わせるという6年制1期生としての使命もしっかり果たしたいと考えています。

とことん、納得できるまで。

大学ではSCP(学生キャンパス副学長)を務め、食堂改善、大学ブランド商品開発など自分でも驚くほど多くに取り組みました。問題発見・解決能力、行動力に加え、文章力、プレゼン力も養われましたし、6年次の卒業アルバム編集委員長、卒業祝賀会実行委員長の兼務という離れ業もSCP経験のたまものでした。おかげで卒業旅行のひまもありませんでしたが(笑)。

“改革”に燃える性分なんです。いまは「ここ十勝、道東圏で医療大学同窓会ネットワークを充実させて、もっと地域医療に貢献するために、できることは何か」を考えています。また、研究活動に理解ある職場なので、就職後すぐ「外来患者さんの待ち時間短縮」をテーマに、状況に応じた必要人員を数学的に割り出す研究を始めました。行列での待ち時間を計算する「リトルの法則」を応用したものです。こちらはさっそく日本医療薬学会で発表することになりました。薬のプロでありながら薬だけに縛られない、行動する薬剤師でありたいです。

「好きなことをするのは努力とは呼ばない」を胸に、今後も自分らしいチャレンジを重ね、一つひとつ結果を出していきたいと思っています。

※この取材は2013年に行ったものです。

サン調剤薬局 勤務 (青森県)

油川 幸代 さん

【2004年卒業】

地域の方からの健康に関する様々な疑問。心の近さがうれしくて。

日頃から情報収集。

お客様の多くは隣の小児科医院を受診した患者さんです。そのお母様に効能の説明や服薬指導をすると、たいてい質問を受けます。「帰宅時間が遅いので、保育園のお迎えの時に飲ませていい?」「違う薬で湿疹が出たことがあるけれど、この薬も可能性ありますか?」「味が嫌いなお薬を飲んでもらういい方法は?」など薬に関するものの他、「服薬中に予防接種は受けられる?」、「ミルクの量は足りているんでしょうか?」というものまで、あらゆる質問です。

どんなささいな疑問にも、正確な情報を一つひとつ丁寧に、誤解を避け、わかりやすくお答えするよう心がけています。そのため、必要に応じて職場の先輩薬剤師や受診された病院の医師など他機関の専門家に間違いないことを確認したり、知らないことは教えていただいたり。もちろん流行中の病気への対応など最新の医療情報の把握には日ごろから努めています。お母様たちの質問が新しい知識を得るきっかけになることも多々あります。「油川さんは何でもわかりやすく教えてくれるし、何でも聞ける雰囲気だから助かるわ」とおっしゃっていただいたこともあり、地域で“身近にいる、頼れる薬剤師”と感じていただける自分を、とてもうれしく思います。

薬の配達や在宅指導も。

勤務先の薬局グループでは、福祉施設への医薬品の配達サービスや、一般家庭での薬剤管理や服薬指導の在宅サービスなど、他ではあまり見られない地域密着型事業を展開しています。薬剤師が社会に繰り出し、地域で活躍しているのです。毎月行われる社内の症例検討勉強会では、そうした薬剤師の新しいスタイルの活動報告から多くのことを学ぶと同時に、とても良い刺激を受けます。他店舗に勤務する同期入社の医療大卒業生2名とも、その勉強会を通じて再会。仕事からプライベートまでいろいろな話をして、お互いに「頑張ろう」と励ましあっています。

※この取材は2009年に行ったものです。

札幌医科大学附属病院薬剤部 勤務 (札幌市)

中村 勝之 さん

【2000年大学院修士課程修了】

がん治療専門、専任の薬剤師として化学療法の最前線にいます。

抗がん剤治療の一翼を担う。

病棟のほか、1カ月間に約300件の抗がん剤治療を行う外来化学療法室がある当病院で、化学療法管理室員、化学療法プロトコール審査委員会委員を兼務しています(プロトコール:治療計画等が明記された計画書)。

化学療法プロトコール審査委員会は医師15名、看護師1名、薬剤師1名から成り、院内の抗がん剤治療の適正性の審査・評価、さらに、医師が標準治療を超え新しい治療を開発しようという際に、安全性を担保しながら臨床研究が行えるよう、既存の治療と比較検討し妥当性を審査・評価する組織です。私は委員会事務局として委員会で承認された約300種類のレジメン(抗がん剤治療の時系列的な治療計画)を電子カルテで管理すると同時に、薬剤師の立場から抗がん剤と支持療法薬(吐き気等副作用を緩和する薬)を含めた適性かつ安全ながん薬物療法の実施をサポートしています。

治療のめざましい進歩の中で。

化学療法の現場には続々と新しい抗がん剤、支持療法薬が登場し、それらを組み合わせてがんの種類、進行度に合わせた多様な治療が行われています。大きな苦痛である副作用症状も支持療法の進歩で格段に緩和されました。一方で、がん細胞増殖に関わる分子をピンポイントで阻害する分子標的薬との併用では以前見られなかった副作用の発現もあり、支持療法薬の選択にも高い専門性が求められます。QOL向上に直結する大切な役割を担っているという責任を日々感じます。

患者さんは身体的、心理的苦痛を含め全てを背負っています。患者さんが計画の最後まで安心して治療を継続できるよう、人のつながりとして支えていくことも薬剤師の重要な仕事です。化学の力が最大限に生かされるのは、やはり人間同士のコミュニケーションあってのことだと思います。

※この取材は2010年に行ったものです。