臨床心理学科

OB・OGからのメッセージ

北斗病院 勤務 (帯広市)

後藤 優花 さん

【2019年卒業、2021年大学院修士課程修了】

今の仕事内容は?

病院で公認心理師として、主に発達障害の子どもへの心理検査やご家族からの聞き取り、必要に応じてプレイセラピーやカウンセリングを行っています。また家庭や学校での問題や子どもとの関わりに関する相談にものっています。大学の先生は臨床経験豊富な方ばかりで、今の仕事に役立つ充実の授業内容でした。

仕事のやりがいは?

問題の渦中にいるお子さんやご家族が、解決の糸口を掴み、改善するなかで笑顔が増えるのを見た時にやりがいを感じます。思春期の子のカウンセリングなど、人の心を扱うのは難しいですが、その分、解決に向かえると達成感も大きい仕事です。

※この取材は2022年に行ったものです。

さっぽろ地域生活支援センター 勤務 (札幌市)

牧野 七夕 さん

【2022年卒業】

今の仕事内容は?

地域支援センターの支援員として、利用者さんの日常生活の支援を行っています。利用者さんの「できる」ことを増やしていく喜び、過程に寄り添えるところにやりがいを感じます。利用者さんや先輩から学ぶことが多く、自分の個性と発想が活きる創造性のある仕事だと思っています。

大学で学んでよかったことは?

福祉の仕事に興味を持ったのも、大学時代に実習で養護学校や病院の訪問介護を経験したのがきっかけでした。対人援助の仕事なので利用者さんのお話から「したいこと」を汲みとることがとても大切で、カウンセリングの授業で習った傾聴スキルが生きています。

※この取材は2022年に行ったものです。

北海道銀行 勤務 (札幌市)

河関 珠里 さん

【2021年卒業】

カウンセリングのノウハウを生かして、銀行の窓口業務にあたっています。

お客様サービス係として窓口を担当しています。預金、振込などに加え、相続や資産運用などお客様にとってより重要な相談にも対応します。お客様の悩みを聞き出し、それに寄り添い、一緒に最適な答えを見つけていく過程に、大学で得たカウンセリングの知識と技術を生かすことができています。マスク着用では感情が伝わりにくいのですが、声のトーンや目元の表情を意識しながらの応対も自然にできます。わたしは、テクノロジーが飛躍的に進化している世の中でも人の心に関することは機械では決して解決できない、同じ人間でなければ解決できないと思い、大学進学時に心理学を選択しました。どのような職業に就いても心理学は応用できますし、日常生活に役立てられることもたくさんあるので、在学中も楽しく学ぶことができます。

※この取材は2021年に行ったものです。

市立札幌病院 精神科 勤務 (札幌市)

黒澤 祐莉 さん

2018年卒業、2020年大学院修士課程修了

精神医療と身体医療をつなぐ精神科リエゾンチームで他職種と密に連携しています。

精神科外来でのカウンセリングや心理検査も行いますが、精神科リエゾンチームでの活動が業務の中心です。一般病棟で、身体疾患に伴う心理的苦痛を感じる患者さん、精神疾患が併存する患者さんに対し、複数職種からなる専門チームで支援にあたっています。身体の病気には心理社会的な苦痛が生じやすく、その内容は病気の種類や重症度により異なります。患者さんは何に困り、何が問題なのかをアセスメントし、患者さんを含めたチーム、病棟スタッフで協働して改善策を考え、実践していきます。難しい仕事ですが、心理的苦痛の中にいた患者さんに徐々に笑顔が戻ってくるとうれしいですし、それをチームで分かち合いながら次に進むことができます。総合病院における心理職は、今後ますます活躍が期待される職種だと感じています。

