NPO建設政策研究所 北海道センターの仕事

NPO法人建設政策研究所で発行している機関紙『建設政策』に、北海道センターから投稿しています。

バックナンバーを含め下記をご覧ください。


建設政策研究所編『建設政策』「【支所のページ】北海道センター」に掲載された原稿一覧

NPO法人建設政策研究所




北海道季節労働者実態調査報告書(平成23年3月発行)。北海道経済部からの受託事業で、北海道内における季節労働者と季節労働者を雇う事業者の実態調査結果をまとめた報告書(リンク切れ)

前・理事長 椎名恒の仕事

椎名恒野中郁江『(日本のビッグ・インダストリー8)建設:問われる脱公共事業産業化への課題』大月書店、2001年

椎名恒「北海道センターが行った緊急地域雇用特別交付金事業の調査報告」『建設政策』第80号(2001年11月号)pp.19-26

椎名恒「生活密着型公共事業で雇用拡大を――総額削減しても中小業者の受注と雇用拡大は可能な試算示す」『労働運動』第409号(1999年2月号)pp.174-183

椎名恒「建設産業の就業・雇用と組織化問題」『大原社会問題研究所雑誌』第418号(1993年9月号)pp.21-45


建設政策研究所北海道センター設立にあたり(前理事長・椎名恒)

 

1998年12月に建設政策研究所北海道センターが設立されました。

 建設政策研究所は今年発足10年目を迎える国民・労働者の立場から建設産業と公共事業に関する政策課題の調査・研究機関で、全国の多くの建設関係労働組合が軸になって、研究者や個人が参加し、旺盛な活動を展開してきました。そして研究所の活動を全国的に展開していく上でも地域に根差した作業が重要であるとの見地から、地方展開を重視し、関西支所を設立したのに続いて北海道センターの設立に至ったものです。

 北海道センター設立にあたっては、道内の関係労働組合や商工業団体、個人、研究者等の熱心な協力があり、設立準備の世話人による呼びかけや、公共事業に関するシンポジウムなどを取り組んできたところです。こうした取り組みが実りセンターの設立が可能となったのは、建設産業と公共事業の依存度が際立って高い北海道経済の現状を抜本的に改革していく上で、センターの役割の重要性や可能性について関係団体や関係者に合意可能な条件が成熟していたことを意味するものです。

 もちろん、上の役割をセンターが果たしていくことは容易な事ではありません。全国的な研究水準の摂取に努めながらも、独自性の濃い北海道の実態に関するこれまでの地域に根差した研究成果や問題の歴史的経緯などについて改めて学び、また検討しながら、現状の問題点と打開の政策と方向をあきらかにすることが求められます。独自性という点に関連して言えば、たとえば北海道経済は危機のなかにあるとしても、それが公共事業の量によって他地域以上に強い影響を受ける構造が出来上がっていることは軽視できません。

 特にこれまでの保守的な政治基盤の動揺が広がるなかで、その基盤をあくまで維持するものとして、不況対策と称して従来型公共事業の大幅積み増しが行われています。しかしそれが地域の経済の持続的な発展を保証するものでないこと、また民間需要の減少のもとで雇用や中小業者の受注をさして拡大しないことは証明ずみではないでしょうか。さらに国の財政や福祉や教育、医療などに注ぐべき財政的浪費の上塗り-拡大を結果することも目にみえています。地方財政の危機はより深まる可能性もはらんでいます。

 北海道センターの設立は、現状では大変非力ですが、道内の多くの研究者や実践家の知恵をお借りし、センターの場において的確な調査や実践的経験にもとづく実態の正確な認識を共有するよう努めながら、自由な議論を深め、北海道の開発・公共事業と建設産業の新たなあり方をめざす課題に挑戦していく一歩を踏み出そうとしたものです。

 当面、研究センターは、センターとしての体制確立と組織・財政基盤の確立を重視しながら、3月の開発問題研究会をはじめとする①公共事業と開発政策の検討、②季節労働者の雇用と労働条件、③建設産業のあり方をめぐる調査・研究を重視して作業を進める方針を確認しています。

 これらを通じて、いずれ北海道の開発・公共事業と建設産業の改革のための道民規模の合意形成をはかる骨格づくりを展望できればと思っています。

 建設政策研究所北海道センターが、広範な人々の主体的な関与を通じて活動の前進をはかるために、一人でも多くの個人と一つでも多くの団体の支援と協力、参加を心から呼びかけます。


(前・北海道センター理事長 椎名恒)