※この取材は2021年に行ったものです。

北海道教育委員会・札幌市教育委員会 勤務

小幡 昌志 さん

【2010年卒業、2012年大学院修士課程修了】

児童生徒の将来を視野にいれた支援を実践。熱意の分だけ仕事の幅はひろがります。

北海道と札幌市、2つの教育委員会でスクールカウンセラーを務めています。現在の担当は計10校、児童生徒や保護者の相談を受けてのカウンセリング、学級運営や気になる児童生徒への対応を教員と互いの専門性を生かして考えるコンサルテーション、ストレスや対人関係などをテーマにした学級・学年単位での講習実施が主な仕事です。相談の大部分は不登校や発達関連です。以前、クリニックの心理士として就労・復職支援をした経験もあることから、児童生徒への支援はその先の人生に大きく影響することを肝に銘じて取り組んでいます。各校一人だけの心理専門職である責任は重いですが、学校にさまざまな提案をすることができ、講習や校内で発行するお便りの内容の自由度も高いです。やる気があるほど面白さを感じられる仕事です。

※この取材は2020年に行ったものです。

医療法人社団五稜会病院 心理室 勤務 (札幌市)

宮村 真季 さん

【2017年卒業、2019年大学院修士課程修了】

心理学の医療への応用の大きな可能性を患者さんの変化で、実感しています。

もともと医療現場、対人援助職に興味がありました。どの医療職にもそれぞれ魅力がありますが、人の話を聞くことが好きで、人から相談されて一緒に考えることに面白さを感じていたので、自然にカウンセラーに興味が向き、心理学が医療現場でどう応用されるか知りたいという気持ちが膨らみました。修士課程を修了し、公認心理師資格を得て、現在はこころの病気に広く対応する病院の心理士として、心理検査、カウンセリング、集団療法など心理療法を担当しています。1対1のカウンセリングを通して感じられる患者さんのよい変化は一番のやりがいです。患者さんの困り事の解決には病院の内外を問わず多職種が連携して取り組みますが、チーム医療の中で心理学を生かしているという手応えも、この仕事の大きな魅力です。

※この取材は2020年に行ったものです。

特定医療法人さっぽろ悠心の郷

YOUⅡ放課後等デイサービス 勤務 (札幌市)

藤本 瑞姫 さん

【2016年卒業、2018年大学院修士課程修了】

子どもや親の悩みを解消するため、医療と福祉の分野を越えて支援。

放課後等デイサービスは、不登校や障がいのある子や発達に心配がある子どもたちが利用する福祉サービス。併設病院の児童精神科と分野の枠を越え、連携しながら支援を行っています。この職に就いたきっかけは、大学時代のゼミで経験した小学校でのボランティア活動。友だち関係をうまく築けない、勉強の遅れがあるといった悩みを抱えた子どもに接するうちに、少しでも力になりたいと思いました。通所する子どもたちは普通学級に在籍する子も多く、デイサービスの中で「この子が突出している部分は普通とどれだけ違うのか」を意識し、支援方法を考えます。以前より多くのケースを担当するようになり忙しさも増しましたが、よりじっくり一人ひとりと向き合う時間を大切にしたいです。

※この取材は2019年に行ったものです。

さっぽろ駅前クリニック 北海道ワークサポートプラザ 勤務 (札幌市)

大野 史博 さん

【2012年卒業、2015年大学院修士課程修了】

就職は、ゴールじゃない。働いてからの環境づくりこそが大切。

発達障がい、就労経験が少ない、仕事が続かないなどの悩みがある方を対象にしたクリニックのワークサポートプラザで就職支援を行っています。心理検査やコミュニケーション能力などを磨くプログラム、認知行動療法などの精神療法などを用い、患者さんと相談しながら支援を計画。目標は就職することではなく、再休職をしないことや就労を継続していくことです。そのために、困ったときにまわりに助けを出す、苦手なことにも取り組むといったスキルを育て、本人が生活しやすい環境をつくるサポートもしています。ほかにも職場内の認知行動療法のプログラム運営や学会、研修への参加なども仕事の刺激になっています。やりがいのある心理士の仕事、可能な限り人の役に立ちたいと願う日々です。

※この取材は2019年に行ったものです。

東京医科大学 睡眠学寄附講座 助教 (東京都)

中島 俊 さん

【2006年卒業、2008年大学院修士課程修了】

眠れない国ニッポンを救い、心理学界の日本発世界スタンダードを狙っています。

専門は「睡眠学」で、臨床心理士として睡眠外来で不眠の改善、睡眠薬の減薬を目的としたカウンセリング(心理療法)、並行して研究者として心理療法の効果の科学的検証や心理療法開発に取り組んでいます。医療現場では、理由もなく眠れないという不眠症に対して心理療法の有効性が認められてきています。何年も服用していた睡眠薬が不要になった解放感、服薬を止め安心して妊娠、出産できた幸福感…、私自身、担当したクライエントと共に強い手応えを得てきました。現在、睡眠外来のカウンセリングは保険適用外ですが、科学的な効果検証の積み重ねが保険適用への道を開くと信じています。厚生労働省は非薬物療法に力を入れていますし、心理療法への期待が確実に高まっていることを感じています。

最近私は難治性不眠症といわれる逆説性不眠症に有効な世界で初めての心理療法を開発しました。現在、複数の研究機関の協力で効果の検証が進行中です。科学的根拠に基づく心理療法の開発で海外に遅れをとる日本から世界に向けて輸出できる療法にしたいと考えています。日本の心理学の発展というチャレンジングな夢をずっと見続けていこうと思います。

※医学的検査では睡眠の異常は認められないものの主観的には重度の不眠を訴える疾患。
※この取材は2014年に行ったものです。

上川総合振興局 保健環境部 稚内児童相談分室 勤務 (稚内市)

谷口 真澄 さん

【2011年卒業】

北海道の児童福祉を支える公務員として、子どもたちが元気に過ごせるように。

児童相談所が、できること。

北海道職員として、18歳未満の子どもを対象に心や身体のこと、また家庭や学校での問題について相談に応じ、健やかな成長のお手伝いをしています。相談内容で多いのは、言葉に遅れがある、友だちとうまく遊べない、という発達に関すること。今の私の業務は電話相談が中心ですが、児童相談所全体では子どもの心理検査や保護者との面接を数多く行っています。

発達相談の場合、心理検査では得意不得意や知的には何歳くらいかなどを調べます。虐待やいじめなどがある場合は、心理的影響などを探ります。目的は子どもの特徴を知ることですが、大切にしているのは、子どもの好きな遊びやアニメの話も取り入れながら行うなど、緊張せず楽しみながら臨んでもらうことです。

保護者との面接では、何を悩んでいるのかを丁寧に聞くことを心がけています。相手が私たちだからこそ言えることがあると思うので、その思いをしっかり聞いて、子どもとどう関わっていくのが良いのかを一緒に考えます。

医療大がくれた、財産。

心理学を学びたいと思ったのは、高校3年生のとき。理系クラスだった私にとって、理系教科でも受験可能な医療大は魅力的でした。医療系総合大学にあるため医学的な知識も学べたことは、様々な場面で生かされています。また、産業カウンセラー養成講座では何度も繰り返し面接練習を経験したことで、心理専門職に必要な傾聴技法を実践的に習得できました。

公務員試験に向けて取り組んだことは、大学の講義を真剣に受け、復習を怠らないこと。授業の内容が試験に直結していたので、集中して勉強できました。また、面接対策などのサポートを受けられたことも心強かったです。

心の支えは、ともに学んだ同期の存在です。北海道内のメンバーは今でも集まる機会があり、会うたびに「もっと頑張ろう」という気持ちになれます。今の目標は、子どもたちの力になれるよう専門性を高めること。そのために検査方法や心理療法の勉強を継続し、研修会などにもできる限り積極的に参加しています。

※この取材は2013年に行ったものです。

むかわ町町民生活課保健介護グループ 勤務 (むかわ町)

北守 朋美 さん

【2010年大学院修士課程修了】

この町初の臨床心理士として、学び合い、分かち合って、発達支援をしています。

魔法はかけられないけれど。

幼児健診(1歳6か月児、3歳児、5歳児)での発達相談・子育て相談、保育園や幼稚園、小学校、発達支援センターなどの訪問、療育プログラムへのアドバイスなど支援者の支援を主な仕事にしています。

町職員として心理の専門家が加わったからといって、魔法のようにすぐにお子さんの様子に劇的な進展をもたらせるわけではありませんが、思った以上に早く手応えを感じられるようになっています。

例えば、年1回開催される保育士、幼稚園教諭などが集まる学習会です。初年度は講師として呼ばれ、発達障がいについて講演しました。知識の共有は大切ですが、実用性にもう一歩踏み込みたいと考えていたら、皆さん同様だったようで2年目は具体的ケース検討会になりました。なぜ列に並べないのか、なぜダメと言われた行動ばかりとるのか、日々直面している「?」だらけの子どもの行動一つひとつに、私が発達心理の視点から背景としてあり得る可能性を示し、一緒に対応策を考え、さらにその場で開催が決まった3か月後の再検討会で各ケースで得られた結果が発表されました。意識が高く行動力ある方々と学び合い、それにより安心してのびのびと過ごせる子どもが増える、臨床心理士として、町職員として、とても幸せなことです。

花を咲かせる土になれ。

町職員研修で「花よりも、花を咲かせる土になれ」と言われました。いまの私にとって花は子ども、子育てや保育、教育に関わる方々です。障がいの有無にかかわらず、どの子どももその子らしく楽しく生活できる町づくりへの貢献が私の役割。自分のエゴで終わらないよう、養育者、支援者の心に寄り添って、心配・不安に共感し、理解を示しながら応援を続けます。そして、いまは「保健師さん」と呼ばれることも多いので、臨床心理士を保健師同様身近な存在として町に根付かせることも私の使命ですね。

※この取材は2012年に行ったものです。

北海道社会福祉事業団

「太陽の園」発達援助センター 勤務 (伊達市)

河内 哲也 さん

【2002年大学院修士課程修了、大学院博士課程在籍】

9年の臨床経験後に大学院博士課程入学。臨床と研究、二足のわらじで邁進中です。

行動療法の実践者。

発達障がいの子ども、主に2歳から16歳くらいまでのアセスメント(心理検査・発達検査・知能検査)、心理療法、母親のカウンセリングを行っています。心理療法では、カウンセリングに加え一歩踏み込んで、できることから少しずつ働きかける行動療法を取り入れています。

例えば、遊びたいおもちゃがある→「取って」と声に出して言う→おもちゃが得られる・ほめられるという3ステップを繰り返します。望ましい行動をとればメリットがあることを学習し、日常的に同様の行動がとれ、望ましくない行動を減らせるよう、様々なシチュエーションで行います。周囲の大人が子どもの行動の変化を見逃さず、適切に反応できるよう、常に親や学校の先生との連携を図っています。

発達障がいは周囲の理解と配慮で日常生活が安定するケースが多いです。そこで、行動療法などでスキルを教えることは私の仕事の半分、あと半分はその子を取り巻く環境づくりとなります。療育機関・施設と地域をしっかりつなぐことは心理士の大切な仕事の一つとなっています。

実践し、研究する行動派。

センター内にとどまらず、地域にもどんどん出ています。乳幼児健診での発達相談、療育に関わる市町村職員への助言ほか、保育園、幼稚園、小中学校にも出向きます。こうした地域での業務は、私の仕事全体の3分の1ほどを占めています。

臨床に出て知識と実践の距離を痛感し、以前にも増して論文を読み、研究会や学会にも積極的に参加していましたが、2011年春、大学院博士課程に社会人入学しました。臨床と研究の並行はかねてからの目標で、ようやくスタートラインに着きました。修士論文から続き、研究対象は心理士、テーマは「心理士の認知」です。まだ基礎段階ですが、ゆくゆくは心理士育成の有効な教育法へと発展させることを考えています。

※この取材は2011年に行ったものです。

※卒業生の肩書きは取材当時のものです。